フィラリア予防
今年は静かに「フィラリアの時期」がやってきました。
「フィラリアの時期」とは、獣医さん業界でいうフィラリア予防を始める今頃の多忙期のことです。ワンちゃんは、予防開始前に採血をして、フィラリア症に感染していないか、確認の検査をしなくてはなりませんので、この時期の動物病院はワンちゃんでいっぱいになり、診察→採血→検査→説明のてんてこまいになります。毎年、この時期はヘロヘロになっていたものです。
今年は、スタッフ宅と実家のワンちゃんだけの、ささやかな「フィラリアの時期」でした。
犬以外の動物もフィラリア症に感染します。犬に近い動物ほど、感染率は高いようですが、ある報告によると、猫は犬の感染率の12%もあるようです。ワンちゃんですと、ご近所の○○ちゃんがフィラリア症にかかったらしいとか、昔飼っていたワンちゃんがフィラリア症にかかったていたとか…耳にする機会がおありかと思いますが、猫ちゃんのフィラリア症は、獣医さんでも実際に診察する機会はマレなことですので、ご近所の噂話では、まず耳にしないことと思います。
フィラリア症は素麺のような20~30cmの糸状の寄生虫が心臓に住みつく感染症ですが、猫に感染するのも犬のと同じフィラリアですから、犬の心臓なら数匹住みついていても、頑張って動けるところが、猫の心臓は小さいので、1匹でも入ってしまうと、大きく体調を崩す間もなく突然死してしまうことが多いとされています。なので、診察する機会もマレなのです。
生前に症状が出るとすると、「たまに吐く」というのが多いそうですが、猫ちゃんがたまに吐くからといって、いきなりフィラリア症を疑って精密検査をするのも現実的ではありませんので、実際、検査をすすめるケースもマレ、診断に至るケースもマレということになってしまします。
ただ、もし、診断されたとしても、ワンちゃんでも危険性の高い駆虫治療は難しいですし、ワンちゃんなら寄生数が少なければ、永く心臓障害をコントロールしながら共存することもできますが、猫ちゃんではそれも難しいですから、結局、感染してしまったら助からないという怖いお話になります。
以前から、猫にフィラリア症感染がおこることは解っていましたが、やはり、近年、より、多くのデーターがでてくるにつれ、意外と潜在しているという見解に至り、猫のフィラリア予防が啓蒙されるようになってきました。確かに、猫ちゃんのフィラリア予防について、質問を受ける機会は随分と増えましたし、予防率も増えてきたと思います。
それでも、まだまだ、予防率が低いのは、私たち獣医さん側の責任も大いにあるんだろうと思います。ワンちゃんでは、フィラリア症にかかって永くわずらい、最期は悲惨な状態になってしまうのを診ることが多くあるものですから、「予防できる病気なのに…。」という日頃の悔しい思いもあって、「絶対、予防しなきゃダメ!!」くらいの説得で、予防を啓蒙するのですが、猫ちゃんの場合は、診る機会がそうそうないばかりに、そこまでの勢いで啓蒙していないのも事実。反省です。
このあたりの地域は、まだまだフィラリア症が多いので、ほとんどの蚊はフィラリアの子虫を運んでるハズ。なので、猫のフィラリア感染危険率は、「蚊に刺される危険率×12%」。ちょっと、考えさせられる率です。
| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)


最近のコメント