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2011年2月

2011年2月15日 (火)

歯頚部吸収病巣               (破歯細胞性吸収病巣)

猫ちゃん特有の歯のトラブルです。なぜ、猫ちゃんだけなのか、何故なるのか、はっきりとは解っていないトラブルです。

歯の歯茎との境目あたりが溶けてしまうトラブルで、一見、虫歯のようなものですが、メカニズム的に異なるので、この様なややこしいネーミングなのです。

Photo この写真では、歯石や病巣部分を覆っていた歯肉が除去されていますので、こんな風に赤々と病変が見えますが、処置をする前は隠されてしまっていることも多く、気付きづらいものです。

進行すると、歯がピンク色に変色したり、歯肉が大きく盛り上がるので、その下にはこの病巣があるんだろうと察しがつくようになります。

歯の硬い部分が溶けてしまって、髄の部分が露出されていますので、写真程度の病巣でも、痛みがあるはずです。

もっともっと進行すると、露出した髄から感染を起こして、歯根炎や歯根膿瘍を生じてしまったり、ぐるりと一周近く溶けてしまって、ポロッと歯の付け根で折れてしまうこともあります。そうすると、歯槽骨内に残された歯根が化膿してしまってトラブルが勃発していても、歯が無いだけに、発見しづらくなってしまいます。

先日、「食欲が低下している。」というボチボチ中年になるおばちゃん猫を診察しました。血液検査では、少々、白血球という炎症や感染があるときに増える細胞が増えています。さあて、どこで、何が…?を探らねばなりません。食欲低下以外には、これといった症状はなく、身体検査でも、残り僅かな歯に歯石ががっつり付いていること以外に、さほど気になるところもありません。

不妊手術を受けていない中年猫さんですので、子宮に膿がたまる病気も心配でした。そこで、レントゲンや超音波検査もおこないましたが、食欲不振の原因は特定されずです。歯根のトラブルはありえることなので、ひとまず抗生物質を投薬してみることにしました。幸い?明らかに食欲が増し、体重も増えました。オーナーさん的にも、思い返してみると、治療前には食べにくそうなそぶりや口臭があったように思うとのことでしたので、麻酔をしてしっかり歯の治療をすることになりました。

結果的には、ほとんどの歯が、この歯頚部吸収病巣(破歯細胞性吸収病巣)におかされたあげくに歯頚部で折れてしまい、そのうちの数ヵ所で、残された歯根が感染を起こして、膿がたまっているような状態でした。感染を起こしているところ、起こしそうなところの残根は、摘出しなければなりませんが、歯がすでに無く、埋もれてしまっている歯根を探すのは意外と大変です。レントゲンで顎の骨に埋もれている歯根を確認しながらの、厄介な作業となりました。

かなり、ガリガリと顎の骨を傷められることになりましたので、腫れや痛みを心配しましたが、翌日から、モリモリと食べ始めてご機嫌でしたので、ひと安心しました。ずっと、うずいていた痛い歯根が無くなったほうが、スッキリしたのかもしれません。

悪さをしていた歯根が無くなり、歯の痛みからは解放されてくれるはずですが、長い間、細菌を溜めこみ、それが全身に入りこんでいたことは取り戻せません。少しずつ、腎臓や、心臓、肝臓など身体中に悪さを続けていたはずで、案外、こういった歯からの感染はバカにできない健康被害なんです。

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2011年2月 2日 (水)

しっぽの事件

このところ、当院では、シッポにまつわる事件が頻発しています。

お正月明け早々に、駆けこんでこられた三毛猫の文子(フミコ)さんは、ある会社のアイドルにゃんこさんです。会社がお正月休みの間も、社員の方が交代でお世話をしてあげるほど大切にされているそうです。

年末の数日、姿の見えない日があったそうですが、その後、元気にしていたので、安心していたら、お正月明けに、シッポに怪我をしてることが判明。それで、大急ぎで、当院へ駆けこんでこられた訳です。

基本的にお外暮らしなので、何が起こったのかは解りませんが、機材がたくさんあるところで遊んでいるので、挟まったり、ひっかかったりしたのではないだろうかとのことでした。恐らく、姿が見えなかった年末に怪我をしたのでしょう。受傷したまま時間がたってしまったので、ひどく化膿して、皮膚も黒ずんで腐り始めていました。

