お若くみえますね
「○○さん、85歳!?4つ5つは、若くみえる。」以前、老人介護の仕事をしている友人から、そんなコメントを聞いて、「なんじゃそりゃ。80歳と85歳の微妙な違いはなんなんだろう。」と、思ったことがありました。
猫ちゃんも、やはり、年齢とともに風貌も、仕草、歩く様まで変わってきますから、お外で生活していた年齢不詳の猫ちゃんでも、だいたいの年齢はわかるものです。
年齢を診るポイントとしては、まず、歯です。乳歯が残っていれば、6ヶ月未満。犬歯以外のはえかわりが終わっていれば、5か月齢位。門歯だけがはえかわっているようなら、4ヶ月齢くらい。年齢がすすむほど、歯石が増えてきますので、まったく汚れのない永久歯なら、1歳~2歳まででしょう。ある程度の歯石は付いてるけど、まだ、歯肉炎をおこすまでにはいたらなければ、シニア手前。歯肉炎や歯槽膿漏があれば、シニア世代だろうと判断しますが、食べていたものにもよりますし、猫エイズウイルスや猫白血病ウイルスのような、免疫力低下をおこす病気をかかえていると、年齢のわりに歯肉炎や歯槽膿漏のひどいこともあります。
ヒトと同じで、毛づやや、皮膚の弾力感も違ってきます。若いほど、毛は艶々、皮膚のハリも良く、高齢になると、次第に、毛はゴワゴワ、皮膚もシワシワにたるんできます。もともと、猫ちゃんの皮膚は、伸びやすいのですが、若いころ太ってたお年寄り猫ちゃんなんて、ビヨーンと皮膚を両横に伸ばすと、ムササビみたいになってしまいます。
ちょっと、専門的なポイントとしては、眼です。シニア世代のなかでも、12~13歳をこえるくらいになると、虹彩の委縮や、レンズの濁りがでてきます。猫ちゃんにも、老年性白内障がありますが、肉眼で白くみえなくても、器具で眼の奥を診ると、ごく初期の白内障をおこしていることがあります。そう、お話すると、「見えなくなるのですか?」とご心配されますが、ワンちゃんでは、視力を失うケースがままありますが、猫ちゃんでは、糖尿病などに併発したケースでなければ、そこまで重症になることは、ほとんどありません。そう聞いて安心されると、一緒に眼をのぞき込んで、「ほんとだー!白いのがある。」と感心して下さいます。
なかには、年齢のわりには、歯もきれい、毛づや、皮膚のハリもよく、若々しくみえる猫ちゃんがいて、「若くみえますね。」と、思わず言ってしまうのですが、「エー!猫ちゃんでも、そんなのがあるの?」と、笑われてしまうことがあります。なるほど、以前の友人のコメントと同じく、世間的には、滑稽なコメントなんでしょう。毎日、動物と接しているうちに、年齢差の微妙な違いがわかるようになるもんなんですよね。それでも、「若くみえる」と言ってもらうのは、たとえ猫ちゃんのことでも、褒め言葉ならしく、「猫なのに、」と笑いながらも、喜んでくださいます。もちろん、「若くみえる」=「健康的」なんですし、喜ばしいことです。
先日、学会で、しばらくぶりにお会いした、大学の恩師に、「前に、○○で会ったのは、何年前?」と聞かれ「17年です。」とお答えしたら、「ゲー!!」…(ゲー!!って何よ。その分、老けたってこと?)…そんな表情をしていたんだか、「…変わらないですねェ。」と、とってつけたような、お世辞。なので、「先生こそ、お変わりないですねェ。」と、お世辞返し。
さすがに、猫ちゃんにはお世辞は言いませんので、おばあさん猫に「シワシワですねェ。」なんて、失礼なことも言ってしまいますが、それはそれでご愛敬。うちの、長老猫ゆきお君も、すっかりじーさん猫になり、ガリガリ、シワシワです。うんこをお尻にぶらさげたまま、ヨボヨボ歩いてたり。若い猫に追っかけられると、ヨタつきながら必死で逃げ、私を見上げて「ナァー!」と鳴き、「いじめられた」と訴えるかのような顔。それはそれで、やんちゃな仔猫だったころとは違ったかわいさがあるものです。
そういえば、高校卒業以来、20年ぶりの同窓会で、なかには正直、誰かわからないほどの変貌をとげていらっしゃる方もいて、会話を取り繕うのに苦心したことを思い出し、猫ちゃんって、誰かわからなくなるほどの変貌はしないなあ、なんて考えてしまいました。もともと、全身に毛がはえてて、皮膚のシワが見えないし、毛がごっそり抜けてしまうことがないからなんでしょうね。いいですねェ、猫ちゃんは。
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