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2010年7月

2010年7月28日 (水)

猫のトイレ事情

「トイレじゃないところで、排泄してしまう。」これ、猫ちゃんの困った問題No.1じゃないかと思います。なんてったって、臭いですから、そりゃあ、そりゃあ困ります。困ってらっしゃるかたは、治したいに決まってます。案外、簡単に治ることがあります。治せないこともあります。それは、それぞれの事情によるからです。

猫のトイレ失敗の理由ですが、大きく2つに分かれます。1つは、泌尿器系の病気、尿量が増える病気、排尿・排便時に痛みを伴う病気などです。ですので、まずは、こういった健康上の問題がないかのチェックをしてみなければなりません。もう1つは、行動学的な問題ということになります。①膀胱炎で排尿時に痛かった=トイレは痛いもの…のような学習によるもの、②トイレ自体の問題、③マーキング、④ストレスによるものなどです。

では、それぞれの対処法。①トイレを嫌なものと学習してしまった場合。ごく、単純に、トイレを変える。砂を変える。場所を変える。なのですが、お気に入りのNEWトイレにしてもらえるよう、次の項を参考に、トイレ設置をしましょう。

②トイレ自体の問題。猫のこだわりトイレ重大5事項です。その1は、大きさ。本来、屋外で排泄をする際には、どこに排泄しようかと、そのあたりの臭いをかぎながらウロウロし、砂を掘って排泄し、また、ウロウロしながら砂をかけるものです。結構、広いスペース内で吟味して排泄したいのです。なので、狭いトイレでは、不服。猫の長さの1.5倍以上の大きさがほしいところです。その2は、カバーは嫌。通常、青空の下で用を足す動物です。狭くて、臭いんじゃあ嫌なんです。こだわりその3は、砂の種類。通常は、土の上で用を足しますので、それに近い、細かなものを好みます。その4、トイレの場所。やっぱり、落ち着けないと、です。洗濯機などの音がうるさいのは嫌。真っ暗闇も嫌。いつもの居場所から、遠ーいのだって嫌。そして、意外と重要なのが、こだわりその5、トイレの数。いつも清潔でないと嫌だし、他の猫が使ったトイレは嫌だとか、便と尿は別のトイレと決めてる猫もいます。トイレの数は、猫の数プラス1が理想的です。

おたくの猫ちゃんは、MYトイレに満足してるでしょうか?不服なサインを見逃してないでしょうか。排泄する時、トイレの縁に立つ。さほど、掘ったり埋めたりせず、さっさとトイレから出てくる。ないしは、飛び出してくる。トイレの後、足を振る。これらは、「このトイレ嫌ー!」のサインです。(え?猫って、トイレの縁に立つんじゃないの?)(トイレの後、足を振るもんじゃないの?)なんて、ちょっと、ドキっとしますね。

③マーキングとは、尾をあげて少し震わせ、尿をスプレーすることで、「ここ、通りました」というコミュニケーションのこともありますし、ストレスにより、マーキング行動をすることもあります。去勢手術は必須ですが、それでダメなら、窓から外の猫が見えないようにするとか、多頭飼いの場合は、猫同士の関係に注目して、ストレスの原因を解明しなければなりません。トイレに行くのを邪魔したり、トイレに入ってると襲ったりする、いじめっこが猫ちゃんにもいるのです。隠しカメラで、こっそり猫社会を観察してみるのも、手掛かりになるかもしれません。

④ストレスかもしれない場合。ストレス原因の究明はもちろんですが、トイレを大きくすること、数を増やすこと、いろんな場所に置くことで解決されることは多いので、まずは、実行したいことです。「うちには、そんな置き場所なんてないし…。」と言いたいところかもしれませんが、ちょっと、知恵をしぼって、やってみる価値はあるようです。ですが、どうにも、解決困難なら、抗うつ剤というリラックスさせる薬を使用します。ただ、効果が出るまでに4~8週間かかりますし、行動療法を受け入れやすくさせる手助けとはなりますが、薬で全てが解決するものではありません。

さて、猫のトイレ事情の数々いかがでしたでしょう。猫にだって、事情と言い分があるんです。トイレ以外で排泄したからといって、叱ってはいけないのです。精一杯、イライラをアピールしているのですから。

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2010年7月21日 (水)

猫社会

イヌ科の動物は、群れをなして、トップのボス中心の縦社会を持つということが、広く知られています。家庭の中でも、「お父さんがボス、お母さんがその次に偉いヒト。子供たちは、お友達」。といったふうに順位付けをして、誰に従うべきかを考えているようです。

