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2008年6月

2008年6月22日 (日)

仔猫ちゃんも社会勉強

「咬み癖がひどく困ってます。」立て続けに、そんな相談を受けました。

攻撃的な行動問題に対する治療というものがないわけではありません。成猫のオスでは、まず去勢手術。他には、ホルモン療法、精神安定剤の服用などです。ただ、今回ご相談を受けたケースは、仔猫さんでしたので、攻撃的というよりはお遊びが過激!というものでしたから、そこまでの治療は必要ありませんでしたが。

この仔猫ちゃん。診察台の上でも、四六時中私の手をパクパク咬みついてきて、診察もままなりません。どうやら、お家でもヒトが動くたびに飛びついてきては、パクッ。やめさせようとする手に、更にハンター気分が高まり、パクッパクッパクッ!オーナーさんの腕は、気の毒なほど傷だらけ。確かに、これは大変そうです。

ヒトのお子さんだって、手を焼くやんちゃっ子もいれば、おとなしい子もいます。仔猫ちゃんだって性格は様々。やんちゃざかりの年頃ですので、多少は仕方ありません。仕方ないレベルのことであれば「たいてい3年くらいしたら、おとなしくなります。5年もしたら遊んでくれなくなりますし、8年もしたら寝てばかり…になるかもしれません。じゃれて遊ぶかわいい姿を見れるのは今だけですよ。」で済ますのですが。

加減を知らないやんちゃぶりは、幼少時に母猫や兄弟猫と過ごす機会に恵まれなかった仔猫ちゃんほど、ひどく出やすいようです。母猫や兄弟猫とじゃれあったり、咬んだり咬まれたりする中で、怒られないレベルのじゃれ方や咬み加減を学習していくからです。人工哺乳で育ててもらって、ほとんど「猫」すら知らないまま成長した猫ちゃんなどは、とくにその傾向が強いようです。

ですので、加減知らずのやんちゃ仔猫ちゃんに一番良いのは、同年齢のお友達。仔猫友達なら、満足するまで遊べますし、他の猫ちゃんとの付き合い方を社会勉強することで、社交的に育ってくれます。実際、複数頭で生活している猫ちゃんは、社交的でおおらかで、病院に来られても、穏やかでいられるこが多いように思います。

ワンちゃんでも、そういった幼少期の社会勉強不足が、ナーバスな性質や怖がりゆえの攻撃性につながるということが問題にされ、パピークラスがさかんになってきました。ワンちゃんを複数頭飼育するというのも、難しいこともありますし、身近に遊び相手がいないなら、こういったこころみはとても良いことだと思います。

ただ、性格は様々。我が家のにゃん達も、お客さんが来られた際や、病院に来た際のリアクションはそれぞれです。お客さんが来られると、押し入れから絶対に出てこないゆきおくんは、病院に来るとスリスリ、ゴロにゃんですが、家では誰にでもベタベタ寄ってくるぶちゃにゃんは、病院に来ると眼をまんまるにしてかたまったまま動けなくなってしまいます。そして、日頃、ヒト嫌いで寄っても来ない虫太郎は、お客さんが来られると、そそくさと出てきて、スリスリ、ゴロゴロ大変なサービスぶりなんです。何考えてるんだか、わからんヤツです。

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2008年6月16日 (月)

奇跡の復活

立つこともできず、横たわったまま、意識があるのかもわからない程に弱り果てた15歳の猫ちゃん。尿を全く作れなくなってしまった重症の腎不全で、心臓の鼓動も弱々しく、脈もとれず、体温は下がり、「おそらくこのまま、今晩亡くなってしまう。」居合わせたスタッフの誰もがそう感じていました。

辛い宣告ですが、厳しくとも現状を伝えなければなりません。お別れの時をできるだけスムーズに受けとめていただけるよう、心の準備をうながして差し上げることも。

意識の低下、心拍、血圧、体温の低下がみられるような状態ともなると、迷わず「危険な状態」だとお話しておきます。この猫ちゃんも、まさしく「危険な状態」でした。

治療しても、回復はみられないかもしれません。15歳という十分長生きしてくれた猫ちゃんですから、あえて治療はせずに、ご家族に抱かれてこのまま静かにお別れをする…というのも選択の1つかという相談までもしました。

