猫の乳腺腫瘍
「猫にも乳癌があるの?」「猫にも、おっぱいがあるので、乳癌もあります。」「猫っておっぱいあるの?」「子猫はおっぱいで育つでしょ。」「アー確かに…。」以前は、こんな会話をよくしたように思います。
近頃、インターネットなどで調べて勉強されていらっしゃるので、乳腺にしこりができたと来院された際には、猫におっぱいがあることはもちろん、猫の乳腺にできる腫瘍は80%が悪性、つまり乳癌であることも既にご存じなことに感心させられることもしばしばです。
事実、悪性のものが多いですし、手術をしてもすぐに再発したり、手術前のレントゲン検査では肺転移もみられなかったのに、手術後あっという間に肺転移をおこしてしまうケースもあります。そんな、やりきれないケースもあるだけに、お気持ちを察するとこちらもつらいのですが、最悪の場合もお話はしなくてはなりません。
統計的には、2cm以下のしこりなら、余命は平均3年以上、2~3cmなら約2年、3cm以上なら4~6ヶ月間。ただし、リンパ節に転移があると、余命はぐっと短くなってしまいます。
考えるだけで悲しくなってしまいますが、でも逆に考えると、出来るだけ小さくてリンパ節転移のないうちに摘出すれば、余命は平均3年以上。3年とはあまりにも短いと感じられるとは思いますが、単純にヒトの年齢に換算すると、60歳のヒトが72歳まで生活できる年月です。猫ちゃんにとっては、十分価値ある年月です。
80%は悪性とされていますが、なら残りの20%は良性なんです。摘出すれば治るんです。悪性のものでも、かなり悪性のものから少し悪性のものまでありますから、手術後に抗癌剤で治療すると、かなり抑えれるケースもあります。
腫瘍となると、どうしても「もう治らない」と落胆してしまいがちですが、うまくコントロールされれば意外と長く共存できるケースもありますから、本当の余命なんてわからないものだとつくづく感じます。
あまり、プラスに考えすぎても、経過が悪かった時に、倍のショックになってしまうかもしれませんが、実は、今日、乳腺腫瘍の摘出手術を終えて退院されたねこちゃん(という名前の猫ちゃん)に「ガンバレ~!」のエールを送りたくて、プラス思考になってみました。
今年17歳になるねこちゃん。しこりの大きさはほんの7mm程度。肺転移もリンパ節転移も肉眼上はなく、血液検査でもよほどの異常もないたくましさに加え、めちゃくちゃパワフル!すでに平均寿命は過ぎていますが、このパワフルさなら…まだまだ頑張れるに違いない!と期待しての手術決行です。
ひっかく、咬む、蹴るの総攻撃をかわしたり、かわしきれなかったりと格闘しながらの治療。高齢なだけに心配しましたが、昨日やっと、口元まで近づけてあげた器から、怒らずに食べたり飲んだりしてくれるようになり、ひと安心プラス馴れてきてくれたと喜
。そんなもんで、今日、食べこぼしを拭いてあげようと、友達気分で手をいれたら、「ガリッ!」と最後にひっかきの一撃をいただいてしまいました。友達にはしてもらえないらしい…
。
今後の治療は、悪性なのか良性なのか病理検査を待ってになりますが、「どうぞ良性であってほしい。」がもちろん一番。「良性でなくても、少しだけ悪性のもので、抗癌剤治療もうまくいくようであってほしい。」
期待はつきませんが、すこしでも永くパワフルねこちゃんでいてほしいですね。元気な証拠ですから。スタッフの傷は増えますが…良しとします。
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