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2009年11月

2009年11月27日 (金)

ウコンの力

早くも、もうすぐ12月。この頃になると、方々から、忘年会の予定が入ってきて、こうも、予定が続くと、楽しい気分を飛び越えて、憂鬱になったりもします。血液検査で、肝数値が高かった猫ちゃんに、「お前は、酒、呑まないのになあ…。」って、話しかけてるお父さん。「接待やら、忘年会やら…、お父さん、大変なのかなあ。」って、ちょっと、心配してしまいます。

肝臓は、「沈黙の臓器」とも云われ、ヒトでさえ、自覚症状が出づらく、調子が悪くなったときには、すでに、深刻な状況になっていることのある臓器です。ましてや動物では、更に、進行しないと解ってあげられないということになります。

肝臓病にも様々なものがあります。犬では、遺伝的にある肝臓病が多い品種もありますし、ヒト同様、ウイルスや細菌による感染症のこともあります。田畑にまいてあった除草剤や殺虫剤を誤食してしまって、劇症肝炎を起こすなんていうのは、動物ならでは、かつ、地域性もあるかもしれません。

猫ちゃんの肝臓病の一般的なものとしては、ウイルスや寄生虫感染によるもの、薬物や毒素によるもの、腫瘍性、炎症性のものなどがありますが、最も、多いのがリピドーシス(脂肪肝症候群)です。肝臓に脂肪が蓄積して、肝障害を起こしてしまうものです。

リピドーシスから始まることもあり、他の病気に引き続いて、リピドーシスを合併してしまうこともあります。肝炎、腫瘍、そして糖尿病はリピドーシスを引き起こしやすい病気の代表です。インスリン不足もしくは、反応不足で、糖を利用できなくなる糖尿病状態では、おのずと、生命の維持に必要なエネルギーを体脂肪から得ようとして、イッキに脂肪が肝臓へ動員される結果、リピドーシスを起こします。

そして、非常に、非常に重大な素因は「肥満」です。その次に、重大なことは、「食欲不振」です。猫は1週間絶食すると、リピドーシスを起こすといわれています。食餌からのエネルギーがとれない分、体脂肪でまかなおうとした時、そもそも、脂肪をたっぷり蓄えている「肥満」猫ちゃんほど、肝臓への脂肪蓄積が生じやすく、危険なことになります。残念ながら、ラクダのこぶのようには役立たないんですね。

実際、私も、ただ、食べなくなっただけで、リピドーシスにまでなってしまった猫ちゃんを診た経験があります。普通に元気だった猫ちゃんが、お引越ししてから、新居になじめず、全く食べないままに1週間。「そのうち慣れるだろうと、少し、様子をみてたんですが、今日から、嘔吐し始めたんで、心配になって…。」そう、おっしゃって1週間目にご来院。血液検査をすると、血液の上澄み部分である血しょうが真っ黄色です。肝障害による黄疸です。まさしく、絶食により、リピドーシスを起こしてしまったケースでした。

リピドーシスの治療の大黒柱は、栄養維持です。体脂肪からエネルギーを得ようとすることを、やめさせなければなりません。ですので、とにかく、食べさせなければなりません。自発的に食べなければ、チューブで流動食を与えることもします。点滴をして、脱水症状の補正をします。薬物や栄養剤などで、胃腸の働きの手助けや、肝臓に蓄積された脂肪を運びだして、健康な肝臓を作り直すための精一杯の手助けをします。

恐ろしいことに、一般に報告されているリピドーシスの生存率は、50~60%です。もちろん、その原因となった基礎的な病気が何かにもよりますが、どんなに、軽症でも、油断大敵です。うまく、食餌をとれるようになれれば、ひと安心なのですが、嘔吐が激しくなり、栄養補給がままならなくなると、リピドーシスがどんどん進行する悪循環に陥ってしまい、悪化の一途。最悪、亡くなってしまうこともあるのです。

とまあ、なにせ、「沈黙の臓器」ですから、ヒトも猫ちゃんも、十分、用心しなければなりません。近頃、ある知人に、「ウコンの力」を飲むと、二日酔いにならないと教えてもらいました。一度、試してみましたが、プラセボ効果もあってかもしれませんが、確かに、いいような気がします。タイムリーなことに、スーパー・マーケットで、「ウコンの力」特売!を発見して、早速、忘年会の回数分の「ウコンの力」を買い占めた私でした。