では、猫って?「ワタシはワタシ。好きにさせといて。」みたいな、勝手気ままな暮らしぶりのようですが、決して、常に単独行動を好むわけではないようです。食べ物が豊富な状況であれば、なのですが、社会を形成して、コミュニケーションをとります。寄り添って過ごす仲良しグループを作ります。仲良しでなくても、上下関係が安定してくると、喧嘩せずに、折り合いをつけて暮らすようにもなります。

では、猫のコミュニケーションとは?猫好きの方なら、当たり前に知っていることなのですが、改めて、その意味を知ると面白いものです。

「お互いをなめあう」のは、仲良しの証拠。なのは、ご存じだと思いますが、首から上の顔や頭しかなめあわないことはご存知でしょうか。それが、猫規則のようです。おのずと、自分では届かないからだの部分をなめてもらえるしくみになってるのです。

うちの猫は、「なでてやると嫌がる」と思ってらっしゃる方。猫規則に反してませんか?首より下の身体をなでるのは、猫社会ではタブーなのです。首より上だけをなでてあげるようにしてみてください。

猫的「おかえりなさい♡」のご挨拶。尾をまっすぐに上げて近づいてくるのは、猫的歓迎モードです。そして、体をすり合わせる仕草は、狩りから戻った仲間ととるご挨拶なんだそうです。私達が、帰宅した時に、体をすり寄せてくることって、よくありますよね。つまりは、「狩りから帰って来た仲間」として歓迎されてたんですね。

上下関係のある間柄でとるご挨拶もあります。上側の猫(優位)は、少し耳を横向きに緊張させ、後ろ足で踏ん張るかんじに腰を低く、尾も低くします。「何か、文句ある?」ってとこでしょうか。対する下側の猫(劣位)は、耳を後ろへペターンとねかせて、ヘタッとしゃがみこみ、尾はたらんと横たわって、「勘弁してください」と言わんばかりのポーズをとります。それで、勘弁してもらえれば、喧嘩を売られず許してもらえるわけですね。

そして、猫の子育てはとても社会的です。同時期に出産した雌同志は、協力して子育てをします。片方の母猫が食餌を採りに出かけている間、もう一方の母猫が、代わって哺乳し、世話をします。戻ってきたら、交替でもう一方の母猫が出かけるのです。寝床を移動するとき、母猫は仔猫をくわえて順番に運びますが、この時、自分の仔と、もう一方の母猫の仔で、運ぶ順番に区別はしないそうです。まさしく、街ぐるみの子育てなんです。

勝手気ままの代表のように言われがちな猫ですが、意外と社会的な動物なのです。現代の人間のほうが、よっぽど、非社会的、勝手気ままかもしれませんね。

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2010年7月 7日 (水)

睡眠時無呼吸症候群

電車事故や交通事故の原因が、「睡眠時無呼吸症候群」という問題を抱えていたことによる運転手の居眠りだったという報道が、多く流れたことがありました。そんなこともあり、社会的に広く認識され、問題視されるようになってきたのではないでしょうか。交通機関の運転手や、車の運転をする機会の多い業種では、検査が義務付けられたり、積極的に検診を取り入れる企業も増えていますし、「いびきをかく」と、ヒトから指摘されて、自主的に検査を受けられる方も増えたのではないかと思います。

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠時に5秒以上の呼吸停止(=無呼吸)が、1時間に5回以上、もしくは、7時間の睡眠中に30回以上あることで診断されるそうです。世の話題にはなりましたが、どんな検査をするのかをご存じの方は少ないかもしれません。睡眠中の検査ですので、お泊りでの検査になります。睡眠の深さや質と、呼吸状態や無呼吸による影響を調べるための検査機器を装着され、一晩眠っている間のデータを記録、解析する検査で、終夜睡眠ポリグラフ検査というらしいです。

脳波、心電図、筋電図、眼電図、などを計測します。センサーを顔、ノド、足、胸へペタペタ貼られ、頭には脳波測定のためのヘッドギアみたいなものをかぶされます。指先に血中酸素飽和度測定のプローブをはめられ、鼻と口に呼吸センサーを、胸部と腹部に呼吸運動センサーが取り付けられます。各センサーからは、測定器械にコードがつながっていて、がんじがらめ状態となります。