それに、尾の先三分の一が動かなくなっています。尾には、尾椎という背骨からつながる骨が入っていて、短い骨が並んでいるから、クネクネと動かせるのですが、動かなくなっているところの尾椎が、外れてしまっているようです。触れて解るほどに、ぶっつり離れてしまっているので、恐らく、神経も血管も切れてしまっているはず。そうなると、そこから先は、動かせないだけでなく、血液が通わないせいで、いずれ、ミイラのようになってしまいます。

これは、可哀そうですが、健常なところで尾を切る手術をするしかありません。文子さんは、数日、化膿を抑える処置をして、尾を切る手術を受けました。まっすぐで長ーい自慢のシッポでしたが、ウェルシュ・コーギーのような、おまけのシッポになってしまいました。しかも、手術のために、お尻の毛を刈られているので、お猿さんのお尻のようです。

それでも、痛くて辛かったシッポから解放されて、手術の傷もキレイに治った文子さんは、お迎えにきてくださった会社の方に、幻のシッポをなびかせるかのように、再会のご挨拶をして、超ご機嫌で帰っていきましたので、案外、シッポがなくなったことに、気付いてないのかもしれません。

そして、また、新たなシッポ事件勃発。またまた三毛猫のミーちゃんが、同居の猫さんにシッポを咬まれてしまいました。ミーちゃんより先に暮らしていた、ボス猫さんに、いつも、意地悪されているそうなのですが、どうやら、「ガブッ」っと、やられたらしいのです。

猫ちゃんの咬傷は、傷口が小さくて、すぐにふさがってしまいますので、なかなか、すぐには解りません。しばらくすると、化膿して皮膚の下に膿がパンパンに溜まって、あげくの果てに破裂して、膿がドッバーと出てきて気付くことが多いのです。ミーちゃんも、来院されたときには、すでに破裂した後でした。

猫の咬傷は、タチの悪い菌だらけなので、化膿をしっかり抑えないと、どんどん菌が広がり恐ろしいことにだってなりかねません。最悪の事態に備えて、化膿がコントロールできなければ、しっぽを切らなくてはならないかもしれないとお話しておきます。しっぽを切るなんて、かなりショッキングなことですから、心の準備が必要です。

ですが、「それで済むなら、前よりマシね。」と思わぬリアクション。そうでした。ミーちゃんは、以前、お外暮らし時代にお尻を咬まれて、下半身ずるむけ状態になるほどの大怪我を負ったことがあったのでした。「確かに…。」と思わず苦笑。ですが、今回は大事にいたらず、順調にしっぽ回復中です。

で、「二度あることは三度ある」しっぽ事件第三弾。チンチラペルシャのランちゃんのしっぽが、えらいことになってしまったようです。…というのは、どうなってるんだか解らないほどに「毛玉」そして、腐敗臭。おこりんぼうのランちゃんは、ブラッシングが大嫌い。で、全身毛玉。しっぽも毛玉。太さ2cmほどのはずのしっぽが5cmの棒のようにカチコチ毛玉になってしまってるんです。腐敗臭の原因を探るべく、まずは、しっぽが見えるように毛玉を刈り取る作業からです。中から出てきたのは、腫瘍が破裂して化膿して、ぐっちゃぐちゃになったしっぽでした。

腫瘍が破裂したものなので、キレイにふさがらないこともありますし、うまくふさがっても、分泌物を溜めこんでしまう腫瘍のようですから、お手入れができないでいると、同じ事態を繰り返すに違いありません。「切ってしまう方が、治りも早く、再発もしない」というのが、合理的な考えではありますが…。「それも可哀そう…。」確かに、しっぽの短いチンチラペルシャって、いただけないかもしれません。ということで、現在、コツコツと治療中。少しずつ、傷は小さくなりつつありますので、うまく、ふさがりきると良いのですが。でも、その後、同じ事態にならないようにするには、ちょっとカッコ悪いですが、常に、ツルツル鼠さんのしっぽ風はまぬがれないでしょうねえ。

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