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2010年11月

2010年11月30日 (火)

犬は安産?

犬は、たくさんの仔を産み、そのうえお産が軽いということで、安産の守り神と言われてきました。そんな、ならわしのせいか、犬や猫は安産だと思っていらっしゃる方が多いようです。

大型犬ブームの時代は、住まいのスペース的な問題か、ご家庭に♂♀がいて、仔を産ませて…という方はあまりおられませんでしたが、近年のダックス、チワワ、コーギー、プードル…と小型種がほとんどになってから、ご家庭で仔を産ませて、父、母、仔の2世代飼育というのも珍しいことではなくなりました。

仔を宿った母犬のお腹がだんだんと膨らみ、誰に教わったでもないのに、時がくれば、巣作りを始め、陣痛に耐えながら仔を産み、自らへその緒を食いちぎって、仔を舐めることで羊水で濡れた身体を温めながら、呼吸を促してやるということをやってのける様は、素晴らしく感動的なものです。仔をいつくしみ育てる姿には、多くの事を学ばされます。仔の成長を見守るのも楽しくてならないことです。

この素晴らしい経験を、ご家族で共感できるのは、素晴らしいことですが、必ずしも、全てが順調にうまくいくわけではないことを、知っておかなければなりません。犬は安産の神様とされていますが、決して、安産とは限りません。特に、ブルドック、パグ、チワワなど、身体のわりに頭のデカイ短頭種は難産の代表選手です。

一般的に、大型犬は胎仔数が多いので、その分、個々の胎仔が大きくなり過ぎるという問題が生じにくく、大きな母犬が小さな仔犬を産むことになるので、比較的、安産系です。小型犬は、そもそも、胎仔数が少ない傾向にあるので、それぞれの胎仔が大きくなりすぎて、小さい母犬に産めないほど大きな胎仔が…なんてことになってしまうのです。

胎仔が大きすぎるわけでなくても、難産は起り得ます。胎仔の向きや居所の加減で、つっかえて出てこれなかったり、複数頭の出産の間に、母犬が、もしくは胎仔が弱ってしまって、娩出できなくなってしまったり。そのことに、気付かずにいると、胎仔が亡くなり子宮内で腐り始め、あげくの果てに子宮も腐ってしまって、母犬は命の危険にさらされるという恐ろしい事態にだってなりかねません。

なかなか、そこまで、しっかりと覚悟を決めて、愛犬仔作りにのぞまれる方は少ないのではないでしょうか。愛犬の妊娠に大喜びなオーナーさんに、万が一に備え、「難産」についてお話をしておかなければなりません。できるだけ、最悪の事態を避けたいので、お話させていただくのですが、大喜びに水をさすようで、なんだかイヤな役回りだなあ…と思います。「え?犬は勝手に産むんじゃないの?安産なんでしょ?」なんて言われると、意地悪したいわけではありませんが、ますます、口厳しく、心配されるようなお話をしなければならなくなります。

超音波検査が普及したことで、子宮の中に胎仔がいることを確認すれば妊娠鑑定ができるようになりました。理想的には、定期的に胎仔の心拍の様子などを確認しておくのが望ましいと思います。レントゲンに映るほどに胎仔の骨が作られてきたら、胎仔数確認のためのレントゲン撮影をしておかなくてはなりません。胎仔数が解っていないと、お産の終わりが解らないからです。レントゲン撮影をしておけば、超音波検査より正確に数の把握ができますし、産道に影響するような骨盤の異常がないかどうかなどの確認にもなります。

出産が近づいてきたら、出産日を把握するために、一日数回の体温測定を行います。いよいよ、出産となる日には、体温が約1℃ほど下がります。それを目安に、より、母犬の様子を気遣ってあげなければなりません。体温がすっかり下がったのに、一向に産気づかない…となると、これも、「難産」の徴候なのです。

陣痛が始まったら、娩出まで時間がかかり過ぎてはいないか、娩出後、次の陣痛開始まで時間がかかり過ぎていないか、母犬の様子は?仔の世話をちゃんとしてるだろうか。仔の様子は?等々々々…。最後の1匹を産み終え、母仔ともに元気な様子を確認するまで、ハラハラドキドキの連続です。

