キャットドック(健康診断)
「人間ドック」なる言葉を聞くようになったのは、昭和50年から60年代になってからではなかったかと記憶していますが、おそらく、高度経済成長を支えて、懸命に働き続けてこられた方々が、更年期をむかえる頃となり、知らずと進行している成人病や、悲しい突然の死など、健康不安が社会的にも問題視されはじめた背景から、ゆとりある暮らしだとか、病気の早期発見・早期治療が大切だと云われて、一般化したように思います。
バブリーな時代は、リゾートホテル顔負けのリッチな施設で、健康診断がてら、丸一日ゆったりと過ごしてリフレッシュ。検査後は結果待ちのあいだに、豪華フランス料理をいただく…といった、人間ドックの紹介をTVでみたこともありました。
さすがに、このところはそういった贅沢バージョンは、あまり耳にしなくなりましたが、検査内容の進歩には、驚かされるばかりです。脳ドックが広まった時には、健診のためにCTやMRI検査をするなんて!と、思いましたが、今や当たり前のことになりました。癌の早期発見には絶大なPET健診なるものなんて、初めて耳にした時、「ペットも健康診断が大切~。」という話かと思ってしまいました。違いましたね。すごく簡単に言ってしまうと、癌にくっつく目印を流し込んで、それを写し出すものでした。スバラシイです。
獣医療では、まだまだ、できることは限られていますので、ヒトのレベルの健診は難しいですが、それでも、かなり役立つ健診が可能です。自覚症状を説明できない動物たちのことですから、本当に不調をきたしてからでないと、気づいてあげられないことを、未然に防ぐことができるかもしれません。
膀胱炎は寒い季節に多い病気のひとつです。「真っ赤なおしっこをした。」とか、「朝から何回もトイレに入ったり、出たり。」というのが、その変調に気づくきっかけのことが多く、たいていは、「今日から突然」「急に」と感じられるようですが、おそらく、始まりはずっと前のはずなんです。だって、「なんか、最近、おしっこした後、ムズッとするなあ。」という猫ちゃんの思いを、どんなに深く愛してらっしゃっても、解ってあげるのは、ちょっと不可能ですよね。
黄色いおしっこでも、調べると血液反応が出ていることもありますし、レントゲン検査やエコー(超音波)検査で、偶然、膀胱結石が発見されることもあります。まだ、ひどく炎症をおこしていなければ、食餌療法を始めるだけで済むこともあります。
キャットドックについて、時々、お問い合わせいただくことがありましたので、何を検査するのか、何がわかるのか、というご説明を、ホームページの健康診断のページに加えました。身体検査、糞便虫卵検査、尿検査、血液検査、レントゲン検査、心電図検査、エコー(超音波)検査、甲状腺ホルモン測定検査を基本としていますが、心配な症状や、身体検査上の問題があれば、加えて他の検査をすることもあります。
それぞれの検査は、それぞれに、解ることが違うものなので、結果の組み合わせで、評価することが望ましいのですが、ご費用の問題もありますので、年齢や体調から、必要性の高い検査にしぼって検診することも可能です。
日頃、診療していて感じるのですが、ワンちゃんに比べると、血液検査をしたことがないという猫ちゃんは、非常に多いのです。ワンちゃんは、フィラリア予防スタートの春に、フィラリア検査をするために採血しますから、ついでに、健康診断の血液検査も済ませるという機会があるからでしょう。体調の良いときのデータは、何かのときに、どう変化しているのかの大切な情報になりますから、キャットドックとまでは…と、いうところなら、ワクチン接種なんかで来院されたときに、血液検査や尿検査だけでも済ませておくのも良いかと思います。
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