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2011年3月

2011年3月25日 (金)

文子さんの消臭剤

少し前にこのブログに登場した、しっぽを負傷した三毛猫の文子さんが、社員さんに連れられて来院しました。どうも、1週間ほど前に、便が出にくそうなそぶりをしていたとかで、手術したしっぽの加減がうまくないのではなかろうかと社員の皆さんで心配されたようです。

もう、とっくに、しっぽの傷は癒えて、はえそろうまでにはなっていませんが、十分毛で覆われたお尻に戻った文子さんは、もともと短いしっぽだったと思えば、まったく普通です。しっぽと肛門は近いと言えば近いですが、機能上は何の関係もありませんし、だいたい、しっぽを切ることの後遺症なんて…。無いでしょう。でも、可愛い、可愛い文子さんのことが、そんなにも心配だったんですね。

しっぽは問題ないと聞いて安心されてらっしゃいましたが、むしろ、「便がでにくそうなそぶり」が何なのかを心配せねばなりません。考えられることは3つ。①本当に便が出にくい。②下痢をしていて、しぶりがある。③膀胱炎を起こしていて、残尿感のせいでいきんでる。

お腹を触診すると、便はまったくたまっていません。①は×です。ですが、ほとんど排泄を外で済ませてしまうので、便や尿の様子が解りません。肛門に体温計を入れて検温するので、ゆるーい便が付着してくれば、下痢決定なんですが、何も付着せず。②は?です。そこで、尿検査。こんな、寒い時期は膀胱炎が生じやすいので、疑い大アリです。ですが、尿検査異常なし。③も×。ということで、「下痢をしているかもしれない。」という診断に至り、それなりの処置をこうじることとなりました。

で、しっぽとも、文子さんとも関係無いことですが、社員の方からお願いごとを引き受けました。会社で販売している消臭剤のサンプルを使ってみてほしいということです。たしかに、動物病院では、尿、糞、その他臭いには困らされることが多々あります。なかなか、臭いがおちやすく、動物に害のないものというのは難しいものです。

Osusume01 この「文子さんの消臭剤」(ちゃんとした商品名がありますが、当院ではこう呼ばれています。)は植物天然成分から作られているので、被毛に付いた糞尿汚れを拭くのにも安心して使えます。消臭効果が「売り」なんでしょうが、案外、汚れが落ちやすいので重宝しています。

来院されるオーナー様方にもお試しいただきたいということで、サンプルをお預かりしております。もし、ご興味がおありなら、お譲りしますので、お気軽にお申しつけください。(お預かり分が無くなり次第、終了とさせていただきます。)(蛇足ですが、このモデル猫は、社長さんの愛猫です。)

07_tm ちょっと、面白い発想だなと感心したのは、こちらの会社の消臭剤には、加齢臭対策スプレーというのもあるようです。でも、先日、この消臭剤のことを紹介した獣医さん仲間の先生が、「あの加齢臭用のを購入しようと思って!」と、えらい食いつきようだったので、私は笑ってしまいましたが、おじさんの心はかなり掴んだようでした。

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2011年3月16日 (水)

世界獣医年2011

ご存じでしょうか。本年2011年は世界獣医年です。

世界で初めての獣医大学は、1761年にフランスのリオンに開校されたそうです。なので、本年2011年は、世界の獣医学教育が始まって250周年記念となります。

そこで、ただ、記念の年というだけでなく、過去250年にわたり、獣医専門職が動物と人類の健康に貢献してきたことや、その幅広い社会での役割について、世界中の人々に知っていただくことも2011年を世界獣医年とする目的なのです。

と、お聞きになられても、ピンとこないかもしれません。獣医師=動物のお医者さんとしか認識していない、普通の女子高校生だった私も、獣医大学に入ってから、その社会での役割の広さに驚き、戸惑ったものです。

大学卒業後の進路は、大雑把に分けると、こんなかんじです。①小動物臨床、②大動物臨床、③企業、④公衆衛生、⑤家畜衛生、⑥教育。

企業でも、研究職から営業、学術と職種は様々ですし、公衆衛生といっても、食中毒、伝染病、食品衛生、食肉検査、環境調査…等々等々。挙げたらきりがありません。家畜衛生の仕事は、このところの鶏インフルエンザ、口蹄疫と世の話題ですね。

そして、世界レベルでの獣医職の役割は、更に大きなものです。

獣医療レベル、家畜衛生レベルの向上は畜産力を高めて、世界的な飢餓を減らすことに貢献しています。人畜感染症のコントロールも、人類を疾病から守るための獣医職ならではの重要な役割です。他にも、食品の品質や安全の監視、生物医学研究、環境保護と、世界中の獣医さんが、様々な分野で、人類のため、地球のために頑張っています。

そんな、獣医さんの広い職域について知っていただくためのイベントが世界中で開催されます。日本でも、帯広、東京、宮崎、そしてここ大阪でも開催されます。様々な分野でご活躍中の、関西の7名の大先生が、ご講演下さいます。なかなか、お聞きするチャンスのないお話ばかりです。ぜひ、ご参加ください。

2011年3月27日(日) 13:00~17:00 参加費無料(どなたでも参加できます)

世界獣医年関西イベント

『関西の獣医さん大集合!』

場所:大阪ペピイ動物看護専門学校(JR・地下鉄鶴見緑地線 玉造駅から徒歩3分  大阪市東成区中道3-8-15)

*講演者(講演順)