かかりつけの先生がいらっしゃっても、なかなか、24時間365日体制をとれる動物病院は限られているでしょうから、万が一に備えて、かかりつけの先生に対応いただけない曜日、時間帯の対策も準備しておかなければなりません。

とまあ、こーんなに、大変なわけです。

そして、もう1つ。覚悟が必要なこと。本来、母たるもの、本能的な母性愛でもって仔育てするものですが、近頃、ワンちゃんの世界でも、育仔放棄ということがあります。順調に我が仔を娩出しておきながら、初めて見る物体かのように「ギャー!」と驚き、怖がって逃げる、鼻先で転がして隠そうとする、咬みつく…。中には、母犬のおっぱいに仔が吸いつけるようにサポートしてやっているうちに、何となく事の次第が飲み込めてくるのか、育仔し始めるおとぼけ母さんもいますが、かたくなに拒否られてしまうようなら、オーナーさんが乳母になるしかありません。誕生直後は2時間毎に哺乳ですよ~。ヒトの子よりは早く育ちますが、それでも、犬の仔育てだからって、育児休暇はつかえませんから、大変なことです。

先日、ある会でお会いした先生が「来る前に、帝王切開手術をしてきた。」というので、「ダックス?チワワ?」とお聞きしたら、「何で、解るの?!!!今日はダックスで、昨日はチワワだった。」と。「何で、解るの?」と聞き返す獣医さんもどうかと思うほどに、昨今、ダックスとチワワの帝王切開はメジャーです。その、犬種がメジャーだからということが多分にあるのでしょうが。でも、「今日はダックスで、昨日がチワワ。」ってほどに帝王切開が多いのかと、私とて、素人のように感心してしまいました。

ヒトもそうですが、ワンちゃんや猫ちゃんだって、お産は一大事なのです。

                                                                                                                                                                                                                                 

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2010年11月20日 (土)

皮膚糸状菌症

簡単に言えば、カビです。微生物学的に難しく言うと、俗にバイ菌と呼ばれる「細菌」と区別して、「真菌」と言いますが、この「真菌」には、酵母やキノコも含まれます。なので、役立つ真菌もありますが、動物に感染症を起こすやっかいな真菌もあるのです。

皮膚や粘膜などの身体の表面に感染するものと、内臓など深部に感染するものがあります。深部に感染するものは、時に致命的なほど重症になることもありますし、表面に感染するものも、「水虫」に代表されるように、非常に根治が難しいやっかいものです。

皮膚糸状菌とは、動物の毛や皮膚に感染する真菌で、ヒトにも感染します。抵抗力とのかねあいで、幼弱、高齢、免疫力が低下した時などに感染しやすいのです。当院でもコレと診断される猫ちゃんのほとんどが仔猫です。

重症になってしまえば、全身のあちこちが脱毛してカサカサしたり、赤くなったりします。痒みはあったり、なかったり。軽症だと、ほんの一部分に脱毛があるだけだったり、カサカサしているだけだったりもします。多いのは、耳や指先、尾ですが、お腹、背中に円形脱毛症のごとく出現することもあります。

なので、そんなかんじであれば、「うーん。怪しい…。」と、疑ってかかるのですが、確定させるには、毛を顕微鏡で調べたり、ウッド灯という光線を当てる検査をしたり、培養して顕微鏡で調べる検査をすることになります。ですが、いずれも、100%ではありませんので、検査ではっきりしなくても、どーしても怪しい場合は、試験的に治療してみることだってあります。

ヒトの水虫なら、軽症の場合は外用薬で治療するのが一般的でしょうが、動物は塗った薬をなめてしまうということがあるので、外用薬はあまり使われません。軽症なら、抗真菌薬入りの薬浴剤で治療可能かもしれませんが、それでは不十分、もしくは、とくに猫ちゃんの場合、怖がってしまってシャンプー不可能なこともありますので、そんな場合は内服薬で治療することになります。