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2009年11月20日 (金)

猫ちゃんだって、お勉強

いろんなことを学習させるといえば、猫よりも犬を連想してしまいます。「お座り」「伏せ」「待て」「お手」など、日常の躾的な芸から、アジリティー、フリスビーのようなハイ・グレードな芸まで、レベルは様々ですが、確かに、犬の学習能力はスゴイし、それもまた、犬と暮らす大きな楽しみだと思います。

ですが、危機事態を学習するのは、猫の方が本能的に優れているはずです。一度、キャリーに入れて病院へ連れて行かれて以来、「キャリー→手の届かないところへ隠れる」ということを、バッチし学習してしまった猫ちゃんは、少なくないはずです。

これが、ワンちゃんだと、ちょっと、油断しがちです。リード→(お散歩?)喜ぶ→車に乗る→(公園へお出かけ?)もっと、喜ぶ→病院方向へ進路変更→(?)ちょっと不安になる→病院到着→(思い出した!イヤなところだ!)病院に入るのをイヤイヤする…けど、もう遅い。

猫ちゃんの場合、そんな風に、一度、イヤなこと!と認識してしまうと、その後の修正は難しいかもしれません。ですので、猫ちゃんが、幸せに長生きするために、してあげたいことは、イヤにならないように上手に学習させなければなりません。

爪切り、歯磨き、ブラッシングなど、お家でのケアーができるニャンになるには。粒の薬だって上手に飲めるニャンになるには。お客さんにおびえたり、威嚇するようなニャンにならないようにするには。病院へ行くのに、キャリーに入るのを愚図らず、病院でも興奮することなく診察を受けれるニャンになるには。呼べば、とんでくるようなニャンになるには。「お座り」とか「お手」なんかもできたりする?等々、課題は、山盛りですね。

「そんなの、猫ちゃんの気質にもよるし…、猫に躾なんてムリムリ!」と思いがちですが、けっして、そうばかりでもありません。こんな、優等生ニャンになれれば、病気の予防、早期発見、治療もスムーズ。すべては、猫ちゃんのためなので、少しでも、クリアーできるように、お勉強です。

やはり、2~7もしくは9週齢の社会化する時期にお勉強するのが、警戒心も少ないので、一番スムーズです。どんな、お勉強をするかというと、とにかく、触る。すべては、それから始まります。といっても、イヤな気にさせてしまっては、逆効果ですので、無理やり抱いたり、触ったりは禁物です。猫ちゃんが、ウトウト、ゴロゴロ、クウクウ、うっとり気分でご機嫌なとき、夢ウツツなときを狙って、おでこをなでる、頬をなでる、顎下をなでる、背中をなでる、身体をなでる、お腹をなでる。とにかく、「触られることは、気持ちいいこと」を学習させます。

嫌がらずに、そのままご機嫌なら、ちょっとランクアップです。足先を触ります。爪を切るときのように、パッドをプニュッと押してみます。嫌そうにしたら中止して、嫌じゃないところのナデナデに戻ります。そんな感じで、とにかく、根気よく、少しずつランクアップしていきます。そして、撫でる手の代わりに歯ブラシで、ナデナデ。歯ブラシナデナデが大好きになったら、ついでに、歯ぐきをナデナデ。これで、歯みがき大好き猫の出来上がりです。パッドをプニュプニュされてご機嫌なら、爪をプチッ。爪切りも平気猫の出来上がりです。もちろん、ここで、深爪は、超NGです。

すべての基本は、ヒトと触れ合うことに慣れることです。いろんな、ヒトに慣れる。いろんな、シチュエーションに慣れる。いろんなところを触られることに慣れる。キャリーだって、いつも、安心できる隠れ家だったり、中に入るとご褒美もらえるところだと学習したら、キャリーに入るを愚図らないニャンになります。病院で必ずご褒美もらえるのもいいですね。ただ、警戒心満載になってしまってからだと、せっかくのご褒美も、「そんなもん、食べてる場合じゃないしー!!」ということになりますので、小さい頃から習慣付けないと、よほどの食いしん坊でなきゃ、難しいかもしれませんが。

