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2008年5月

2008年5月26日 (月)

セカンド・オピニオン

ヒトでは、セカンド・オピニオンも当たり前のこととなり、それに伴い、動物病院でもそういった相談を受ける機会が増えました。

どの先生方も、懸命に診察し、しかるべきとお考えの検査をされ、治療にのぞまれていることと思います。ですが、複雑な、動物の体のことです。しかも、自己申告がない動物のことですから、一筋縄にはいかないことだって多々あります。

そこで、別の先生の違った視点で診てみることも、新たな発見につながるきっかけになるかもしれませんし、同じ病気の見立てでも、対策方法を変えたら上手くいくケースもあるかと思います。

御遠慮なさる方もいらっしゃるのかもしれませんが、どんどん「セカンド・オピニオン」を受けられたらいいと思います。それまでの、検査結果や薬などもお持ちいただければ、とても参考になります。

当院でも、セカンド・オピニオン来院される方は多くいらっしゃいますし、電話での相談もよくお受けします。

ただ、当院への相談で、他の病院とちょっと違っているのは、「猫専門だから…」という大きな期待感のようです。それは、とても光栄なことなんですが、猫専門ということで、他にはない特別な薬や治療があるのかという問が多く、お答に悩まされます。「特別なことができるんだったら、連れていくんだけど。」なんて、相談にはもっと悩まされます。

もちろん、魔法の猫薬や猫魔術が使えるわけもなく、決して「特別」とまでは申し上げづらいものがあります。かといって、何かしらお力になれることはあるかもしれないという思いで、根掘り葉掘りと症状や経過をお聞きするのですが、お話だけでは察しのつかないこともありますので、想像をめぐらしめぐらし悩んでしまうわけです。そんなこんなで、ご相談しながら、結局、お連れいただいたら、想像とはまるで違ったなんてこともよくあることです。

「○○病なんですけど、猫専門の病院なら他に特別な治療ができるんですか?」なんて質問もよくお受けします。一般論としては、○○病なら他に特別な治療はなく、猫専門の病院とて同じことなんですが、それだけを伝えてガッカリさせるだけでいいんだろうか、○○病以外にも、何か具合の悪い原因がひそんでたりして、だったら、特別なことはできなくても、別のことができるかも…なんて、想像の世界は広がり悩まされます。

やっぱり、百聞は一見にしかずです。できれば、セカンド・オピニオンはご来院いただけたほうが…。

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2008年5月19日 (月)

腫瘍専門獣医師

ヒトの医療にひき続いて、獣医療も目覚ましく進歩、高度化するにつれ、○○専門医という獣医さんも珍しいことではなくなってきました。

昨日、ある学会で腫瘍治療のお勉強をしてきました。講師の先生は、なんと私の同級生の女性獣医師です。大学卒業後、一般の動物病院で数年臨床経験をつまれた後、大学へ戻って腫瘍学を専門に勉強され、大学の付属動物病院で腫瘍科の診療にたずさわりながら、全国にまたがり何軒かの一般病院へも腫瘍専門医として定期的に診療に行かれているそうです。

はるか昔、大学生活の6年間を同じ教室で過ごしましたが、今や各地で講演をされる大先生になられたというのに、学生時代のように「幸絵ちゃん!久し振り~!」と、変わらず気さくな彼女のお人柄が嬉しくもあり、この歳で「ちゃん」付けも…とこっぱずかしくもあり。

そんなふうなので、こちらも日頃感じていた疑問や質問などなど、この時とばかりにお聞きさせていただき、何とも贅沢なことでした。

ヒトの抗癌治療も、以前は副作用がきつくてつらい治療のイメージでしたが、近年では、「腫瘍をやっつける」ことばかりにとらわれすぎず、身体のダメージは最小限に、かつ腫瘍は進行させず「腫瘍と共存」しながら、快適な余生を過ごすことに目標をおく考え方もありではということも云われてきているそうです。

動物でも同じこと。へろへろになるほど強い抗癌治療をしたからといって、必ずしも結果が良いとは限らず、やっぱり元気でなくっちゃ、癌とは戦えないというお話でした。

抗腫瘍効果があるとか、免疫力増強だとか抗酸化作用だとか、身体をサポートするサプリメント的なものはいろいろありますが、抗癌剤ほど目に見えて腫瘍が小さくなったりはしないだけに、「癌に効くから!」と強く説得するには気がひけ、費用も高めのものが多のでついつい消極的になってしまいがちですが、やっぱりそれぞれに根拠があるだけあって、頼もしい「支え」になってくれるようです。

