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2009年6月

2009年6月29日 (月)

ワクチンアレルギー

先日、実家のワンのワクチン往診に行ってきました。いつもは、私を見て、ちょっとイヤ~な顔をするのに、いつになく、駆け寄って来てピョンピョン飛んだり、しっぽふりふりご機嫌です。「あら、珍しく歓迎モードだけど、残念ながら、今日もイヤなことされるかもよ…。」と、ワクチン注射をチクリ。

食べ物でアレルギーを起こすことがあるのと同じように、薬にアレルギーを起こすことがあります。そして、食べ物の場合と同じように、アレルギーを起こしやすい薬と、起こしにくい薬があります。ワクチンは、アレルギーを起こしやすいものの代表選手です。

2タイプのアレルギー反応があります。ひとつは、即時型アレルギーといわれる、接種後すぐに発症するタイプで、ふらつき、ヨダレや嘔吐、虚脱をおこします。重症だったり、ただちに処置しなければ、死亡に至るほどのショック状態になることもあります。これは、何度、経験しても、本当にドキドキものです。ですが、猫ちゃんでは、めったに起こりませんので、「猫の診療室」になってからは、このドキドキからは解放されています。

ですので、ワンちゃんの場合は、とくに厳重に注意を払います。たいてい、10分以内に発症するので、ワクチン証明書を作ったり、お会計準備をしたり…と、若干わざと時間をかけて接種後10分間は、病院内に居ていただく作戦を、実はひそかに決行してたりします。

もうひとつのタイプは、遅延型アレルギーといわれる、接種してから数十分から数時間してから発症するタイプです。体中に蕁麻疹が出たり、顔が赤くなりむくみます。身体には、毛が生えてるので、蕁麻疹は解りづらいのですが、とにかく、めちゃくちゃ痒くなるので、掻きまくったり、仰向けになって、背中をゴリゴリこすりつけたり。明らかに、オカシクなりますので、すぐ、異変には気付きます。顔がむくむと、ギョッとするほど変な顔になってしまうので、すぐ、解ります。痒いので、パンパンの顔を一生懸命掻こうとするのですが、猫ちゃんのように、器用には顔を掻けないワンちゃんは、こんな時、ちょっと気の毒です。

このタイプのアレルギーが出た猫ちゃんを、2例だけ診たことがありますが、ちょっと、瞼が腫れぼったくなり、耳や目の周りなどの顔中心に痒みがでる程度でした。ワンちゃんでは、数えきれないほどの、症例数を診ていますから、やはり、猫ちゃんのワクチンアレルギーはかなり少ないと思います。

伝染病にかからないためのワクチンですが、心配しなければならない副反応もあります。それを心配するあまり、接種を戸惑うこともあるかもしれません。ですが、ワクチンメーカーが、動物用ワクチンを開発してきたのには、多くの動物達が伝染病で苦しんだ背景があったからです。そして、今なお、一般に発生している伝染病ばかりです。

ワクチン接種せずに、伝染病になるリスクと、接種をして副反応がでるリスクを比べると、その、確率、重症度ともに、「ワクチン接種をしたほうが良い」の大勝利には間違いありません。まだ、予防できない伝染病だってある中、せめて、予防できる病気だけでも予防してあげたいものです。

室内飼いの猫ちゃんは、ワクチン接種の必要がないと勘違いされていらっしゃるケースが多いのですが、空気感染する伝染病の感染リスクは室内でもあります。とくに、高齢になってきたり、他の病気で、抵抗力が落ちた時には、感染する危険性が高まってしまいます。そして、何かのトラブルで動物病院に通院したり、入院しなければならなくなることもあるかもしれません。病院では、感染防止に細心の注意を払ってはいますが、空気感染を防止するのには限界がありますので、そんな機会に伝染病を合併してしまわないよう、あらかじめ、予防しておいてあげるのが安心です。

さて、チクリとワクチン注射された実家のワンちゃんですが。歓迎モードから一転、私の横にお座りして、横目で、私を見上げながら、「ゲッゲッゲッ…」(?!!)食べたばかりのドッグフードをゲロー…。(エー!!もしや、もしや、ワクチンアレルギー!?でも、あまりにも、早過ぎないか?数秒しか経ってないし…。)と、ドキドキ。すると、吐いたフードを、また、「パクパク…」(食べるんかい…。どうやら、アレルギーではないらしい。)その後、とくに問題なかったので、どうやら、喜びすぎ?だったようですね。それとも、いつも、イヤなことする私への嫌がらせでしょうか。確かに、ちょっとドキドキさせられました。

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2009年6月20日 (土)