粒のお薬を飲むお勉強も、ぜひとも、クリアーさせてあげてほしいことです。フードに混ぜて食べさせる方法もありますが、ワンちゃんに比べると、敏感に察して、食べなくなってしまうことが多いですし、具合が悪い時は、食欲も落ちるものです。具合の悪い時に、お薬を飲めないのでは困ります。お勉強方法としては、お腹ペコペコのときに、ドライフードの粒を口を開けて入れる。慣れてきたら、奥の方までいれる。という感じで、給餌します。やっぱり、育ち盛り、食べたい盛り、警戒心の無い仔猫の頃の方が、すんなりお勉強できるには、違いありません。ヒナ鳥のさし餌ほどにはならないでしょうが、食べたい一心で、せっせと、お口をパクパク開けるニャンに育ってくれるはずです。

、とまあ、云うのはたやすいですが、なかなか、満点猫になるのは、超難関です。とくに、もう、オトナになってる猫ちゃんは、更に、難しいかもしれませんが、「味をしめる」的学習能力が抜群なのも、猫ならではです。嬉しいことがおきるお勉強なら、オトナの猫ちゃんだって、まだまだ、できます。

「お座り」させて、ハイご馳走。「お手」をさせて、ハイご馳走。猫ちゃんだって、覚えるんです。名前を呼んだら、とんでくるようになるお勉強は、名前を呼んで、連れてきてから食餌の準備をして、与えるようにする方法。ここで、注意点は、食餌の準備を先にしてしまわないこと。食餌の準備の音がすると、とんでくるニャンになってしまうからです。他にも、名前を呼んでから、喜ぶことをしてあげることで、「名前→いいことがあるかも…行かなきゃ!」と学習します。

我が家のニャンは、爪切り、歯磨き、ブラッシングなんかは、もちろんゼンゼン平気です。でも、私が名前を呼ぶと、とんでくるどころか、めんどくさそうな眼で、チラ見するのは何故でしょう。悲しいかな、「こいつ、時々、注射したりするヤツだ…。」と学習してるに違いありません。ここは、ひとつ、ご馳走片手に、芸でも仕込んでみますか。「ちょっと、面倒なことさせるけど、ご馳走くれることがある、いいヒト。」と学習し直してくれるかもしれませんし。

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2009年11月13日 (金)

猫の幸せな室内暮らしに必要な6箇条

以前は、猫といえば室内外を自由に行き来して暮らすのが一般的だったかもしれません。ですが、お外には、病気がいっぱい、危険がいっぱい。おのずと、外にも出て暮らす猫の平均寿命は、7~8年と、完全室内飼いの猫の約半分です。生粋のノラ猫の平均寿命は、2~3年といいますから、お外での猫暮らしは、決して幸せなものではないと思います。

ですが、完全室内ゆえのストレスも、考えてあげなければならないことです。先日、「猫の行動学」のセミナーで演題にあがったお話をご紹介したいと思います。室内飼いの猫が、猫らしく暮らすのに必要な6箇条のお話です。

①外が見れる場所=窓…猫らしい行動のひとつに捕食性行動があります。「獲物を捕まえる」のが大好きな猫ちゃんは、動くものを見るのが大好きです。それ故、ベランダに出て、下を眺めているうちに、何かを捕まえようとしてしまったのか、ジャンプ!→転落事故ということもありますので、危険のないように注意してあげてください。

②上下運動ができるスペース…たいていの猫ちゃんは、高いところが大好き。ですが、まれに、ものぐさな猫ちゃんもいます。そんな場合は、高いところにフードを置く等、のぼるように仕向けることが重要です。一日中ダラダラと寝ているのは、どう考えても、健康的ではありません。ただ、猫ちゃんも、高齢になると、足腰が弱ってきますので、無理のない程度にしてあげてください。

③隠れる場所、もしくは独りになれる場所…猫ちゃんたちが、折り重なるように身を寄せて、丸まって寝ている光景は、何とも、ほほえましいのですが、本来、猫は単独行動をとる動物です。ときには、独りになりたいこともあるに違いありません。キャリー・ケースを隠れ家として、常に解放して置いておくのも、よい方法です。キャリーケースが安心できるスペースになれば、「キャリー・ケース=病院へ連れていかれる→逃げろ!!」という奮闘をしなくてもよくなるかもしれません。

