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2010年6月

2010年6月23日 (水)

猫ちゃんはオンナ好き?

「なぜ、猫専門なんですか?」その問の答えというわけではありませんが、「猫ちゃんは、女性好き」なんだと、勝手に思っていることも、ひとつの理由です。勤務医時代には、「女性の先生希望」という嬉しいご指名を受けることが、しばしばありました。

理由のほとんどは、「男性のことを怖がる。」これは、小型~中型犬と猫ちゃんに多い理由です。確かに、女性ドクターには従順で、大人しいのに、男性ドクターには、キバをむいて怒りまくるこっているんですよね。怒らないけど、恐ろしさのあまり、ヨダレだらけになって、おしっこチビっちゃったりするこもいます。こんな時、女性ドクターってだけで、ちょっと、鼻高々になってしまいます。

「男性には、超攻撃的になる。」これは、中~大型犬に多い理由です。ですが、このタイプのこは、女性だったら、大人しいという訳ではありません。たいていは、「超攻撃的」なのが、「攻撃的」で済むだけなのです。

しかも、なぜか、でっかいズータイしたグレート・デンなんかが、女性ドクター指名だったりするのです。体重80kgもある超大型犬ですので、お家の方がコントロールしようとは、してくれますが…。正直、怖いです。「女性なら大丈夫なんです。」と、おっしゃる後ろで、「ウウゥーーーー…」と、ヨダレ垂らしながら唸ってます。(ホンマに大丈夫なんかいな。)「でも、なんかあったら、逃げて下さいね。」(なんか、あるかもしれんのかい!大丈夫ちゃうやん!だいたい、なんかあったら、食べられて、逃げられへんっちゅうの。)結構、獣医さんは、こんな、「気合い」が必要な仕事をしています。

猫ちゃんは、独り暮らしや、年配の女性でも飼いやすいというワケで、女性が飼われていることが多いからとか、家にいる女性と過ごす時間が長いからなのか、とか、獣医さん仲間でも、色々な推測をするのですが、独り暮らしの男性が飼われている猫ちゃんでも、男性を怖がることがありますので、恐らく、男性のほうが警戒されやすく、ワンちゃんよりも、猫ちゃんのほうが、より、警戒心が強いということなのでしょう。

だったら、女性ドクターの特権。猫専門にすれば、ワンちゃんと、男性ドクターの恐怖が無い分、喜んでいただけるかも。これも、猫専門の理由のひとつにあります。

ご家族の中でも、お父さんやお兄さんを嫌ってるというお話はよくお聞きします。逆に、お父さんが大好きという猫ちゃんもいますが、知らない人となると、男性は敵となってしまうことが多いように思います。まったくの私の主観的統計では、超男性嫌い10%、やや男性嫌い30%、知らないひとはどっちも嫌い30%、好きでも嫌いでもない27%、誰でも大好き3%。

ちなみに、我が家の猫どもは、みんな、主人びいきです。私のことは、投薬、注射、爪切りなどなど、危害をもたらす人物という認識のようです。それに、冬は、冷え症な私のそばより、やたら基礎体温の高い主人のほうが、暖をとるのにいいようですし、なにより、ウォターベッドのようなブヨブヨ感のある主人の腹の上は、私の膝の上より、居心地いいからに違いない!と、負け惜しみを言っている、我が家では、さっぱり猫に不人気なにゃんこ先生です。

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2010年6月12日 (土)

咬み傷

お家の中だけで暮らす猫ちゃんが増えてきて、かなり減りはしましたが、それでも、なお、診る機会の多いもののひとつです。

ワンちゃんでも、あるにはありますが、たいてい、散歩中や、最近ではドッグランでなど、オーナーさん同伴の時に咬まれることがほとんどですから、すぐに処置してもらえるためか、猫ちゃんほど、こじれることは少ないように思います。

