白内障でしょうか?
「眼が白いんです。白内障でしょうか?見えなくなるんでしょうか?手術できますか?」そんな、ご心配をされて質問をお受けすることがあります。それだけ、身近な方が白内障だったり、それで、手術を受けられるといったケースが多いので、「白内障」という病名をよくご存じなのかなと思います。
ですが、「眼が白い」ということで来院されて、本当に白内障だったことって、意外と少ないんです。では、何が白いのか。ですが、最も多いのは、角膜が白く濁ってるケース。次が、瞬膜(第3眼瞼)が突出して、眼を隠してるケース。
角膜とは、眼の一番表面の膜です。コンタクトレンズをのっけるところです。通常は、無色透明なソフトコンタクトレンズのような膜ですが、傷がついたり、炎症がおこると、表面が白く濁ります。眼圧が高くなる緑内障の場合は、角膜の内側が白く濁ります。深い傷の治った痕や、慢性的な炎症の結果、白い濁りが残ってしまうこともあります。
瞬膜は、ヒトには無いものなので、ご存じない方も多いのですが、角膜とまぶたの間にあって、犬、猫では、眼の内側腹側から斜め上に向かって、まぶたの開閉する動きに連動して、出たり、戻ったりしています。角膜の保護をしているものです。普通は、眼を開いているときには、出ていません。突出したままになっていると、白眼をむいた感じで、眼つきの悪い風貌になってしまうので、とても、驚かれるようです。これは、結膜炎などで、腫れがひどいための場合と、この瞬膜の動きをつかさどっている神経の問題で生じる場合があります。多いのは、下痢などの消化器症状による影響。他に、耳の奥や頸部、胸腔内を走る神経を圧迫するような、中耳炎、腫瘍、外傷などによるケース。あと、やはり、神経的な問題ではないかといわれていますが、左右両方の瞬膜が突出している以外には症状のみられない、「特発性」と呼ばれるケースもあります。
「眼が白い」というキーワードでも、これだけ色々なことになってしまいます。お電話で、質問をお受けすることもありますが、ケチでも意地悪でもなく、結局、「診てみないとわかりません。」と申し上げるしかないことがほとんどです。まず、「どこが白いのか」からして、診てみないとわからないことがあるからです。
さて、白内障ですが、その病名はよくご存じの方が多いのですが、詳しくは、ご理解されていないことも多いのです。水晶体(レンズ)が白く濁ったものですが、水晶体は、猫ちゃんなら、光に反応して、細長くなったり広がったりする「虹彩」という膜のまだ奥にあるので、よほど、意識して覗きこまないと、観察しづらいところにあります。ですので、初期白内障のわずかな濁りに気付かれることはあまりありません。「眼が白い」と気付くほど、白くなった白内障は、すでに、かなり進行したものです。
そして、この白内障は、老齢化に伴うものだけではありません。若くても生じるものに、外傷による炎症が災いして生じるケースや、ワンちゃんでは若年性白内障の遺伝的素因を持つ犬種もあります。にわかに白くなったとおっしゃられる白内障は、糖尿病の急な悪化を意味することもあります。とくに、猫ちゃんでは、ワンちゃんほど老齢化に伴う白内障が顕著にみられることが少ないので、本当に白内障なら、むしろ、糖尿病を心配しなくてはなりません。
さて、白内障になってしまった場合、ヒトと同じように手術して治療することができるのか、ですが。手術は可能です。ヒトと同じように、白く濁った水晶体(レンズ)を取り除き、代わりに人工のレンズをいれます。これは、動物専用のレンズです。
ただ、ヒトと比べて、手術を難しくしてしまう要因がいくつかあります。まずは、白内障に気付く、もしくは手術を検討するタイミングが、少しでも見えづらいと不自由を感じるヒトとは異なり、どうしても、かなり進行してしまってからになってしまうこと。他には、ヒトは局所麻酔で手術できますが、動物は全身麻酔が必要なこと。そして、案外、手術後の経過を大きく左右する要因として、手術後の安静や点眼治療が十分に行えるかということです。眼の状態、全身状態がクリアーしていても、点眼するのにも大騒ぎしてしまうとなると、手術後の治療ができず、大変なことになってしまいかねませんので、手術しない方が良いということだってあるのです。
ですので、獣医療の技術的には、手術が可能なのですが、ヒトよりは制約が多くなってしまいます。それでも、ほんの20年前に比べても、飛躍的に進歩した獣医療領域のひとつです。
交通事故時の外傷が原因で、まっ白になるほどの白内障になり、全盲となってしまった、まだ、1~2歳の猫ちゃん。本当なら、やんちゃ盛りの歳ですが、いつも、おとなしくゴロゴロ寝てばかり。ところが、白内障の手術後、視覚が戻ったとたん、猫じゃらしに飛びつき、追っかけ、くるくる回って大騒ぎ。この姿を見た時には、かなりの感動ものでした。もちろん、これは、かなりのラッキー・ケースです。
動物は、視覚以外の感覚が発達しているので、暮らし慣れた環境なら、食事したり、排泄したり、歩きまわったり、と、日常生活にはさほど不自由せずに生活することができます。ですが、再び、イキイキと獲物を狙う、ちっちゃなハンターの眼差しを取り戻せるのは、動物にとっても、それを見守るご家族にとっても、最高の喜びにちがいありません。
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コメント
明日(27日)の朝、母がグリを連れてそちらに
伺います。 離れて住んでいて私は伺えないのですが、
よろしくお願いいたします。
なるべく早く時間を作って、グリに会いにに帰ろうと
思ってます。
これからどうしてあげるのがグリにとって
1番いいのか色々相談にのって下さい。
よろしくお願いします。。。
投稿: ぐりぐり | 2009年3月26日 (木) 22時31分
グリちゃんにお会いしました。慣れてくるとゴロゴロいいはじめて、お利口に診せてくれましたよ。検査をすすめながら、どのような対応が一番良いものか…をご相談させていただければと思います。
投稿: にゃんこ先生 | 2009年3月27日 (金) 13時49分