豚インフルエンザ
今朝のニュースは、豚インフルエンザでもちきりでしたね。かつてに、鶏インフルエンザの事例がありましたから、「こんどは、豚か…」くらいの驚きで、鶏のときほどのショックではありませんでしたが、そのうちに、猫とか、犬とか、ヒトの暮らしに身近な動物のウイルスがヒトに感染するものに変異するという事態が起きるのではないかと、ひそかに不安はつのります。
少し前に、ペットからヒトへ感染する人畜共通感染症が、マスコミで話題にされたこともあり、とくに、妊娠中のご家族や、小さなお子様のいらっしゃるご家庭では、心配されて、ご相談を受けることもあります。
今のところ、ペットから感染する一般的なものとしては、回虫、鈎虫などの消化管内寄生虫。カビ(皮膚糸状菌症)による皮膚病。ノミや疥癬(ダニ)はヒトに寄生しませんが、咬まれると、痒くなります。猫からは、トキソプラズマ、猫引っ掻き病、クラミジア感染症など。犬からは、レプトスピラ感染症があります。
マスコミでは、公園の砂場で、猫の便から回虫に感染し、眼の奥へ迷入したせいで失明してしまったケースを取り上げていたので、非常にインパクトの強いものでした。回虫は、犬、猫に感染した場合は、消化管内に寄生しますので、下痢、嘔吐や栄養障害が主な症状ですが、本来の寄生相手ではないヒトに感染すると、免疫反応を強く受けて、他の臓器内へ隠れこもうとします。その結果、入り込んだ臓器の障害を起こしてしまうので、犬、猫に感染した場合よりも、ずっと怖いのです。
しかも、回虫は、ほとんどの外暮らしの猫ちゃんが持っていると言ってよいほどに、日常の診療で遭遇する寄生虫です。外暮らしをしていない猫ちゃんでも、胎盤や初乳を介して、母猫から感染しますので、新しく、猫ちゃんをお家に迎え入れるにあたっては、必ず便検査を済ませておく方が安心です。ですが、1回の便検査で検出されるのは、わずか40%。繰り返し、便検査をすることも大切ですが、回虫、鈎虫などのメジャーな寄生虫は、念のため駆虫してしまうほうが賢明かもしれません。外に出る猫ちゃんなら、定期駆虫がすすめられます。
トキソプラズマに感染すると、 流産をおこすということを心配されて、妊娠中は犬や猫に触ってはならないくらいの警戒をされる方もいらっしゃいますが、まず、感染源は、猫が便中に排泄するオーシストという卵のようなものです。ですので、犬からは感染しません。猫自身が、このオーシストを排泄する期間も、ごく感染初期の1週間程度ですので、永く共に暮らしている猫ちゃんから感染することはありえないのです。むしろ、感染源は、加熱不十分な豚肉などであることが多いようです。よって、新しくお家にきた猫ちゃんや、経歴の良く分からない猫ちゃんには、注意が必要だということになります。
猫引っ掻き病も、一時期マスコミに取り上げられていました。冗談みたいな名前の病気ですが、これは、冗談にならないほど、痛いのです。実は、私は感染したらしき経験者です。脇のリンパ節が5cm大にまで腫れあがりました。かなりの痛みと発熱です。思い返せば、少し前に仔猫に指の先を咬まれたことがありました。そんな、ちょっとしたキズでも感染しますし、ノミが運ぶこともあります。
レプトスピラ感染症。野外では、流行地域があり、川に住むネズミが保菌していて、犬はそのネズミの尿から感染することが多いとされています。そして、その犬の尿からヒトが感染することがありえるのです。以前、ペットのハムスターから幼稚園児が感染して、亡くなられてしまったということもありました。非常に怖い病気です。
怖い病気もありますが、適切な対処と衛生管理を心がけていれば、それ程、過剰に怖がる必要のないことばかりです。つまりのところ、消化管内寄生虫とノミなどの外部寄生虫駆除とワクチン接種をしっかりしていれば、ほとんど大丈夫なわけですから。心配のないようにして、楽しく暮らしていただきたいものです。
| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)

最近のコメント