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2010年8月17日 (火)

流涙症

先日、参加した眼科セミナーによると、流涙症とは、「涙液が何らかの影響により、正常な排出ルートを通らず、表皮にあふれ出た結果、眼周囲の皮膚および被毛が涙液により濡れてしまうため、皮膚炎や感染症を起こしやすい状態。」だそうです。

この「流涙症」は、私の師匠先生が手がけていた研究テーマであったこともあり、思い入れのある病症のひとつです。師匠先生は、なぜ、流涙症が生じるのかについて、涙の分泌量、涙の質、角膜の状態、眼の形、まぶたの問題、眼の周りの被毛の影響など、いろんな方向から原因追究され、解決方法を生みだしてこられました。

流涙症の原因を大きく分類すると、①まつげの異常、②まぶたの異常、③涙の異常、④涙点・鼻涙管の異常、になります。

①まつけの異常は、俗にいう「逆さまつげ」です。眼に当たる方向に生えたまつ毛の刺激で、涙が多くなるケースです。重症なケースでは、まつげを永久脱毛したり、手術で毛根から切除してしまうこともあります。

②まぶたの異常は、まぶたが内側にめくれ込んでいたり、鼻の両側のシワが深くて、眼に当たってしまうような問題で、ブルドックのようなブチャ顔系で生じやすいものです。猫ちゃんでは、ペルシャ猫で遺伝的に多い問題です。やはり、重症なケースでは、眼をパッチリさせたり、シワを切除する手術が望ましいのですが、シワのないブルドックってのも…オーナーさん的には、究極の選択でしょうね。

③涙は、眼の表面を覆い、細かなゴミや雑菌などを洗い流したり、常にうるおいを保ちながら、角膜に栄養を運ぶ働きをしてくれています。実は、涙は3層に分かれていて、角膜側から眼に涙をとどめるためのムチン層、本来の涙である水層、乾燥を防ぐための油層となっています。ムチン層が不足すると、涙はとどまらずに流れ落ちてしまいますし、油層が不足すると、容易に蒸発してしまい、涙の分泌量は十分であってもドライアイとなって、角膜にダメージが生じやすくなります。すると、痛みから涙が増えて流涙症になる…と、そんなこともあるのです。

④涙点・鼻涙管とは、眼頭の上下に開いた小さな穴が涙点で、ここから鼻腔やノドの方へつながる管が鼻涙点です。涙点は涙の排水口、鼻涙管は涙の排泄管です。ですので、この排泄ルートがダメとなると、涙はあふれるしかなくなり、見ため上「涙が多い」となってしまうのです。生まれつき、穴が小さかったり、無かったりする場合や、長く結膜炎を患ったせいで、癒着してふさがってしまうこともあります。猫では、若齢期にヘルペスウイルス感染症による結膜炎から涙点閉塞をおこすことがほとんどです。ふさがった涙点を切開して開通させたり、目詰まりした鼻涙管を洗浄することで解決することもありますが、癒着が激しく、再開通は望めないこともあります。

こんなそんなで、一言で「涙焼け」といっても、原因は多種多様なわけで。中には、ちょっとついでな感じで、「あっ。そういえば、先生。このこ、涙が多いのよね。」って、投げかけられた問いに、獣医さんサイドとしては、これら①~④の原因らしきがないかと、かなり真剣に目ん玉見開いて、目ん玉を診るわけです。

涙焼けは、せっかくのかわいいお顔が汚れてしまうことも残念なことですが、眼頭の皮膚がただれたり、結膜炎を引き起こすようなトラブルメーカーにもなってしまいます。完治が難しいケースも多いのですが、症状を軽減させる対策をとってあげて、極力、トラブルが生じないようにしてあげたいものです。

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