停留睾丸

一般的には、あまり知られていないことなのかもしれません。私も、獣医学の勉強をするまでは、知りませんでした。

ご存じの通り、通常、睾丸は左右2個あり、陰嚢という袋の中に、おさまっているものです。精巣で作られる精子は、体温程度の高温下でも、生存できないので、体外にぶら下げて熱くならないようにしているわけです。

ですが、胎仔時代の睾丸は、お腹の中にあり、その発生起源はメスの卵巣と同じものですから、場所的にも、お腹の真ん中あたり、かつ奥の方の左右にあります。これが、少しずつ足の付け根方向へ移動し、産まれてくるころには、お腹の外の陰嚢の中におさまるわけです。ひとつの受精卵から、少しづつ、少しづつ、分裂を繰り返して、身体が作られていく過程の、オスとメスの別れ道での、変化なわけです。素晴らしい生命の仕組みです。

この移動がうまくいかずに、お腹の中にとどまっていたり、足の付け根にひっかかるように、とどまっているものを、停留睾丸といいますが、問題点としては、ゆくゆく腫瘍化する可能性が高いということです。ヒトにも生じるのですが、ヒトでは、見た目の問題もありますし、お腹の中にある精巣は、機能できないことも重大な問題です。ですので、ヒトでは、精巣の発達が遅れないよう、乳幼児期のうちに手術をして、睾丸を陰嚢内に固定するようです。ホルモン剤で、降りてくるよう促す方法もあるようですが、成功率は20%程度しかないと、記載されているものがありました。

動物の場合は、見た目はあまり関係ありませんし、どうしたって仔をとりたいというケースも少ないですし、もっとも、停留睾丸の素質は遺伝するので、獣医師の立場としては、仔をとることはすすめられないのですが。そして、去勢手術をしていないことにまつわる、不具合も多々ありますので、手術する場合は、そのまま摘出してしまうのが通常です。

この不具合とは、とくにワンちゃんでのことですが、男性ホルモンの影響で生じる成人病がいくつかあります。会陰ヘルニアといって、お尻ほっぺの筋肉が薄くなって裂け目ができ、腸や膀胱などの内臓が入り込んでしまうヘルニアをおこすことがあります。腸が入り込むと、いきんでも便が出ないといったトラブルが生じます。膀胱が入り込んだ場合は、尿が出せなくなるので、気付かないでいると、尿毒症を起こし、致命的な緊急事態になってしまいかねません。

ヒトでも多い前立腺肥大も、男性ホルモンの影響で進行する問題です。膀胱の出口にある前立腺が腫れることで、尿が出づらくなったり、血尿になったりします。ひどく感染を起こすと、膿が溜まり、全身に細菌がまわってしまって、危険なことになることだってあります。

肛門周囲腺腫という、名前の通り、肛門周囲にできる腫瘍ですが、これも、男性ホルモンの影響で発生します。良性のものでも、潰れて出血してしまうことが多いですし、コブシより大きな腫瘍になってしまうこともあります。

精巣自体が腫瘍になることもあります。中には、血液を作る骨髄の働きを抑えてしまうホルモンを多量に作り出して、貧血をおこしてしまうものもあります。いったん壊されてしまった骨髄は復活することができないので、重篤なケースでは亡くなってしまうことだってあるのです。とくに停留睾丸は、陰嚢内にある睾丸より腫瘍化しやすいので、摘出しておいたほうが良いとされる、一番の理由はコレです。

猫ちゃんの精巣腫瘍というのは、非常にマレです。ですが、報告はありますので、腫瘍にならないわけではありません。猫ちゃんは、室内でおしっこをひっかけまくるマーキング(スプレー)行動に耐えられなかったり、夜な夜な外へ出せと激しく鳴かれるのに困って、去勢手術を受けていることが多いこともあって、報告が少ないということもあるようです。

停留睾丸でも、足の付け根にあるものは、触って解るものもあります。ですが、触って解るので、そこを切開してみたら、リンパ節などの精巣ではないもので、開腹もして探さなければならなかったり。下っ腹に、たっぷりお肉の付いた猫ちゃんでは、足の付け根にあっても、お肉にうもれて触れないことがあって、開腹してみたら、足の付け根にあったなんてこともあります。よほど未発達だと、見つからないことだってあります。

通常、片側だけが停留睾丸というケースが多いのですが、両側のこともあります。両側ですと、精巣が機能しないので、仔を作る能力はありませんし、「さかり」行動もありません。ところが、両側停留睾丸なのに、いかにも「さかり」の鳴き方をするとおっしゃられるケースがあり、本当に「さかり」なのか半信半疑だったのですが、開腹手術をしてみると、片側は完全に腹腔内にありましたが、片側が足の付け根から半分顔を出す程度に、腹腔外へ出かかっていました。手術後、「さかり」の鳴き方はしなくなったとのことでしたので、出かかっていた精巣が頑張ってたんですね。