魚に多く含まれる必須脂肪酸に抗腫瘍効果があるので、魚を多く食する日本人は欧米人に比べ癌が少ないそうです。それにならってか、ある時、抗癌治療しているワンちゃんで、治療効果も体調も悪いのに困りはて、腫瘍科の名医ともあろう先生なのに「ウナギでも食べさせて!」と言ってみたら、本当にウナギをたらふく食べたそのワンちゃん。元気モリモリ、腫瘍は小さくなるし、なんて面白話もありました。

そこで、「ウナギは白焼きですか?かば焼きですか?」なんてバカなようで、結構真剣な質問。「塩分等考えたら、もちろん白焼きがのぞましいでしょうが、いよいよ食欲が無いなら、そんなことも言ってる場合じゃないんだから、かば焼きだっていいですよ!」「あぶらののったトロなんかもいいでしょうねェ。」

ウナギの白焼きやマグロのトロよりは、サプリメントのほうがずっと安いし、効率良く有効成分の補給ができそうですが…。

それでも、癌と戦ってる最愛の家族が喜んで食べてくれるのは、何より嬉しいこと。抗癌効果があるなら、なお喜ばしいこと。自分たちのおかずランクを下げて、トロを御馳走してあげましょう…。fish

難しい抗癌剤や抗癌治療のお話は、実にためになるものでしたが、それに勝って、抗癌治療の実例のお話から伝わってくる「ご家族と共に、ワンちゃんや猫ちゃんの癌と戦っている」感になかなか心打たれるものがありました。

そんな素敵な仕事をされている同級生に習って私も頑張らねば…と、良い刺激までいただけた学会でした。

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2008年5月12日 (月)

「普通の猫でも診てもらえますか?」

「普通の猫でも、診てもらえますか?」「…?」

内心「普通の猫って何?普通じゃない猫(=トラとかヒョウとか?)は診れないけど~。」と考えてしまうほど、初めは「普通の猫」といわれても、ピンとこなかったのですが、どうやら雑種猫さんのことをケンソン(?)されておっしゃっているようです。

開院してから何度かこんな質問をお受けしましたが、普通の動物病院では、あまりなかったことですので、そんなに敷居を高く感じられてしまうとは、心外でしたし、寂しいことで。当院も、「猫ちゃんだけ」ということを除けば、普通の動物病院ですので、もちろん普通の猫ちゃんを普通にお連れいただければ大丈夫です。

むしろ、その「普通の猫」さんのほうが、圧倒的に多いのが現状です。ちなみに、当院の「普通の猫」比率を出してみると、全体の約70%という結果でした。あまり、考えたこともありませんでしたが、そういえば、ワンちゃんに比べると純血種はかなり少ないです。

ワンちゃんに関しては、近年、野犬がいなくなり、仔犬を拾って飼い始めるという話はめったに聞かれなくなりました。新しくワンちゃんを飼うとなると、ペットショップやブリーダーさんからの購入になるので、おのずと純血種が増えたんだと思われます。

そして、TVなどのメディアの影響はすごいと思います。某金融会社のチワワさんCMを始めて見た瞬間、「次はチワワだ…。」と私は確信しましたが、まさしく大当たりでしたし、少し前になりますが、サッカーの中田元選手と共演していたジャックラッセル・テリアや紅茶のCMで小泉今日子さんと共演していたウェルシュ・コーギーもそれなりの流行りでした。

その点、猫ちゃんもCMには登場しているはずなのに、ワンちゃんほどには、それを追って流行るという印象はあまり受けないかもしれません。それでも、それなりに流行りはあって、近年増えたのは、スコティッシュ・フォールド、メイクーン、ノルウェイジャン・フォレストキャット、イングリッシュ・ショートヘアー、ロシアンブルー、アビシニアンなどでしょうか…。10年位前に多かったアメリカン・ショートヘアーはお年寄りが増えて、仔猫さんはあまり見かけませんし、20年位前に多かったシャムはお年寄りも見かけなくなりました。

ちなみに、今、私の中で一番人気なのは、少し前に某電機メーカーのCMに出ていた、「猫です…。」で始まる、体重計にデンと乗っかってる、でっぷりとしたブラウンのアメリカン・ショートヘアーです。ご存じでしょうか?