④おもちゃ・遊び相手…捕食性行動を満足させてあげることと、社会的刺激を与えてあげるということも大切です。気に入ったおもちゃを与える。ぶら下げておく。紙くずやアルミ箔を丸めたものをころがしてやる。等々。毎日、遊んであげて、遊ぶ習慣付けをします。でないと、高齢になると、「何もしない猫」になってしまいます。仔猫の頃は、ヒトのほうが、お相手しきれないほどの遊び好き。本当は、仔猫同士で遊べるのが、社会化させるうえでも、一番理想的でしょう。猫が社会化する時期は、2週齢~7週齢もしくは、9週齢までで、それ以降は、慣れにくくなっていきます。社会化する時期なら、ワンちゃんとでも、仲良しの猫ちゃんになれます。「ペットショップへ、チワワさんを買いに行ったら、兄弟猫が先に売れてしまって、独りぼっちになり、しょんぼりしていたアメリカン・ショート・ヘアーが可愛そうになって、一緒に買ってきてしまった…」という方がいらっしゃいましたが、仔犬・仔猫の頃から一緒に育ったふたりは、兄弟のように、とっても仲良し。大人になっても、小さいままのチワワさんと、はるかにデカくなったアメショーさん。奇妙な仲良しコンビです。

⑤食餌・草…決まった時間に、決まった量を与えるのが理想的ですが、そうすると、一日中、「ニャー!ニャー!ニャー!ニャー!(めし!めし!めし!めし!)」とやかましい猫ちゃんや、どうしても、置きっぱなしにせざるを得ないご事情で、そうすると、一日中、食べて、寝て、食べて、寝て…の繰り返しだという猫ちゃんへの、グット・アイディアな食餌の与え方です。ペットボトルにドライフードを入れ、転がすとフードがこぼれ出るような横穴を開けておきます。頑張らなきゃ食べれない方式にしておくと、食べ尽きるまでの時間稼ぎになりますし、運動不足解消、捕食性行動を満足させる効果もある名案です。猫ちゃんを夢中にさせるポイントは、初めは、横穴をたくさん開けておいて、簡単に出るようにしておくことです。慣れてきたら、穴を減らしたり、小さくして、難問に挑戦させるようにしていきます。「草は、与えなければならないか?」よく、質問をお受けします。むかつきを感じた時に、イネ科の草を食べて、催吐しようとすることは、動物が本能的に行っていることではありますが、「食べなければならない」というわけではありません。むしろ、毛球トラブル対策なら、ブラッシングを十分にしてあげたり、毛球の排泄を促すチューブ剤などで、吐かずにコントロールできるほうが理想的です。ですが、本能の赴くままに、食べたら危ない観葉植物などを誤食しないように、安全なものを用意しておくというニュアンスだと、お考えいただければよいかと思います。

⑥トイレ・爪とぎ…猫は5~6週令でトイレを覚えますので、チビ猫ちゃんでも、トイレは準備してあげましょう。安心して排泄できるように、目隠しを付けるなど、工夫してあげるとよいでしょう。爪とぎは、マーキング行為のひとつです。本来は、木の幹などにするものなので、水平に置くより、壁面などに垂直に取り付けてあげるほうが、良いかもしれません。材質に好みがありますので、お好みのものを選んであげてください。段ボール製のものを好むことが多いようですが、古くなると使わなくなるので、取り換えが必要です。この爪とぎ行為は、ストレスが多いと増えます。なので、バリバリ激しい時は、「何に、ムカついてる?」と、考えてあげてください。

いかがでしょうか。猫様にとって、満足度の高いお家になってそうでしょうか。ご参考までに。

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2009年11月 6日 (金)

長老猫ゆきおちゃんとのお別れ

とうとう、我が家の長老猫ゆきおちゃんとも、お別れしなければならなくなりました。このお話を、どんなふうに、何から始めれば良いものやらと、考えあぐねている間に、すっかり、ブログをお休みしてしまいました。

ここ2年ほど、体調を崩すたびに、(もう、そろそろ、難しいかも。)という予測に、嬉しい裏切り=復活を繰り返してくれておりましたが、今年の夏ばかりは、絶対、乗り切れないだろうと、覚悟はしておりました。