全身に広がってしまっている場合はそれもやむを得ないところですし、内服薬を投与して、しっかり根絶を目指すのが賢明だと思います。ですが、小さな、小さな仔猫さんだと、多少肝臓の負担もある抗真菌薬を飲ませるのも、また、心配。しかも、ちっちゃな脱毛なのに…、でも、広がってしまうと大変だし…。そんなケースで、このところ大活躍しているお薬があります。

ルフェヌロンという昆虫発育阻害剤です。そもそもは、ノミを室内に持ち帰ってしまったときに、室内のカーペットや畳で繁殖するのを防ぐために開発されたお薬です。これが発売された頃は、ノミを根絶するのに、ノミ成虫を殺すスポット剤と、この昆虫発育阻害剤の内服薬を併用するという作戦が大流行りしました。近年のノミ駆除スポット剤には、この昆虫発育阻害剤が配合されるようになりましたので、別に内服する必要がなくなったのです。

で、なぜ、昆虫の薬がカビに効くのか。そもそも、この昆虫発育阻害剤は、昆虫の外骨格の発育を阻害することで、繁殖を防ぐのだそうです。卵が孵化できなくなる。幼虫が脱皮できなくなる。さなぎから成虫になれなくなる。そして、増えなくなる仕組みです。実は、真菌も昆虫の外骨格に似た「殻」のようなものに囲まれた微生物なのです。なので、この薬剤で昆虫同様に繁殖できなくなるというわけです。

ただ、カビの発育を阻害するには、昆虫で使用する場合の3倍は投与しなければならないようです。ですが、この薬剤は、そもそも昆虫のような外骨格を持つものにしか作用しませんので、外骨格を持たない動物には関係のない作用です。ですので、動物に悪さをすることは非常にマレなことですので、幼弱な動物にでも安心して使用することができます。作用が1ヶ月間続くので、1ヶ月毎の投与で済むのも便利です。

と、本当は「カビに効く」などと効能をうたってはならないことになっています。薬剤を発売するに当たり、製薬メーカーは国に認可をとらなければなりませんが、このルフェヌロンという薬剤はノミの繁殖防止という使用目的での認可しかうけていませんので、カビの治療に使用することを、お国は認めていないということになります。お国は認めていませんが、カビの治療に使用して奏功したという報告はたくさんあがっていて、公に発表されていますので、「その事例に基づいて、オーナーさんに同意をいただいて使用する。」というスタンスをとらねばならないことになっています。

実際、当院だけでも、十分有効性を証明できるほどの件数がありますし、副作用が問題になったケースは今のところありません。ただ、「効かない」ことはあります。ので、投与して1週間くらいで全く効かなければ、内服薬をスタートすることにしています。中には、驚くほど効くこともあって、1ヶ月後にはすっかり治っているようにみえることもありますが、カビの根強さに用心して、すっかりきれいでも、1ヶ月後にはもう一回投与するようにしています。効くケースでは、たいてい2回の投与で済むようです。

根本的に、本人の免疫力との兼ね合いがある問題ですので、この薬でなんとかなるケースは、ちょっと、カビの勢いを弱めてやったら、本人の免疫力が頑張ってやっつけることができたってケースなんだと思います。動物の皮膚糸状菌症はヒトにも感染して、皮疹を起こします。たいてい丸いカサカサができて痒くなるようです。やはり、抵抗力の低い、お子さんや高齢の方、皮膚の弱い方が要注意ですが、接触度が高ければ、すこぶる健康な方でも感染します。

動物の皮膚糸状菌症はヒトへ感染しますが、ヒトの「水虫」のような真菌症が動物へ感染することは、あまりないようです。よく、「お父さんの水虫がうつったのかしら!!?」などと、眉をひそめて、お父さんが水虫なことをカミングアウトされる方がいらっしゃいますが、お父さんのせいではありませんので、どうぞ責めないであげてください。

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2010年11月 8日 (月)

ホットドッグお買い上げありがとうございました!

