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2012年6月

2012年6月27日 (水)

WEST JAPAN VETERINARY FORUM

この週末に、大阪国際会議場で、「WEST JAPAN VETERINARY FORUM」という獣医界の大きなイベントが開催されました。たくさんのセミナーに参加できるイベントです。1つのセミナーは、70分と短時間に集約されたものですが、10室以上ある各会場で、別々のセミナーが同時進行、丸2日間にわたり開催されますので、その内容は盛りだくさんです。獣医さん向けのもの、動物看護士向けのもの、一般のオーナーさん向けのものもあります。

開催前から、プログラムを眺めて、数々の興味深い演題の中から、聴講するものを選んで、楽しみにしていました。午前中2つ、お昼はランチョンセミナー、午後から3つ。学生時代の授業より内容濃厚、ハードなプログラムです。

私がチョイスしたのは、「急性腎不全時の輸液」[麻酔中の不整脈」「猫の呼吸器疾患」「抜歯」「内視鏡検査」「猫の角結膜炎」。どの講義も人気が高くて、立ち見も出る盛況ぶりです。ほんとに、大勢の参加者だったので、驚きと、感心とです。世の獣医さんはホントに勉強熱心です。私も、遅れをとらぬよう頑張らないと!と、こういった会に参加すると、刺激になって良いものです。

広い協賛企業会場には、各企業さんの展示があり、医療器械から、器具、薬品、書籍、ペットフードなどなど、これもまた盛りだくさん。企業さんに直接、機器についてお聞きできる貴重な機会なので、もう一つのお楽しみなのです。私も、今、導入を検討中の機器数点について、研究してまいりました。

企業さんブースでくじ引きをしたら、かわいいUSBが当たったし、このところお会いする機会の少なかった先生に偶然お会いしたりと、嬉しいハプニングもありの、楽しい会でした。せっかくの、この度の、勉強、研究を生かして、役立つ病院へと成長させなければなりません。

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2012年6月19日 (火)

悪性腫瘍

何故か、一般的に悪性腫瘍=「癌(ガン)」がまかり通っています。

ちょっとややこしい話をすると、悪性腫瘍は、その発生起源の違いから、「癌」と「肉腫」に分かれます。

発生起源?とは、

生き物は、受精卵から生れてくる姿へと分化していく始まりの始まりの段階で、まず、3つの方向性に分かれて分化し始めます。感覚器や神経系へと分化する「外胚葉」、骨格や筋へと分化する「中胚葉」、消化管や消化腺上皮へと分化する「内胚葉」です。

「癌」は、この様に分化する中の、「内胚葉」から成る「上皮系のもの」が悪性腫瘍となったものを指します。「上皮系以外のもの」が悪性腫瘍になったものは、「肉腫」と呼びます。

「肉腫」という言葉は聞き慣れないかもしれませんが、「骨肉腫」はいかがでしょうか。命を脅かすこともある怖い腫瘍として、広く認知されていると思いますが、その通り「骨の悪性腫瘍」です。

「繊維肉腫」「脂肪肉腫」「血管肉腫」…、「癌」は付きませんが、全て悪性腫瘍です。

診断名に「癌」と付けば、もちろんショックを受けられるのですが、「肉腫」だと、「じゃあ、癌じゃないのですね。」と安心されるケースがあり、ちょっと、困惑させられます。ある意味、「肉腫」の方が、抗癌剤の効きの悪いものが多かったりもしますので、「癌」よりタチの悪いものも多いのです。

そこで、切々と、「肉腫」がいかに心配を要する悪性腫瘍なのかを説明すると、「じゃあ、「癌」みたいなものですか?」と返ってくる。…厳密には、「癌」ではありません。が、そうだと言えば、その本質をご理解いただけるのならばと、「○○の癌」という…専門的にはヘンテコな診断名を作りあげてしまうこともあります。

主人が入っているガン保険の契約書を見ていて、驚いたことがあります。欄外に列記された、小さな小さな文字の説明書きに、「保障対象は、癌(上皮系悪性腫瘍)に限る。」とあります。なるほど、確かに。「ガン保険」と名乗っているわけですから、「肉腫」を対象にする必要はありません。