夏は、猫様達のために、日中も、エアコンをつけっ放しにしてはおりましたが、それでも、耐えられず、ハアハア、ヘロヘロに弱って、痩せてしまったゆきおちゃん。何とか体調維持せねばと、無理に、フードを食べさせようとするのですが、息があがってしまい、かえって、負担になってしまいます。

そこで、先だって、このブログでも紹介した、チューブ・フィーディングをすることにしました。鼻の穴から、胃の少し手前まで、チューブを入れます。顔に、何ヵ所か留めておきます。これで、無理に口を開けられ、飲まされていた薬や、無理やりつっこまれてたフードから解放されます。普通は、自分でチューブを抜いてしまわないよう、エリザベスカラーを着けるのですが、ゆきおちゃんは、おバカなのか、全く気にとめず、ほっぺたに、チューブの端をプラプラさせながら、超ご機嫌でした。

チューブから薬と、流動食を流し込むのですが、ウロウロされると、やりずらいので、あごの下をなでたり、額をなでたりと、ご機嫌とりしながらやっているうちに、ヒト好きなゆきおちゃん的には、その高待遇がとてもお気に召したらしく、流動食を手に持って、「ゆきお!」と呼ぶと、ピョンッ!と、ソファーの横に鎮座して、ゴロゴロ、ゴロゴロのどを鳴らすご機嫌ぶり。

真夏の1ヶ月間。ゆきおちゃんの、チューブ・フィーディングは続きました。ゆきおちゃんは、かつて無いほどにかまってもらえて、超お喜びだったことと思います。それに、少しずつ、体調を取り戻し、食欲も出てき始め、涼しくなり始めたころには、「これは、ひょっとして、またも復活か!?」と期待してしまっていましたが、お別れの日は、思ったより、突然でした。

まさか、亡くなる日だとは思えない感じで、小食ながらも、朝ごはんを食べ、このところ、ずっとそうだったように、多少、疲れたかんじの表情でしたが、ホントに、まさか亡くなる日だとは思いませんでした。

私が、帰宅するのを、待っていたようでした。いつもとは、違う居場所に横になっていたので、「珍しく、こんなとこにいる…」とだけ思いながら、ゆきおちゃんの横を通り過ぎようとしたとき、「…んにゃあ…」と救いを求めるような悲壮な鳴き声。「え!?」っと、覗き込むと、ハアハアと肩で息をしながら、必死の表情で私を見上げている、ゆきおちゃん。

「これは、ヤバイ。」瞬時に思考をめぐらしました。ゆきおちゃんの命がヤバイのは、確信です。それは、もはや、どうしようもないことも、ほぼ確信です。ヤバイのは、その日、ゆきおちゃんの本来の飼い主である、主人が福岡へ出張に行っていたことです。最終の新幹線で帰宅すると聞いていましたので、まだまだ、帰ってくるはずがありません。「最期に会わせてあげたい。」という「ヤバイ」です。

何とか、時間をかせげないものかと手をつくしましたが、思いの外、時間をかせげないままに、意識がなくなってしまいました。それでも、主人の到着を待って、ゆきおちゃんは、息をひきとり、心臓が完全に止まるまで、二人で見守ってあげることができました。

覚悟はしていたものの、かなり、想定外なお別れでした。やっぱり、生き物の生死は、予測しきれないものです。

「ゆきおー!」と呼ぶと、どこからか、「ニャニャニャニャニャー!」と駆けて来た、若かりし頃のゆきおちゃんが、ふと、廊下の向こうから、やってきる錯覚がしたりして、ちょっと、寂しんぼになっている気分をぶち壊すかのように、ズンッ!ズンッ!と、頭付きで攻めてくる、次男坊の虫太郎。てっきり、ヒト嫌いなのかと思っていましたが、どうやら、ほんとは甘えたかったのに、いつも、ゆきおちゃんに先を越されて我慢してたんでしょう。チャンス到来!とばかりに、甘え倒してくる虫太郎に、複雑な気がしないでもありませんが、そんな、悪気も何もない表情をみていると、寂しがってるのもどうかな…、と、「前向き(?)」な猫的発想に、ある意味、励まされたりもします。

それでも、お別れは、やっぱり寂しいですが、それよりも、たくさんの楽しい思い出をくれた、ゆきおちゃんに、感謝、感謝です。

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