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2011年12月

2011年12月27日 (火)

年末年始の休診のお知らせ

12月31日まで、通常診療しております。

1月1日(日)    休診

1月2日(月・祝) 休診

1月3日(火)   休診

1月4日より、通常診療です。

予め、ご了承のほど、お願い申し上げます。

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2011年12月20日 (火)

なぜか、再び、尿マーキングする猫

ワンちゃん、猫ちゃんと暮らすうえで、困る行動のことを、臨床的な専門用語では、「問題行動」と呼びます。「内科学」や「外科学」というジャンル分けでいくと、「行動学」というものがあり、この分野を専門とする先生もおられるのです。

先日、アメリカの大学病院で、行動学専門医としてご活躍の先生の講義をお聞きする機会があり、ちょっと興味深いケースがあったので、ご紹介したいと思います。

去勢済みの♂猫で、それまで、尿マーキングなどしなかったのに、2歳頃、にわかに尿マーキングが始まり、同時に、同居猫への攻撃、オーナーさんへも攻撃と、すっかり不良猫になってしまって困らせた猫ちゃんのお話です。

こういったケースの対処順は、まず、尿マーキングにつながる病気が無いかの検査です。尿量が増えたり、頻尿になる病気が無いかの検査をすることになりました。結果は、とくに問題ありませんでした。

次に、考えることとして、「不安」「ストレス」など、環境中に問題がないかを考えなければなりません。オーナーさんからの情報によると、考えられる要因としては、①最近、赤ん坊が誕生されたこと、②庭に野生動物が侵入してくる(アメリカならでは、ですねえ。)、③同居動物とトイレを共用するのがイヤかも。

ということで、①赤ん坊との接触や、泣き声に配慮する、②野生動物が侵入しないよう、フェンスなどの対策を講じる、③トイレの数、置き場所を増やす。と対処してみたところ、同居猫やオーナーさんへの攻撃はおさまったのですが、尿マーキングは更に悪化してしまったそうです。

そこで、やむなく、精神安定剤を内服してコントロールを試みることになりました。1つめの薬では効果がみられなかったため、種類を変えて内服したところ、2ヶ月以内に8割がた改善して、上手くコントロールできていたそうです。

ところが1年後、再び尿マーキング勃発。内服を嫌がるようになり、投薬が不規則になったことも、悪化の要因なのか、同居猫にマウンティングしたり、夜中に鳴き叫んだりと、♂行動まで激しくなりました。そうしたら、診察時に異変発見です。ペニスに棘々があります。これは、そもそも、♀と交配した際に、棘々の痛みで排卵を惹起するためにあるものです。♂ホルモンに関連して発達するものなので、去勢している♂では、退化してしまっているはずなのです。

そこで、♂ホルモン量を測定してみることとなりました。ところが、結果は予想と異なる低値でした。ならばと、薬の量や種類を変えてみるなどの試行錯誤を繰り返しますが、いっこうに尿マーキングは改善せいず、相変わらず♂的な行動がやみません。

やはり、どうも怪しい…と、♂ホルモンを刺激するホルモンを投与してから♂ホルモン量を測る「性腺刺激テスト」を行いました。猫は、季節繁殖動物ですから、♂ホルモン量は、季節により変動があるので、最初の測定時期は低いタイミングだったのかもしれないからです。すると、♂ホルモンがドーンと高値に跳ね上がりました。これは、つまるところ、どこかに♂ホルモンを産生するところ=睾丸の存在を疑うしかありません。

所定の場所にはありませんので、可能性は腹腔内です。睾丸は、胎生期には腹腔内になり、出生の頃もしくは、出生後まもなく陰嚢内に降りてくるものですが、まれに腹腔内に留まったままの「停留睾丸」というケースがあります。

この猫ちゃん、開腹手術をして確認したところ、腹腔内に停留睾丸が潜んでいました。停留睾丸摘出手術を終えた後、1~2週間で、尿マーキング頻度が減少しはじめ、1ヶ月で消失したそうです。こんなそんな、問題行動の治療は、とっても長い道のりです。

こんなケースはまれなお話ですが、こんなこともあるんだという情報は、今後の診療に役立つことがあるかもしれません。貴重なお話をお聞きすることができて感動ものでした。それと、「目からウロコ」だったことは、ペニスの棘々あり=♂ホルモンいっぱいありのサインだという「見立て方」です。考えてみればその通りなんですが、日本では、あまり着目して診療されていないことです。

「へえ~。」「なるほどー。」と、隣に座っていた先生と顔を見合わせ、「知ってた?」。お国変われば、ちょっとしたことが違うものなんですね。これも、診療の何かに役立つことがあるかもしれません。