猫ちゃんで咬み傷を負うケースは、ほとんどが、ひとりでお出かけ中、出くわした近所の猫に、売られたんだか、売ったんだかの喧嘩傷です。運がいいのか悪いのか、肢を咬まれてひどく腫れてしまったり、跛行していると気付いて貰えるかもしれませんが、そうでもなければ、出血したとしても、お家に帰るまでに、舐めてキレイになっているでしょうし、鋭いキバによる小さな穴でしかないキズは、毛に覆われて、オーナーさんには気付いてもらえるはずもありません。

そして、来院される理由は、「元気がない」「グッタリしている」「食べない」というもの。咬み傷から入った細菌による化膿、発熱が、その理由です。たいてい、受傷して1週間くらい経ってからのことです。そこを、頑張って過ごした猫ちゃんだと、「ケガして、血が出てる」と来院されるのですが、それは、血ではなく、血交じりの膿なのです。

猫ちゃんの皮膚は、ブヨーンと、よく伸びます。ヒトと違って、皮膚と筋肉のつながりが緩いのです。そこで、猫ちゃんならでは、咬み傷のような、ちいさな穴でしかないキズを負った場合に、表面の傷がすぐ塞がってしまうのが災いして、皮膚の下に入り込んだ細菌が、中でどんどん増えてしまいます。やがて化膿すると、ブヨーンと伸びる皮膚の下で、どんどん膿が貯まります。長時間、膿が貯まり続けると、やがて、皮膚が傷んでしまい、ついには裂けて、多量の血交じり膿が流れ出すことになります。

こうなるには、受傷後2週間は経っているものなのですが、血を見ると「大変だ!」と焦るのはヒトの常で、たいてい、大慌てで来院されます。ですが、猫ちゃん的には、腫れて痛かったり、発熱して辛かったりした時期は通り過ごし、貯まっていた膿が外へでてくれて、幾分か楽になってきた頃というわけなのです。

咬み傷の治療は、こじれさえしなければ、オーソドックスなものです。咬まれてすぐなら、抗生物質の投与だけで、済むこともあります。しょう液というお汁が貯まり始めていたら、ドレーンという排液させるための管などを傷口から入れておくこともあります。

本格的に、膿が貯まっていたら、切開して排膿させてから、洗浄してきれいにしていくか、膿の貯まった部分丸ごとを手術で取り去り、健常な所同志で縫い合わせなければなりません。自然に裂けて膿が出てきた場合も同じことですが、すでに広範囲の皮膚が傷んでしまっている場合は、新しい皮膚に置き換わるのに、それ相当の日数がかかります。

治療がうまく奏効せず、どんどん皮膚の下での貯まりがひどくなり、どんどん皮膚が傷んでいき、半身ずるむけ状態なほどになってしまうこともあります。感染している細菌の問題だったり、猫ちゃん側の免疫力の問題だったりするのですが、これは、もう、本当に頭を抱えてしまいます。なんとか、広がりとどまり、快方に向かい始めてからでも、1~2ヶ月は根気の治療が必要になるでしょう。

もう、何件の咬み傷を治療して、同じ説明をしたことでしょう。切開して、血まじりの臭ーい膿が、ドッバーと出てくるのなんて、まったく慣れっこですが、初めはビックリしてたんでしょうか。それすら、忘れてしまいました。一度、お父さんに保定してもらって切開排膿したら、ドッバーと血交じり膿が溢れ出したとたん、白眼をむいて、バッターンと後ろに倒れてしまわれたことがありました。

動物が倒れようが、大出血しようが、さほど、驚きませんが、目の前で、ヒトが白眼むいて倒れるなんて、私も発狂しそうなほど驚きました。初めて見るものは怖いもんなんだということでは、同感。倒れたお父さんに同情しないでもないのですが、その事件以降、男性が付き添われてらっしゃる時は、見ないで済むよう心配りするようにしています。そして、たいてい、女性は大丈夫です。きっと、女性には、母になるための度胸が、遺伝子に組み込まれているにちがいありません。

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