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2009年12月

2009年12月29日 (火)

年末年始の診療日のお知らせ

今年は、お正月休みが短いとか、不景気だとか、ちょっとさびしい話題がもちあがりがちではありますが、それでも、だんだんと、お店には、お正月ものが並び始め、街の飾りも、お正月バージョンへと変わり始め、すっかり、年末気分になってきたのではないでしょうか。

皆様が、健やかに、楽しい新年をお迎えいただけますことを、お祈りいたしております。

尚、まことに勝手ながら、下記日程で、新年に、休診日をもうけさせていただいております。あらかじめ、ご了承のほど、お願い申し上げます。

12月31日(木)まで、平常通り診療

1月1日(祝) 休診

1月2日(土) 休診

1月3日(日) 休診

1月4日(月)より、平常通り診療

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2009年12月22日 (火)

ウイルス感染症の検査ー③猫伝染性腹膜炎ウイルス感染症

本当に、イヤな病気です。予防の仕様がなく、予測の仕様がなく、治療の仕様がない感染症です。そして、診断までも、ややこしい感染症です。

この、猫伝染性腹膜炎ウイルス感染症は、免疫複合体と云って、生体に侵入してきたウイルスと、それをやっつけようとする抗体が結合したもの自体が、体中のあっちこっちで炎症を起こしてしまう病気です。その病気のあらわれ方の違いで、ウェットタイプとドライタイプという、2つのタイプがありますが、病気が発生するしくみは同じです。

ウェットタイプは、その病名の通り、腹膜炎を起こして、腹水が貯まったり、それが、胸腔で生じると、胸水が貯まるタイプです。このタイプでは、濃黄色で、少々、粘り気のある、特徴的な液体が貯まります。ですので、この様な液体が貯まっていれば、実質的には、決定付けられるということになってしまいます。

診断が難しくなりがちなのは、ドライタイプのほうです。このタイプは、身体中のあちこちで炎症が生じ、その結果、しこりを作るものもあります。腎臓にボコボコとした凹凸が出来たり、腸に塊状のしこりができたりと、手で触れば解るものなら、察しがつきやすいのですが、内臓全体に炎症を起こすものでは、侵された臓器によって、症状も様々ですので、なかなか、診断にたどりつかないこともしばしばです。

従来からされてきた検査方法は、血液中の抗体価を測る方法です。ウイルスが体内に侵入してくることで、身体の防御機構の1つとして、それをやっつけようとする抗体を作るのですが、抗体価とは、その抗体の量です。ウイルスと接触し、闘った経験値ですので、検出レベル以下なら「疑いなし」、かなりハイレベルなら「感染」、となりますが、中間レベルの場合の判断がややこしいのです。かつてに、ウイルスと接触したことがあるだけで、今は、関係ないのかもしれませんし、今、まさに、抗体産生をスタートしたばかりなのかもしれません。判断材料としては、発熱などの症状、血液中の蛋白が多くて、この病気で生じる、特徴的なバランスになっている等、他の要素を合わせて評価するか、2週間後に再度、抗体価を測定して、上昇傾向があるかの確認をします。

といった、説明するのも大変な、ややこしい話だったのですが、近頃、遺伝子検査ができるようになり、胸水、腹水中や、血液中にウイルスがいるか、いないかを調べることができるようになりました。かなり、画期的なことです。

ところが、もう一点、ややこしい問題があります。この猫腹膜炎ウイルスは、コロナウイルスという仲間のウイルスなのですが、コロナウイルスには、もう一種類、腸炎をおこすものがあって、抗体価検査にしろ、遺伝子検査にしろ、腸炎のコロナウイルスなのか、腹膜炎のコロナウイルスなのかは、区別がつきません。

ただ、腸炎のほうなら、しかるべき治療をしてあげれば、回復するのが通常ですので、コロナウイルスが(+)で、どうも、すっきりとしないとなると、猫伝染性腹膜炎ウイルス感染の疑い濃厚と考えざるを得ないのです。

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2009年12月15日 (火)

ウイルス感染症の検査ー②猫後天性免疫不全ウイルス感染症

基本的には、前回の猫白血病ウイルス感染症と同じく、血液で調べる検査キットで診断します。ただ、反応させるものが猫白血病ウイルス感染症では、抗原(ウイルス本体)ですが、猫後天性免疫不全ウイルス感染症では、抗体になります。抗体とは、生体にとって良からぬ侵入者をやっつけるために、自らが作り出した、「侵入者にタックルしてやっつける役」です。