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2011年12月12日 (月)

ノミ予防薬のいろいろ―飲むノミ予防薬

20年前なら、もっぱら「ノミ取り首輪」でした。殺虫剤が含まれていて、徐放する仕組みです。15年くらい前にスポットタイプのものが開発されましたが、やはり殺虫剤の成分で、誤って舐めてしまうと、毒性の強いものでした。10年前くらいに、安全性の高いスポットタイプのものが開発され、その後、少しずつ特徴の異なる新製品が開発されました。

特徴の違いとしては、まず効能です。①ノミ駆除だけのもの、②ノミ、マダニ、シラミ駆除に有効なもの、③ノミ、回虫、ミミヒゼンダニ(耳ダニ)駆除とフィラリア予防ができるもの。と、こんなところです。

犬には、マダニから血液に寄生して、貧血を起こす、バベシア感染症という病気がありますので、マダニの予防は必須だと思います。もちろん、マダニは猫にも寄生して吸血しますので、予防するにこしたことはありません。

ですが、回虫、ミミヒゼンダニは、お外生活している猫達のあいだで、結構流行っているものですから、外出する猫ちゃんなら、これらを予防できて、フィラリア予防も兼ねれるものは、なかなかメリット大だと思います。

もう一つの特徴の違いとしては、身体への取りこまれ方として、皮膚の表面を覆うか、皮膚から血液中に吸収されるかの違いです。皮膚の表面を覆う薬は、ノミと薬が接触することで効果を発揮します。血液中に吸収される薬は、ノミが薬を含む血液を吸血することで、効果を発揮します。それぞれ、メリット、デメリットがあります。

皮膚の表面を覆う薬は、シャンプーや雨の影響を受けない工夫がされていいるとは言えど、皮膚病で毎日シャンプーしなければならないほどの頻度となると、やはり、効き目の薄らぐのが早くなってしまいます。あと、大きなワンちゃんですと、身体の末端の方に分布する薬の量が薄くなってしまう傾向もあるようです。

血液中に吸収される薬の場合は、シャンプーの影響や、身体が大きくても、ちゃんと全身に行きわたるのが最大のメリットです。それに、ノミ駆除の効果発現までの時間は、血液中に吸収される薬の方がずっと早いのです。接触タイプは、時間をかけてジワジワですが、吸血タイプは一気に効きます。なので、結果、ノミが駆除されるまでに動物が吸血されてしまう回数は、吸血タイプの方が圧倒的に少なくて済みますから、吸血されるほど症状は重篤になるノミアレルギーを持つ動物では、吸血タイプのノミ予防剤を使用するのが望ましいのです。

ただ、人の感覚的な意識として、体内に吸収されると、身体に悪いのでは?と思われることもあるのかもしれません。ですが、発売にあたっては、厳しい安全性試験を通過して、認可を取られていますので、安全なことは間違いないのですが、体質上、合わないというケースがどうしてもあり得ることは確かでしょう。

ですが、この血液中に吸収されるタイプのスポット剤で、体調を崩したという報告はあまり無く、私が、お聞きしたケースでは、誤って舐めてしまって、苦味のためにヨダレや吐き気が出たケースや、早く蒸発させるために含まれているアルコール成分のために、眼をショボつかせたり、鼻水が出たりといったケースくらいです。

むしろ多いのは、いずれのスポット剤にしてもですが、付けた場所がただれてしまうということです。薬剤によってダメなものがあるケースもありますし、アルコールがダメだったり、何か、付けられるのがダメで掻き倒してしまうとか、どの薬剤でもダメなケースもあります。

そこで、朗報としては、「飲むノミ予防薬」ができました。メリットとしては、スポット剤による皮膚ただれの心配が無いこと以外にも、飲むので、皮膚から吸収させるより、もっと確実に体内に入ることです。もちろん、シャンプーの影響はありません。これも、吸血タイプの薬ですので、ノミアレルギー対策向きです。つまりは、アレルギー持ちの皮膚病で、治療のために頻繁にシャンプーしなければならなかったり、皮膚病がひどくて、スポット剤を滴下するのは忍びないようなケースには、持ってこいの予防薬なのです。

残念ながら、今のところ、発売されているのは「犬用」だけなのですが、メーカーさんからの情報によると、猫の安全性試験もすでに終了していて、現在、認可の申請中とのこと。近じか、「猫用」も発売される…ハ…ズ…、です。これは、猫ならでは、「触れないので、スポット剤は滴下できない。」「スポット剤を滴下すると、跳び上がるほど驚いてしまってダメ。」と、お困りの猫ちゃんにも朗報ですね。食べやすい味が付いた錠剤で、砕いてフードに混ぜても大丈夫だそうです。

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