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2011年7月

2011年7月23日 (土)

夏休み

世の小中学校は、夏休みに入ったようですね。ちょこっと、某獣医さんブログを覗いていて、「セミの抜け殻」のお話から、幼少の頃、亡くなった祖父と過ごした夏休みのことを、懐かしく思い出しました。

徳島県阿南市という海岸沿いの長閑な田舎です。当時、公園にしか土が無いような、団地街で暮らしていた私にとっては、見るもの全てが目新しく、感動したものです。庭に野菜や果樹が植わっていて、トマトやキュウリが生っているのを、初めて見ました。ショウガは、紅色の線切りのが、枝にピロピロと生るのだと思っていたものですから、好物の紅ショウガが生ってないのを残念に思い、「なんで、ショウガは生ってないの?」と、こう見えても、祖父を大笑いさせた都会っ子だったのです。

海から水路に上がってきた小さなカニや、果樹の幹に付いてるセミの抜け殻を取ってくれて、喜ばせてくれる祖父でした。もちろん、全てが初めて見るものですが、なかでも、一番気に入ったのが、「セミの抜け殻」です。「かわいい!」と胸にいくつもくっ付けて大喜びした、思えば、変わった女の子でした。その中でも、厳選された大きくてキレイな脱け殻数個を、小箱に入れて持ち帰り、それから数年間大切に保管していましたが、「もう、バラバラになって汚いから捨てなさい。」と、母にたしなめられて処分した覚えがあります。

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で、「セミの抜け殻」話つながりで、この季節ならではの昆虫シリーズ、ノミの話でも記事にしようかなあ…なんて、思いついたわけです。ノミの話の定番は、「ノミの予防には、その生活環を経つことが重要です。」という話。ノミ=成虫が卵を産み、それが孵化して幼虫となり、それが蛹化して蛹となり、それが羽化して成虫=ノミになるのですが、動物に寄生しているのは、このうちの成虫だけなので、室内のカーペットや畳で倍増繁殖するのを阻止しなければ、完全駆除は成功しない、という話です。

これを、セミにリンクさせて…と考えていて生じた疑問。「蝉の抜け殻」=「蛹」?じゃあないなあ…。じゃあ、何だ?なんて、大学の寄生虫学の恩師が知ったら、がっかりされることでしょう。獣医大生は、外部寄生虫というククリで、昆虫のことも勉強するので、勉強したはずなんですけど。

この度、改めて、復習しました。昆虫の変態には3通りあり、蛹の時期がある「完全変態」、チョウ、カブトムシなんかがそうです。  蛹の時期を持たない「不完全変態」、セミはこれになるんですね。カマキリ、トンボ、バッタ、ゴキブリもです。なるほど…考えてみると、ゴキブリの蛹なんてないですよね。また、成長過程で形態がほとんど変わらず、脱皮して大きさだけが変わる「無変態」というタイプもいて、シミはこれです。

ノミは完全変態の昆虫です。成虫は環境によって1~4週間生きますが、その間に200~1000個もの卵を産みます。1~4日で孵化して幼虫となり、2回の脱皮を経て1~3週間で蛹になります。蛹は、通常、10日ほどで成虫になりますが、環境が悪ければ、蛹のままで環境が良くなるのを待ちます。寒過ぎる冬を、まるまる越してしまうこともできるのです。

ノミは暖かい季節だけ生きているわけではないのです。寒い冬は潜んでいるのです。ですが、ノミが室内に入り込んでしまうと、カーペットや畳、布団など、幼虫、蛹の居場所は豊富、かつ冬でも暖かなので、一年中、ノミは活発に繁殖し続けます。というわけで、ノミ侵入の危険がある場合や、いったん侵入してしまった場合は、根気良く、延々とノミ予防を続けなければ、そうそう容易には撲滅に至らないということです。

と、毎年この時期になると、世の獣医さん達は、コンコンとノミ撲滅作戦について力説していることでしょう。「この世の人類が滅びても、ノミとゴキブリは生き残る。」…というのを誰から聞いたかは忘れましたが、ホントにそうかもしれないと思うほどヤツらの繁殖力はスゴイです。

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2011年7月11日 (月)

カエル食べちゃダメ

このあたりは、まだまだ、ローカル…。そう、感じるのは、便を顕微鏡で覗いたら、マンソン裂頭条虫や壷型吸虫の卵がわんさか見えた時。いずれも、カエルやヘビから感染して、腸に寄生する虫です。

Image198 学生時代、アルバイトさせていただいた病院で、入院中の猫ちゃんのトイレに山盛り排泄された、きしめんの様なマンソン裂頭条虫を見て、おったまげました。気持ち悪いとか、怖いとか…、なんて、獣医大生たるもの、そんなの全くありませんが、よく見る機会のある回虫や瓜実条虫は、数ミリ~せいぜい10cmくらいで、猫や犬に寄生していても理解できる大きさなのに、コイツは予想外にでかくて長かったので、おったまげたのです。どちらかといえば、感動的おったまげです。

そんな新鮮なおったまげ感動を、先日、参加した寄生虫学セミナーでもいただきました。講師の先生、大自慢の1枚の写真。猫の腸に吸いついたままの壷型吸虫の写真です。寄生虫学では習いましたし、どんな大きさで、どんな形をしていて、どんな風に寄生していて…といった知識はあったつもりでしたが、腸に吸いついたままの映像を見るのは初めてでした。1mmほどの小さな寄生虫ですので、写真は大きく拡大されたものです。名の通り、腸表面のヒダヒダに強く吸い着き、のめり込むように寄生しています。これをピンセットで摘まんで引っ張り取ろうとしたら、腸ごと持ち上がってきたほどの吸引力だそうです。私的には、久々の超感動だったので、皆様にもその映像を紹介できないかと、インターネット検索してみたりしましたが、これが確かにありません。講師の先生があれだけ自慢げに紹介くださったわけです。

Para11Image194_2  ということで、壷型吸虫は卵だけをご紹介。上が壷型吸虫、右がマンソン裂頭条虫の卵です。いずれも、顕微鏡写真ですので、肉眼では見えません。成虫の姿は随分異なりますが、同じ仲間の寄生虫で、卵は似ていますし、カエル・ヘビから感染することや、駆虫薬も同じです。

これらの寄生虫は、ガンコでキツイ下痢をもたらします。駆虫薬はありますが、同じ仲間の瓜実条虫を駆除するのに使用する薬剤を、6倍量で使用しなければ駆除できません。恐るべき、ツワモノなのです。そして、一番困るのは、自由にお出かけ派の猫ちゃんの場合です。駆虫しても、得意のカエル狩りをやめなければ、再感染してしまいます。

当院で、これらが発見されるのは、すでに大人になっている猫ちゃんを保護されたケースが多いです。

今日、職場に迷い込んできて、保護したばかりだという、かわいい猫ちゃんが来院されました。少し大きめの仔猫ちゃん?…3~4ヶ月齢くらい?…と思ったら、歯はすべて永久歯。仔猫ではありません。よほど、発育不良になる問題をかかえているのでしょう。痩せて、汚れた身体ですが、ゴロゴロ、スリスリとお愛想満点のかわいい猫ちゃん。何とも、心痛むところです。体温計にほんの少し付着した便中に、壷型吸虫、マンソン裂頭条虫の卵がわんさか出ていました。カエルを食べて、飢えをしのいでいたんでしょうか…。まずは、これらの寄生虫と、その他メジャーな寄生虫退治を進めることにしました。もう、成長期は過ぎているので、大きくはならないでしょうが、小さくてかわいい、ぽっちゃりニャンコになってくれると良いのですが。

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