猫の甲状腺機能亢進症
近頃、インターネットで検索したりして、情報収集できるようになり、すでに、よくご存じの方も多くなりました。甲状腺が腫瘍化して、ホルモンを多量に出す病気です。腫瘍ですが、転移したりといった悪さをすることは少なく、問題は、過剰に作られるホルモンの作用により生じるものです。
甲状腺ホルモンは、身体の代謝を活発にするホルモンですので、問題が表面化していないうちは、元気食欲が旺盛で、活発な猫ちゃんといった感じで、おおよそ、病気とは思えないものです。ホルモンバランスの崩れが支障をきたしてくると、たまに吐く、たまに下痢するなど、これといって、特徴のない症状がでることもありますが、たまに…のうちは、それほど気にとめずに済ませてしまっていることも多いと思います。
重篤な障害が生じるのは、ずっとずっと、後のことです。過剰に作られ続けたホルモンに、あらゆる臓器が、無理やり活発過ぎるほどに働かせ続けられ、あげくのはてに、ヘトヘトになってしまいます。とくに、心臓の問題が重要です。
10歳前後での発症が多いとはされていますが、早ければ5~6歳でも発症します。教科書的には、進行した甲状腺機能亢進症の猫ちゃんは、ガリガリにやせていて、眼光するどくギョロッと眼を見開いた表情をしながら、心臓はバコバコ、息づかいはフウフウと激しいイメージです。ですが、発症し始めたばかりの猫ちゃんは、案外ぽっちゃり、のんびりさんだったりもしますので、血液中のホルモン量を測ることでしか、見分けはつきません。
それに、ここのところ甲状腺機能亢進症と診断された猫ちゃん達のキャラは、あまり、教科書通りではありません。嘔吐することが多くなり、痩せてきたということで、検査した三毛猫さんは、幼少のころから、小食で、痩せていて、もの静かな猫ちゃんだったようです。実は、我が家の長老猫ゆきおくんもバッチリ(?)甲状腺機能亢進症なんですが、同じく、幼少のころから、小食でした。いつもヒトのソバでゴロゴロ、モミモミ、スリスリしてばかりいる大人しいヤツです。「まさか、うちのこに限って…。」と思わずにはいられません。必ずしも、キャラはあてにならないようです。
当院でも、中年齢以上のねこちゃんで健康診断をする場合は、甲状腺ホルモンの測定も併せて行うことを、お勧めしています。稀にではありますが、一見、全く普通で、他の検査でも異常なしの猫ちゃんで、甲状腺機能亢進症のごく初期、もしくは予備軍と診断される猫ちゃんがいます。早期に発見できれば、甲状腺ホルモンを抑えるお薬で、進行を緩和させることができます。血液を検査センターへ送るだけの検査で、猫ちゃんの負担も少ない検査ですから、理想的には5~6歳からですが、ご費用もかかることですので、誕生10周年記念には、ぜひとも検査をお勧めします。
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