大阪市天王寺動植物公園事務所 

          飼育担当課長代理 竹田 正人

中津動物病院 院長 

          (NPO法人 野鳥の病院 代表理事) 中津 賞

明石夜間救急動物病院 院長 浜谷 泰孝

石井動物病院 院長 

          (農場どないすんねん研究会 世話人) 石井 一功

全国家畜衛生職員会大阪府支部長 西池 公男

大阪府獣医師会学校飼育動物委員会所属 清水 かおり

大阪府立大学 獣医学内科学教授 笹井和美

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2011年3月 8日 (火)

診療時間、臨時変更のお知らせ

3月12日(土) 

獣医師会会合のため、診療時間を変更させていただきます。

9:30~12:00 → 8:30~13:00

午後休診

ご迷惑をおかけいたしますが、予めご了承くださいませ。

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2011年3月 3日 (木)

尿閉

おしっこが出なくなることです。

結石が詰まって生じることがほとんどです。構造上、尿の出口にペニスがあって、先細りになっている♂のほうが詰まりやすいですし、犬に比べて、猫のペニスのほうが、先細り度が強いので、細かい砂くらいの結石でも詰まってしまいます。

ですが、♀犬、♀猫でも、そこそこの大きさの結石が、間の悪いことに詰まってしまうことはありえますし、マレなケースとしては、膀胱出口付近や、膣、尿道にできた腫瘍が、尿の出口をふさいでしまう事もあります。

しかしながら、尿閉のほとんどが、♂猫の細かい砂粒のような結石による詰まりです。ペニス先から細い管で生理食塩水を吹き込み、詰まった砂粒を膀胱内へ押し戻して、尿閉を解除します。

ここういった方法で、どうしても解除できず、結石が詰まったペニス先を切除して尿の出口を♀猫ちゃんのようにつくりかえてしまう「会陰尿道瘻形成術」という手術を余儀なくされる場合もあります。尿が出ない不快感から、なんと、自分でペニスを食いちぎってしまって、手術を余儀なくされることだってあるのです。

この手術をすれば、尿の出口が広くなりますので、再び閉塞することはほとんどなくなりますが、ペニスという最後の「締め」がなくなることで、細菌が入り込みやすくなるので、膀胱炎のリスクはむしろ上がってしまします。ですので、極力、この手術をしなくて済むように、頑張って解除して、再び詰まらないように治療を徹底するのが望ましいのです。

そうそう、どうにもならないケースには遭遇しないのですが、この度、連続して2例も超難儀な尿閉猫ちゃんに遭遇しました。

1匹目の猫ちゃんは、細かい砂粒よりは少々大き目の小石くらいの結石が、ペニス先でなく尿道の真ん中あたりに詰まるケースでした。詰まりがきつくて、なかなか、押し戻せず難儀しました。しかも、連日です。こうも連日、尿閉をおこしていると、腎臓のダメージも心配ですし、どんどん、尿道や膀胱の炎症がひどくなる一方の悪循環です。ですので、解除してすぐに、尿道に入れっぱなしにする管をとりつけることにしました。そうすれば、尿道内で詰まることはなくなります。尿も、常に出続けます。

管から出る尿とともに、多量の砂粒が流れ出てきました。それでも、管に入れない大きさの小石レベルの結石は、まだまだ膀胱内にどっさりあるので、こちらは、点滴で水分摂取量を増やして尿を薄めたり、食餌療法で尿のPHをコントロールすることで、溶けやすくしていかなければなりません。

かといって、管を入れっぱなしにしていると、管をつたって細菌感染を起こしやすくなるので、あまり長期間入れぱなしにするわけにもいきません。数日後には、管を抜去しますが、それからも、まだ残ってる結石による再閉塞を監視しなければなりません。それに、何度も、尿閉を起こしてパンパンに張り続けた膀胱は、本来の伸縮性を失っており、自力で尿を押し出せなくなっていますので、完全排尿できるように介助してあげなければなりません。

辛い治療を頑張った猫ちゃんと、熱心に通院を続けてくださったご家族のお陰で、少しずつ、尿の出が良くなり、1ヶ月以上かかりましたが、なんとか安心できるところまでたどり着くことが出来ました。今回は、何とかなりましたが、尿結石を作りやすい体質は変わりません。油断すると、すぐに再発してしまいますので、療法食と定期検査の継続が重要です。

2匹目の猫ちゃんも、やはり砂粒どころか、直径2mm程度の尿結石が詰まってしまい、どうにもこうにも、押し戻せなくなってしまったケースです。ペニスの先から2cmくらいのところから、全く動きません。様々な手段で格闘しましたが、尿閉を解除することはできず、手術を余儀なくされてしまいました。

ですが、この猫ちゃんの尿結石。成分分析してもらったら、「ケイ酸(シリカ)結石」という、たぐいまれなる種類の結石でした。猫ちゃんで最も多いストルバイト尿結石と異なり、食餌療法では溶けませんし、予防もしようのない種類でしたので、今後の尿閉再発リスクの高さを考えると、想定外ではありましたが、会陰尿道瘻形成術をしておくのが、理想的な選択だったという結果となりました。

もう、すっかり手術の傷も癒えて、太くなった尿道から、「ジョジョー!」と勢いよく、超ご機嫌でおしっこしております。ペニスが無くなってしまうなんて…。人間男子なら、凹むどころではない大事ですが、猫ちゃんって、どうも、気付いてないっぽいですねえ…。

***診療時間変更のお知らせ***

3月12日(土)、獣医師会会合のため、診療時間を変更させていただきます。

ご迷惑をおかけいたしますが、予めご了承くださいませ。

9:30~12:00 → 8:30~13:00 (午後休診)

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