「こんな状況で眠れるかー!」となれば、ある意味、日頃、質の良い睡眠をとれている「大丈夫なヒト」かもしれません。睡眠時無呼吸症候群ですと、質の良い睡眠が得られないために、常に寝不足状態ですから、こんながんじがらめ状況でだって、容易に眠りにつくそうです。実は、私もこの検査を受けたことがあります。といっても、主人がこの検査機器に関係する仕事をしているので、私は、検査の練習代を頼まれたわけで、緊張感ゼロだったせいか、モタモタとセンサーを貼り付けられている最中、まだ測定が始まらないうちに、すでに深ーい眠りについておりました。結果、測定開始時には、すでに、最も深い睡眠レベル。無呼吸もなく、とっても質の良い睡眠だったようです。

この、睡眠時無呼吸症候群は、ノドの奥が詰まってしまい、息ができない状態になってしまうのですが、舌が大きかったり、軟口蓋(のどちんこ)が長くて落ち込んだり、扁桃肥大やアデノイド、首の周りの脂肪によることもあり、肥満は大きく影響しますが、痩せていても、顎が小さい等の骨格の問題で生じることもあるようです。

この症状って、「犬の短頭種にみられる呼吸器の問題と同じだよなー。」って、よく思うんです。ブルドッグやパグ、シーズー、チワワ等、ブチャッとした顔系で、たいてい、鼻息荒く、ブーガァー、ブーガァーとけたたましく、息が詰まりそうなヤツらです。このけたたましい呼吸の由縁は、①軟口蓋過長症(のどちんこが長く、垂れ下がってる)、②扁桃肥大、③喉頭側室内反(気管の入り口がめくれ込んでる)、④鼻腔狭窄(鼻の穴が狭い)、⑤首の周りの脂肪による圧迫、等が主な原因です。

ヒトの睡眠時無呼吸症候群と似通った原因、症状ではありますが、動物は、ヒトのように、深く寝込んでいては、敵にやられてしまいますので、本来は、常に浅い睡眠しかとらないものです。ですので、睡眠の質うんぬんに関しては、さほどの影響はないのかもしれません。

むしろ、大きく問題となるのは、体温調節です。動物は汗をかかないので、体温調節をパンティング(口を開けたままハァハァと呼吸する)に頼っていて、熱い息を吐くことで、体内の熱を出しますので、気道の通りが悪いと、体内に熱がこもりやすくなってしまいます。そうなってくると、もっと激しくハァハァする。→ノドが腫れる。→もっと、気道が狭くなる。の、悪循環。熱中症へまっしぐらという危険事態が発生してしまうのです。

中には、極度の緊張のあまり、暑いわけでもないのに、ハァハァが始まり、ハァハァすることで、体温は上がるし、ノドは腫れてくるしで、勝手に熱中症になっていくこともあります。以前、いつもお母さんにベッタリのパグさんが、ご都合でホテル入院した時の事。日頃、お母さんと離れたことのないパグさん。よほど、怖かったんでしょう。わずか、数時間でハァハァは、ゲェコゲェコに変わり、少し、舌の色が悪くなってきたかも…と思うやいなや、フラ~…。(!!!!)間一髪!大急ぎで、処置を済ませ、事無きを得ましたが、これ以上、ひとりで病院にいるのはムリと判断。緊急連絡先となっていた息子さんに、お仕事先からお迎えにきていただくことにしました。

こういったトラブルは、猫ちゃんでは少ないことですが、ここのところの、スコティッシュ・フォールド人気で、スコさんを診る機会が増えて思うことなのですが、ああゆう、ベチャッとした顔系の猫ちゃんも、ワンちゃんと同じく、普通の猫ちゃんよりも、気道が狭いのです。全身麻酔する際、気管に管を入れるのですが、ノドが狭く、気管の入口もふさがりがちです。だからといって、熱中症をおこすほどの事態は稀中の稀ですが、確かに、スコさんでは、「犬みたいに、口を開けてハァハァすることがあるんです。」と、ご心配されているケースは多いです。「いびきをかく。」とお聞きするケースもあります。

ヒトでは、睡眠時に、呼吸にタイミングを合わせて、閉塞した気道へ空気を押し込む機能のついたマスクを装着することで、対処します。それでも、対応しきれない重症症状の場合は、手術もやむを得ないようですが、動物の場合は、そんな、マスクを着けておくなんて不可能ですので、問題があれば、手術での矯正ということになります。

これからの季節、暑さは大敵。短頭種とお暮らしの方は、白クマを飼ったつもりで、電気代はあきらめ、ガンガンにクーラーをいれたお部屋で、静か―にお昼寝させてあげて下さい。

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