でも、一番ほしい猫ちゃんは、以前うちにいたこと同じ柄の猫ちゃんです。別にそれこそ「普通の」サバトラ猫ですが、左の鼻の穴の下に鼻水を垂らしてるかのような模様があって、それがないとダメなんです。…それが、なかなかいない…。きっと、純血種の猫ちゃんで似てるこを探すより、難しいですよね~。think

そして、「普通の猫でも診てもらえますか?」とおっしゃられた方が、今日、猫ちゃん同伴で来院されました。ホルスタインのようなステキな黒白模様のかわいい猫ちゃんでしたが、体重8kgもある、ちょっと…「普通じゃない」猫ちゃん。「あら、8kgしかないの?」「…しか、じゃなくて、2頭分ですから…。」診察の始まりは、そんな普通でない会話でした。coldsweats01

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2008年5月 7日 (水)

フィラリア予防

今年は静かに「フィラリアの時期」がやってきました。

「フィラリアの時期」とは、獣医さん業界でいうフィラリア予防を始める今頃の多忙期のことです。ワンちゃんは、予防開始前に採血をして、フィラリア症に感染していないか、確認の検査をしなくてはなりませんので、この時期の動物病院はワンちゃんでいっぱいになり、診察→採血→検査→説明のてんてこまいになります。毎年、この時期はヘロヘロになっていたものです。

今年は、スタッフ宅と実家のワンちゃんだけの、ささやかな「フィラリアの時期」でした。

犬以外の動物もフィラリア症に感染します。犬に近い動物ほど、感染率は高いようですが、ある報告によると、猫は犬の感染率の12%もあるようです。ワンちゃんですと、ご近所の○○ちゃんがフィラリア症にかかったらしいとか、昔飼っていたワンちゃんがフィラリア症にかかったていたとか…耳にする機会がおありかと思いますが、猫ちゃんのフィラリア症は、獣医さんでも実際に診察する機会はマレなことですので、ご近所の噂話では、まず耳にしないことと思います。

フィラリア症は素麺のような20~30cmの糸状の寄生虫が心臓に住みつく感染症ですが、猫に感染するのも犬のと同じフィラリアですから、犬の心臓なら数匹住みついていても、頑張って動けるところが、猫の心臓は小さいので、1匹でも入ってしまうと、大きく体調を崩す間もなく突然死してしまうことが多いとされています。なので、診察する機会もマレなのです。

生前に症状が出るとすると、「たまに吐く」というのが多いそうですが、猫ちゃんがたまに吐くからといって、いきなりフィラリア症を疑って精密検査をするのも現実的ではありませんので、実際、検査をすすめるケースもマレ、診断に至るケースもマレということになってしまします。

ただ、もし、診断されたとしても、ワンちゃんでも危険性の高い駆虫治療は難しいですし、ワンちゃんなら寄生数が少なければ、永く心臓障害をコントロールしながら共存することもできますが、猫ちゃんではそれも難しいですから、結局、感染してしまったら助からないという怖いお話になります。

以前から、猫にフィラリア症感染がおこることは解っていましたが、やはり、近年、より、多くのデーターがでてくるにつれ、意外と潜在しているという見解に至り、猫のフィラリア予防が啓蒙されるようになってきました。確かに、猫ちゃんのフィラリア予防について、質問を受ける機会は随分と増えましたし、予防率も増えてきたと思います。

それでも、まだまだ、予防率が低いのは、私たち獣医さん側の責任も大いにあるんだろうと思います。ワンちゃんでは、フィラリア症にかかって永くわずらい、最期は悲惨な状態になってしまうのを診ることが多くあるものですから、「予防できる病気なのに…。」という日頃の悔しい思いもあって、「絶対、予防しなきゃダメ!!」くらいの説得で、予防を啓蒙するのですが、猫ちゃんの場合は、診る機会がそうそうないばかりに、そこまでの勢いで啓蒙していないのも事実。反省です。

このあたりの地域は、まだまだフィラリア症が多いので、ほとんどの蚊はフィラリアの子虫を運んでるハズ。なので、猫のフィラリア感染危険率は、「蚊に刺される危険率×12%」。ちょっと、考えさせられる率です。

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