ですが、ご家族はわずかな可能性にかけてでも治療したいということでしたので、それならば!できる限りの治療の試みです。

驚きました。スタッフ皆が驚きました。

翌日、治療する私の顔をジッと見てるじゃないですか…。意識がでてきたようです。触れなかった脈もだんだん強くなってきます。

「もうひといき!頑張れ!」あとはもうそんな感じです。治療でできることは、どんなに手を尽くそうとも、しょせん手助けにすぎず、最後の最後は生命力なんだと痛感させられます。

そして、すこしづつですが回復をとげ、15歳なりの元気食欲を取り戻すまでの「奇跡の復活」。それからずっと、お薬や点滴の治療を受けながらではありますが、今や元気な18歳。

この復活劇は、今でも当時のスタッフの間で時に話題になります。「普通は復活しないよね。(苦笑)わからないもんだね。coldsweats01」「ホントにわからないもんだね。」「危険な状態」だという判断に、それなりの自信、確信を持っていた私達、見事にくつがえされて苦笑です。

「もう治療しても無理でしょうか?」そう問われるケースが多々あります。この一件以来、自信を持ってお答しています。「わからないです。」と。「危険な状態です。治療の効果は期待できないかもしれません。でもね…いるんですよ。なかには驚くほどの復活をするこが…。だから、本当に本当のことは、わからないんです。」

15歳にもなると、「とかくもう歳なんだから仕方ない。」という声も聞かないでもありませんが、本当のそのこの寿命なんてわからないものです。それに、明らかに、猫ちゃんの寿命は延びてると思います。18歳、20歳なんて猫ちゃんもよく来られるようになりました。ヒトと同じく、食餌や予防医療、治療技術の進歩のたまものなんでしょう。

私事ですが、私の祖母は今年、なんと98歳になります。3年前の肺炎のときも、2年前の骨折のときも、「奇跡の復活」をとげたスーパーおばあちゃんです。good

今、点滴治療に通院されてる20歳のクロおばあちゃんも、頑張ってほしいです…up

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2008年6月 9日 (月)

時々吐く猫ちゃん

ちょとついでにと、問われる質問、「時々吐くんですけど、大丈夫?」

気にはなりつつも、元気だし、食欲もあるし、時々だし、大丈夫だとは思うけど、大丈夫と言ってもらえればもっと安心…くらいのご心配のことが多いようですが。

ですが、本当に大丈夫(=異常なし)なのかを確認するのはなかなか大変なことなんです。

最も多い原因は、おそらくグルーミングにより毛を飲み込んでしまうことによる胃腸トラブルかと思います。

いたずらして、ビニールやら、敷物やら、何かしら、ちょこっとかじる癖のあるこは、それも原因になるでしょう。舐めてるだけで食べていないように見えても、猫ちゃんのザラザラした舌にひっかかった糸くずなどが、知らずとそのまま飲み込まれてしまいますので要注意です。

それ程ひどくない「時々吐く」なら、まずそのあたりの対策をしてみるのがいいかもしれません。毛球予防には、飲み込んでしまった毛を滑らかに流して便への排泄を促すようなゼリー状の予防剤があります。無駄な毛をブラッシングして取ってあげたり、長毛のねこちゃんでは、短くカットしてしまうのも対策になるでしょう。

しかし、それでもコントロールできないとなると、そもそも、何かしら基礎疾患が隠れていることもありますので、検査や治療が必要になることもあります。、胃腸の問題のことも、胃腸以外の問題のこともあり、本格的に調べるとなると、かなり大変なことです。

腎臓、肝臓、すい臓などの障害でも嘔吐が起きますが、初期段階では「時々吐く」程度だったりします。近年、実は意外と多くあるであろうと云われ始めた「甲状腺機能亢進症」も、初期には、時々吐く、時々下痢するくらいしか症状がない病気です。心臓疾患やフィラリア症でも、時々吐きます。