去勢手術のお問い合わせをいただいた際に、「タマタマは、ちゃんと2つありますか?」と、お聞きすることがあります。ちゃんと所定の場所にあるのと、ないのとでは、手術内容が大きく違ってきますので、お聞きするわけなのですが。変なことを聞かれたという感じで驚かれたり、「そりゃあ…多分あると思いますけど~」と、笑いながらお答くださることがあります。「タマタマは2つが当然」と思ってらっしゃるだけで、見たことない方もいらっしゃるんですね。

小さい仔猫さんの睾丸は、まだ、あまりにも小さくて、解りづらいことがあります。それでも、必ず2つあるかの確認をします。診察のときに、必死で、「タマタマ2つあるかなあ~」と観察してても、変に思わないでくださいね。

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2009年6月13日 (土)

ティラノザウルス

これ、何だと思われますか?

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杉の木のチェーンソーアートなる、全長5mのモニュメントです。脚以外は、1本の木からなるそうです。

なんと、とある動物病院に設置されたものです。勉強会でご一緒させていただいていて、よく存じ上げている先生ですが、こんなものを、作ってしまっても、「…やっちゃった…」と笑える、ダイナミックなキャラが魅力的な先生です。

先日、その勉強会仲間の獣医さん達で、「とうとう、恐竜まで診察できるようになったらしい。」と、このモニュメントを話題にしていたばかりでしたが、この度、地方新聞にまで、大きく掲載される話題になってしまいました。

http://www.kobe-np.co.jp/news/hanshin/0002002502.shtml

なんでも、この作者の方は、チェーンソーアートで世界的な第一人者なんだそうです。農薬関係の仕事でお知り合いになった縁で、制作していただけることになったそうで、普通は、お願いできるはずもないことです。

和歌山県の龍神村で制作されたものを、西宮市まで運んで、設置するだけでも大変だったでしょうねえ。一見の価値ある名作ですので、お近くの方、お近くへいらっしゃる機会のある方、観に行ってみてください。

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2009年6月 1日 (月)

猫ちゃんの名前

ちょっと、猫ちゃんの名前を研究してみました。

当院に来院された猫ちゃんのお名前で、多いお名前順です。何となく、ミーちゃんは多いと感じていましたが、意外な結果もありです。

「ミイ/ミー」22匹。ミーミー鳴くからですね、きっと。ありがちです。やはり、一番でした。

「モモ」19匹。これは、意外でした。何でなんでしょう。

「チビ」13匹。小さい頃、チビだったからですね。たいてい、このお名前のこは、面影もないほど、巨大デブ猫になってしまったりするんです。

「クウ/クー」12匹。のどを鳴らす音が、クークーとも聞こえるからでしょうか。あと、「空」を「クウ」と読ませるこも多くて、「空」「海」「陸」「風」のセットは、ここ最近、ワンちゃんでもよくある名前です。

「ハナ」が同点の12匹。これも、意外です。

次点は、「クロ」と「ミミ」の9匹。「クロ」は多いのに、「シロ」は当院では2匹と、少なめ。ワンちゃんだと、もう少し多い気がします。某携帯電話会社CMのお父さん役ようなワンちゃんは、たいてい「シロ」と呼ばれてます。猫ちゃんのほうが、模様なしのまっ白が少ないのかもしれません。

以下、こんな、お名前が多かったです。「リン」8匹。「ナナ」7匹。

6匹が、「サクラ」「ジジ」「チイ/チー」「チャチャ」「チョビ」。「ジジ」は言わずと知れた「魔女の宅急便」の「ジジ」でしょう。あの映画がヒットして以来、黒ネコさんに多い名前です。「チョビ」は「動物のお医者さん」という漫画では、シベリアン・ハスキーの名前で出てくるのですが、猫ちゃんにも多かったんですね。

5匹が、「カイ」「ココ」「コタロウ」「タマコ」「チョコ」「ネコ」「ハッピー」「ハル」「ヒメ」「フク」「マロン」「ミュウ」「メイ」「ラン」「レン」です。関係ありませんが、猫好きの私の祖母も「たま子」といいます。