11月7日(日)大阪城公園で行われた大阪動物愛護フェスティバルは、お天気もなんとか、ふんばってくれて、お陰さまで大盛況でした。

当院の所属する堺市獣医師会のホットドッグ店も、2時過ぎには完売となる大好評でした。このブログをご覧いただいてか、ホントにいらっしゃってくださったので、ちょっと、驚いてしまいました。お買い上げいただきありがとうございました。当日、店番をさぼって、ウロウロしていたり…ちょっと、一杯呑んでいたり…もしましたので、ひょっとして、「看板娘を期待してたのに、いなかったじゃないか!」という方がいらっしゃったら、ごめんなさいです。

催しものの数々はもちろん楽しませていただきましたが、来場される方々の多くが同伴されてらっしゃるワンちゃん達にも楽しませていただきました。珍しい品種のワンちゃんもたくさん拝見しましたし、キレイにグルーミングされているワンちゃん。すてきに着飾ったワンちゃんも。感心させられるのは、あれだけ大勢のワンちゃん達がいて、喧嘩騒動にならないことです。きっちり、躾もされていて、素晴らしいと思いました。

こんな、楽しそうな様子をみてしまうと、ちょっと、羨ましくなってしまって、「ワンちゃん欲しい欲しい病」がチラついてしまいます。勤務医時代には、ほとんど家にいない生活ですので、あきらめていましたが、いつか、動物病院を開院したら、病院でお世話できるので、その時にはこそは!憧れの大型犬と、かわいい小型犬を飼おうと決めていたんですが。私の中でも、猫専門病院開院は想定外だったことで、どういうわけだか、獣医師になったら、犬を飼えなくなってしまったという…おかしなことになってしまったんですよね。

アジリティードッグの競技も、テレビなどで観る機会はありますが、目の前で観るのは初体験でした。すごいですね。競技慣れしているワンちゃんの、自信満々な様子。キラキラと眼を輝かせて、もうダッシュで駆けまわり、ジャンプする姿は、本当に美しいです。まだ、初心組のワンちゃんも、苦手なところで、イヤイヤしながらも、オーナーさんに励まされると、期待に応えようと頑張ってるかんじが、何ともいとおしくて、そんな、ワンちゃんとオーナーさんの一体感が素晴らしかったです。

どれほどの時間を共に過ごして、信頼を築いて、トレーニングを繰り返してこられたんだろうと、ホーントに感心、感心でした。素敵なワンちゃんとの暮らし方だなあ…と羨ましくは思いますが、ほとんど家にいない私には、やっぱりムリ…でしょうねえ。

ということで、どうやら私は、気ままな猫どもと、気ままな付き合いをしているのが、ちょうど良いようです。ここのところ、急に寒くなってからというもの、暑いさかりには、近寄りもしてこなかった、我が家の猫どもが、手のひらを返したようにすり寄り、膝にのっかって、手をモミモミ…。けど、私より、基礎体温の高い主人がくると、私には蹴りを入れて、主人にスリスリ…。

まあ、猫暮らしはこんなもんでしょう。その気ままさに、「おおらかに暮らそう!」って、元気をもらえるってもんです。

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2010年11月 4日 (木)

大阪動物愛護フェスティバル2010 in 大阪城公園

今週末の日曜日、大阪城公園の太陽の広場にて、大阪動物愛護フェスティバル2010が開催されます。

盲導犬や警察犬のデモンストレーションをはじめ、アジリティードッグ、フリスビードッグの競技や動物しつけ教室の実演など、お楽しみイベント盛りだくさん。カブトムシの幼虫がもらえるコーナーもあります!

ステージを囲むブースには、ペットグッズ販売をはじめ、ホットドッグ、フランクフルト、ポップコーン、おでん、クレープ、綿菓子、焼きそばの販売。ヨーヨーつり、スーパーボールすくい、射的、缶バッジなどの出店もあり、一日楽しめるお祭りです。

この、出店ブースは、すべて、獣医師会各支部や、動物看護学校、獣医科大学、関連企業による出店です。当院の所属する獣医師会堺支部は、ホットドッグを販売します。私も、当日は看板娘(?)に扮して販売を手伝いますので、是非、遊びに来てください。

詳しくは、こちらにも掲載されていますので、ご覧ください。

大阪府獣医師会HP   http://www.osakafuju.or.jp/welfare/festival.html

大阪市獣医師会HP   http://www.osakasiju.jp/ap.html

大阪府HP  http://www.pref.osaka.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=4527

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