けれど、悪性腫瘍のうちの「癌」は、ごく一部なのです。何だか、「癌」=「悪性腫瘍」がまかり通っているのを利用しているような気になり、主人に、そのことを理解の上かと問うと、意外にも「そうだよ。」とあっさり返答。それでも、日本人は、胃癌、肝臓癌、大腸癌などの癌が多いとされているし、それなりの掛け金だからと、納得している様子。

なるほど。そうかもしれないと、私も納得しましたが、ご存じない方も多いんだろうなあ…と、やっぱり何だか納得いかない。そこで、同僚の先生にお話したら、「ええーーーー!そうなんですかあ!!!」と、ナイスリアクションしてくれたので、「ほうら。やっぱり、知らない人もいる。」と、ちょっと満足だったのでした。

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2012年6月12日 (火)

オシッコの困りごと集

<困ったその一>

「2日もオシッコが出ないんです。」何度もトイレまで行くけど、すぐに出て来てしまう。排泄しようとはしないとの事。さて、なんでしょう。

本当にオシッコが出ないのなら、通常は、しきりに排尿姿勢をとって、いきむものですが、排尿姿勢を取らないとは何ぞや。膀胱炎で、残尿感がひどいときにも、何度もトイレへ行って、何もしないことがあります。正確には、頻尿のせいで、さほど尿がたまっていないから、何もしないのですが。

ですので、一応、尿検査です。カテーテルという細い管を、尿道から膀胱まで通して、採尿がてら「詰り」がないかの確認です。結果、詰りなし、膀胱炎の時にみられる血液反応などもなく、異常なしです。

では、何か、気にいらない?トイレを変える、砂を変える、トイレの場所を変える。他の猫ちゃんがトイレを使用した…等など、気に入らない理由探しです。結局、尿をしなくなる前に、トイレをキレイに洗ったことが判明。しかも、洗剤で念入りに洗ったとのことなので、そのせいかもね…ということに落ちつきました。猫ちゃんは、特に、柑橘系の香りのする洗剤を嫌うそうですので、ご注意を。

<困ったその二>

「私の布団でオシッコするんです。」それも、留守中にすることはなく、見てる目の前で、お姉さんを見つめながら、「ジャー…」とオシッコ。去勢手術も効果なく、他の猫ちゃんがいない環境のほうが良いのかもと、里子に出してもみたそうなのですが、その新居でもやはりオーナーさんの布団に「ジャー…」

で、新オーナーさんに嫌われ、出戻り猫になってしまったとか。このまま、帰宅しても、また、布団にオシッコされるにきまってるので、どうにかならないものかと、帰り道にご来院。

布団にオシッコは勘弁して欲しいけど、オーナーさんを見つめながら…なんて、かなわぬ恋心のようで切ない気もします。何か、やりきれない不安感、不満感からなのではないかと想像されますが、それが何か…なのかは解りようもありません。

治療としてできることは、根本的な原因の解決ではありませんが、不安感、不満感を和らげる精神安定剤の投与になります。即効性があるわけではなく、1~2ヶ月間かけて、徐々に安定してくれることを期待するものです。副作用としては、効きすぎるとフラツキが出たり、寝てばかりになったりすることです。時に、「元気が無くなった!=具合が悪くなったんじゃなの!!!」とご心配される方もいらっしゃいます。テンションが下がる薬を飲ませてるので、当たり前なんですけど。

この猫ちゃんは、この治療がうまくいくかもしれない兆しです。といっても、全くしないわけではありませんが、必ず毎日だった布団でオシッコが、1週間に1回あるかないかになったそうです。「確かにテンション下がり気味だけど、問題になるほどでもないので、もう少し、続けてみます…。」とのこと。うまくおさまるとよいのですが。

<困ったその三>

猫ちゃん的プライドなんでしょうか。年老いて、フラフラになってでも、かたくなに排泄はトイレまで行く猫ちゃんには感心させられます。それでも、トイレの段差がつらくなってくると、身体半分はトイレに入ってるけど、肝腎の後ろ半分はトイレの外…なんてこと、ありますよね。しゃがんで、「ジャーッ」と、たっぷりトイレの前にオシッコ。なのに、すまし顔で、砂をかきかき。

こればっかりは、猫ちゃんのプライドを傷付けないように、そっとトイレの前にペットシーツをひくなどして、気付かないふりをしてあげましょう。

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