そこで、ちょっと、ややこしいことがあります。

まず、母猫が感染していると、約6ヶ月齢までは、移行抗体が残っていることがあり、この抗体に反応して(+)になることがあります。

移行抗体とは、生まれたばかりで、まだ、自分で作り出した免疫が皆無の間、外界から、仔を守るために、妊娠中には胎盤から、出産直後の初乳から分け与える抗体のことです。ですから、感染したことによって作られた抗体ではありませんし、いずれ、なくなってしまいます。移行した、抗体の量により、2ヶ月齢未満で消えてしまうこともあるでしょうが、最長で、6ヶ月齢まで残ることがあるとされています。

もちろん、それとは、別に母猫から感染するリスクもありますので、感染したせいで、抗体をもっている可能性だってあります。

この区別は、病院内でできる簡易キットではできません。6ヶ月を超えるのを待って、もう一度検査してみるという方法もありますが、血液を検査センターへ送って、PCR検査という遺伝子を調べる検査をすれば、月齢にかかわらず、区別することができます。

もう一点は、ワクチンが開発されたために生じる、ややこしいことです。

ワクチン接種すると、生体は、それらの病気をやっつける免疫反応を習得しますが、その一つが、抗体を作ることです。ですので、ワクチン接種後に簡易キットで検査すると(+)になるのです。これも、検査センターでは、ワクチン接種で作られる抗体とは異なる抗体に反応させる方法で、区別することができます。保護した猫ちゃんなど、ワクチン歴が解らない場合は、この確認も必要になります。

感染してから、(+)になるのに、1ヶ月要するのは、猫白血病ウイルス感染症と同じですが、いったん(+)になると、(-)に戻ることは一切ありません。比較的潜伏期間が長く、8~10年間も無症状のこともあり、外観だけでは、全く解りませんが、その間も、ウイルスは排泄し続けていますので、他の猫への感染には、要注意です。

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2009年12月 8日 (火)

ウイルス感染症の検査ー①猫白血病ウイルス感染症

感染しているかどうかは、血液で調べます。猫白血病ウイルス感染症と、猫後天性免疫不全ウイルス感染症の両者を病院内で簡単に調べることができる簡易キットがあります。血液と試薬を混ぜたものを、キットに流しこんで、数分後、感染があれば、マークが色付いて簡単に判定できるものです。

猫白血病ウイルス感染症の検査は、血液中のウイルス抗原、つまりは、ウイルスそのものが血液中にいると反応します。ウイルス血症となり、この反応が出るのに、感染してから約1ヶ月かかります。

ですので、お外生活をしていた猫ちゃんを、保護してすぐに検査をして(-)だったとしても、安心はできません。その後の1ヶ月の間に(+)に変わるかもしれないということです。ですので、他の猫に感染させる心配がないかという確認のためには、完全に感染ルートを経ってから1ヶ月以上経ってから、検査しなければなりません。これで(-)であれば、その後、再び(+)に変わることはありません。

では、保護して、すぐ検査をすることに意味がないか…ですが。これは、難しいものがあります。大丈夫なことを前提に、証拠取りをしようというなら、1ヶ月経つのを待ってから検査したほうが、検査料が一回分で済むというメリットがあります。

ですが、(+)だった場合にも、免疫力が強ければ、ウイルスを排除してしまえることのある感染症ですので、すぐに、検査をしていれば、インターフェロンの投与を試みる等、策を講じることができるかもしれません。

うまくして、(+)から(-)に戻ってくれれば、ウイルスにまつわる様々な悪行から救われますので、超ラッキーなことです。ウイルスを排泄して、他の猫に感染させる心配もありません。ですが、一過性にでも、(+)になった場合は、すでに遺伝子レベルでの傷害を受けているので、将来的に、腫瘍を発生する率は上がってしまうそうです。おそるべし…ですね。

ただし、(+)が(-)に戻る可能性があるのは、(+)になってから、1ヶ月位の間だけですので、長期間、感染ルートがあった場合には、(-)に戻る可能性は低くなります。(+)になってから、どのくらい経っているかを調べるすべはありませんので、年齢、生活状況から推察するしかありません。

1ヶ月以上持続して(+)であれば、持続感染しているということになり、再び、(-)に戻ることはありませんし、特に、症状がなくても、ウイルスを排泄しますので、接触や、トイレ、食器などの共用から他の猫に感染させてしまうことになります。

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