4匹が、「キキ」「コテツ」「スズ」「テン」「トラ」「フィガロ」「フウ/フー」「マル」「ミケ」「ユズ」「リュウ」「ルナ」「レオ」。「コテツ」は漫画「じゃりんこチエ」からだと思うのですが、関東で勤務医をしていた頃、「コテツ」という猫ちゃんの名前を不思議がるスタッフに、「じゃりんこチエ」の「コテツ」なんじゃないの?と言ったら、誰も、「じゃりんこチエ」を知らなかったことにショックを受けたことがあります。関西では、皆、「じゃりんこチエ」を観て育ってますよね。

3匹が、「アン」「オレオ」「クルミ」「コハル」「コロン」「サラ」「シン」「ジン」「ソラ」「チャ―」「ニャー」「ヒカリ」「マリモ」「マリン」「マルコ」「ミク」「ミルク」「ミント」「ユキ」「ライ」「ラム」「リク」です。

2匹になると、ちょっと大勢ですが、「アビ」「アミ」「アリス」「アル」「アンジュ」「エミリー」「カイト」「キョウヘイ」「キンタロウ」「グウ/グー」「クッキー」「クリ」「ゲンタ」「コウメ」「コトラ」「コムギ」「ゴン」「サチ」「ジーナ」「シャム」「シュワ」「ショコラ」「シロ」「スー」「タロウ」「チマキ」「チャッピー」「ナッツ」「ニーナ」「ノア」「ピコ」「ヒナ」「ビビ」「ヒョウタ」「フウタ」「ブチ」「プリン」「ポポア」「マイケル」「マオ」「ミーコ」「ミーシャ」「ミースケ」「ミル」「ミルキー」「ムウ」「ムウムウ」「ムギ」「ムム」「メメ」「メル」「モコ」「モミジ」「ララ」「リリー」「ルイ」「ルー」「レオン」…以上です。

何となく、春を連想させる「ハナ」「サクラ」「ハル」「メイ」「コハル」「コウメ」なんかが多いのは、春生まれのこが多いからなんでしょうか。意外と、「トラ」や「ミケ」や「ブチ」は少ないんですね。

ちなみに、登場しなかったお名前は、オンリーワンだったということです。珍しい名前を付ける派と、メジャーな名前を付ける派に分かれるようですね。我が家の猫達は、オンリーワン組です。実家のワン達は、「ララ」「ルナ」とメジャー組。そういえば、幼少時代に飼っていたワンは「ポチ」でした。今時なら、逆に、あまりいないですね。

オンリーワンの中で、ベスト変な名前賞は「加藤さん」。小学生のお子さんが名付け親だそうで、「加藤 茶さん」由来のようなんですが、加藤さんとおっしゃる方が来院されていると、ややこしいので、少し困ります。

ややこしいといえば、パグちゃんという名のシーズー犬がいて、しかも、同居犬がパグ犬だったものですから、ややこしかったですねえ。

ベストコンビ賞は、若手の「課長」と「次長」。熟年コンビの「ハリー」と「ポッター」。時代を感じますね。

有名人シリーズでは、「イチロウ」、「カート・コバーン」(ミュージシャンだそうです)、「シャビ」「ジオ」「メッシ」の3方は、ご主人が大好きなサッカー選手の名前由来だそうです。あまり馴染みのない私にとっては、少々覚えづらく、毎回、「えっと…黒いこが…、茶色い子が…」と、カルテを確認しなくてはならないので、心の中で、「クロジオ」「チャメッシ」と呼ぶことにしています。

ワンちゃんにはあるのに、猫ちゃんにはないのが、「ポルシェ」とか「ベンツ」。ダックス・フントなんかのドイツ犬に「ベンツ」と名付けるのは、なかなかうなずけます。でも、珍しくはないほどに、ダックス・フントの「ベンツ」くんはいるんです。そして、ここだけの話、私が思うにですが、決まって、ヒゲなんかはやしてて、お強そーな(はっきり言えばイカツイ)お父さんに連れられていらっしゃるような気が…。

そして、意外と多かったのが、食べ物シリーズ。最後にズラーっと並べてみます。「アマエビ」「アマナツ」「アメ」「アラレ」「アワビ」「アンコ」「イクラ」「イチゴ」「ウメ」「オリーブ」「カンパチ」「ガンモ」「キナコ」「キノコ」「キャンディー」「ココア」「ゴマ」「ジンジャー」「ナットウ」「ハーブ」「パセリ」「パン」「ポッキー」「ポテト」「マカロン」「マメ」「レモン」「ワサビ」「バニラ」「ハム」「ライム」

いかがでしたでしょうか。お家の猫ちゃんと同じお名前、ありましたでしょうか。いつか、猫ちゃんに名付けする機会がありましたら、ご参考までに。

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