胃腸疾患にも、回虫などの消化管内寄生虫、便秘のような簡単に対処できるものから、炎症性腸炎(IBD)や胃腸腫瘍のような治療の難しいものまで様々です。ヒトのピロリ菌による胃炎は有名ですが、猫にも同じものがあります。

といったふうに、「時々吐く」を探究するのは、結構大変です。が、必要となれば、猫ちゃんそれぞれの年齢や生活してきた環境と身体検査での様子を合わせて、より意義ある検査や治療を選択していくことになります。

我が家の猫ちゃん達は、皆、短毛ですが、それでもブラッシングするとこぶし大の毛球ができあがります。先日、シャンプーにこられた長毛の猫ちゃんからは、ドッチボール大の毛球ができあがりました。これを飲み込んでしまったら、さぞ具合の悪いことでしょう。そもそもは、毛球のトラブルに始まった嘔吐でも、頻繁に嘔吐することで、胃や食道が炎症を起こしてしまい、治まりがつかなくなることもあります。お早目に対策を。

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2008年6月 3日 (火)

マーキング

猫ちゃんのマーキング問題は、これだけ獣医療が進歩したにもかかわらず、絶えることなく受ける相談のひとつです。

たいていは、去勢・避妊手術で治まるもので、あるデーターには80%治まるとありましたが、私の感覚では90%は治まる気がします。

私が学生時代に一人と一匹暮らしをしていた雑種猫のウンチくんも、うっかり去勢手術をしないうちにお年頃をむかえてしまい、実は動物を飼ってはならないアパートのあちこちにおしっこをピッっとひっかけてしまい大慌てしましたが、去勢手術後はぱったりしなくなりました。

ただ、10%ないしは20%は去勢手術後も治まらなかったり、あるいは、数年治まっていたのに、引っ越しや新しい猫ちゃんとの同居などをきっかけに、その不安や不満を訴えるかのように、再び始めるケースもあります。

そういえば、うちのウンチくんもそんなことがありました。私が大学を卒業して動物病院に勤務し始めたばかりの頃。蓄積された疲労と睡眠不足のため、休日はお昼を過ぎても、夕方近くなっても爆睡している私の耳元で、さんざん「ごはん!ごはん!めし!めし!腹減ったー!」と叫び続け、叫び疲れ、それでも微動だにしない私の枕元に、ピッっとマーキング…。

驚いて見上げると、うらめしそうなヤツの顔。叱るわけにもいかず、さすがにそのまま寝続けるわけにもいかず。ヤツの作戦は成功です。

利口なもので、次の休日には、叫び疲れるより早い段階で、枕元にピッ!まだ、私の睡眠レベルが深ーいところにありすぎて、気づいてはいるんだけどどうしても起き上がれず、再び、眠りの中へ…吸い込まれる…。っと意識が薄れかけた瞬間、ピッっと何やら温かいものが、私の顔に…。

なんと、ヤツは私の顔をめがけてマーキングすることを思いついたのです。さすがに、飛び起きました。またまた、ヤツの作戦は成功です。

それからというもの、ヤツは叫ぶ手間をはぶいて、突然、顔をめがけてマーキング攻撃にでてくるようになったため、休日の前夜は、あらかじめフードをてんこ盛りに入れておくことにしました。

うちの場合は、それだけのことで、恐怖のマーキングを回避することができましたが、お子さんが産まれてからなど、どうしようもない事がきっかけだったり、原因不明だったりといったケースでは、かなりの困りものです。

数年前に、そういった猫のマーキングや爪とぎなどの問題行動の治療方法として、フェロモン剤ができました。スプレー式のものを、マーキングする場所に吹きかけておくというものですが、試された方に効果のほどをお聞きすると、吹きかけたちころにはしなくなるので、効果はあるようだが、他のところにするんです…。というお話が多かったように思います。

おそらく、そんなケースが多かったのか、あたらしくできたものは、コンセントに差し込んで、室内全体に飛散させるタイプのものです。なかなか、理にかなってると思います。お香をたいてリラクゼーションする感じなんでしょうか。

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