« 2012年8月 | トップページ | 2012年10月 »

2012年9月

2012年9月27日 (木)

多尿・乏尿・無尿

年齢と共に腎臓の機能が低下してくるパターンでは、通常、第一に現れる症状が「多尿」です。もっとも、よほど注意深く観察されてらっしゃるか、かつてに、腎不全の猫ちゃんのお世話をされた経験があって、「ピン!」とくることでもなければ、そうそう、そのことに気付かずにいる事の方が多いのではないでしょうか。

多尿になる理由は、腎臓で老廃物を濃縮排泄する機能が低下したためです。それでも、それなりに老廃物を排泄しようとすれば、尿量を増やすしかないからです。

そうなると、おのずと飲水量も増えますし、身体の消耗が始まるので、体重が減少してくるものですが、毎日見ているだけに、わずかずつの変化は見逃してしまうものです。ワクチン接種などで来院された際に、初めて体重減少に気付くことも稀ではありません。

「よく水を飲むし、たくさんオシッコもするから、腎臓は悪くないと思います。」なんて、オシッコがよく出る=腎臓は元気!と勘違いされてらっしゃることがありますが、猫ちゃんは、本来、水を飲む量が少なく、尿量も少ない動物です。多飲多尿=何らかのトラブルを心配しなくてはなりません。

ただ、この時期に発覚していれば、長期的な管理を始めることができますので、残された腎機能を大切に長持ちするようなケアーが可能です。

更に、腎機能障害が進んだり、何かのきっかけで急性憎悪した場合に、尿を作る機能が落ちてしまうという事態に陥ります。尿が乏しいと書いて「乏尿」です。これは体内の老廃物を排泄出来なくなってきているわけですから、そのまま悪化すれば、命にかかわるSOS状態なのです。

人ならば、血液透析で排泄できない老廃物を処理するのが、最も、その場をしのげる手段なのでしょうが、動物の場合は容易にはできない手段です。利尿剤などの内科療法で、再び腎臓が働き始めてくれたら万々歳!ホントにホントにこれぞ万々歳です。

ですが、乏尿の状態に陥ってしまうと、上手くいくケースは、むしろひと握り。やがて、全く尿が作れない「無尿」の状態に陥り、助けることが出来ない事の方が多く、無力さに落胆させられます。

何故だか動物病院では、とかく、同じ病気が続くような・・・ことがあります。このところの当院では、この乏尿傾向に陥った猫ちゃんが続いています。急に寒くなったので、泌尿器感染を起こしやすかったりするんでしょうか。

動物の場合は、自己主張がないだけに、どうしても、病状が進んでからしか気付かないことが多いです。そういう、うちのニャンも高齢になってきてるのに、大丈夫なんだろうか。。。ちょっと、心配になってきた今日この頃です。

|

2012年9月11日 (火)

大阪動物愛護フェスティバル in 大阪市中央公会堂

9月15日(土) 午後1時30分~午後5時

大阪市中央公会堂で、大阪動物愛護フェスティバルが開催され、一般公演、長寿動物の表彰、動物絵画展示(石橋文化幼稚園)が予定されております。

猫ちゃんは、18歳以上で表彰を受けることができて、表彰状と記念品をいただけます。昨年の記念品は、本人の写真がプリントされたマグカップでした。長寿動物さん達の写真は、11月11日(日)大阪城公園・太陽の広場で開催される大阪動物愛護フェスティバルの際にも、展示されます。当院からも、22歳のチビちゃんがエントリー済みで、表彰を受けに来場される予定です。最も高齢動物のオーナーさんが、代表で檀上にあがって、表彰状を受け取るのですが、ビックリするくらい長寿のこがいらっしゃるので、ちょっと、まだ、代表にはとどかないでしょうね。

一般公演は、住吉大社、権禰宜の小出英詞様による『住吉さんと神馬の伝説』と、赤坂動物病院、院長の柴内裕子先生による『セラピードッグが訪問する聖路加国際病院』です。

神社の権禰宜さんのお話をお聞きする機会なんてなかなかありませんので、貴重な機会だと思います。

柴内裕子先生は、長くCAPP活動というアニマルセラピー活動に携わってらっしゃる先生です。セラピー・ドッグ、セラピー・キャットと共に、老人ホームや病院、学校などの施設を訪問する活動です。動物と触れ合うことで感じる安堵感は、精神的、機能的、社会的機能の向上につながるプラス効果をもたらすそうです。

以前、柴内先生からお聞きしたお話ですが、老人ホームを訪問された際の、重症の認知症の方で、話すこともなく、手足を動かすこともなく、全くの寝たきりでいらっしゃるお婆さんのお話です。以前、猫を飼っていて、たいそう可愛がってらっしゃったとお聞きしたので、胸元に猫ちゃんを乗せてあげると、…きっと、昔、そうしてらっしゃったんでしょうね…全く動かすことのなかった手で、胸のボタンをササッと開けて、猫ちゃんを懐に入れられたそうです。

そんな、動物が与えてくれる驚きの素敵なお話を、たくさんお聞かせいただけると思います。ぜひ、お誘いあわせの上、ご来場ください。

|

2012年9月 5日 (水)

腰部脊柱管狭窄症

私事ですが、父が腰部脊柱管狭窄症を患い、歩けないほど痛みがひどいそうです。

定年退職してから、趣味の登山や旅行を楽しんでいましたが、高齢の祖母がおりましたので、長期間を要す海外旅行はひかえつつ、「祖母の長生きはありがたいが、こっちが弱ってしまって、旅行にいけなくなってしまいそうだ。」などと冗談まじりで申しておりました。

その祖母は、今年の1月、100歳まで長生きして他界しました。早速、ヨーロッパ旅行の予定を組んだりしていた矢先のことで、冗談でなく、本当に旅行に行けなくなってしまい、皮肉なばかりです。

まずは、内科的に緩和治療を試みてるようなのですが、症状はヒドクなる一方とのこと。一日中、外出もせずに「痛い、痛い。」と小言を聞かされ、三度の食事を用意しても、「痛くて、食欲がわかない。」と言われて、母まで憂欝になるのと、腹が立つのと、困り果てるのとで、私にHELPメールをよこしました。「お父さんに電話してやって。。。」

「電話してやって」=「父が怖がってる手術を勧めてくれ!」なんでしょう。母が言って聴かなくても、娘の言うことなら、ということです。

私も、詳しくは解りませんが、どうやら、腰椎の一部を削り取って窓を開けることで、圧迫を無くす手術をするようです。多分、動物で椎間板ヘルニアの際に行う手術に似たかんじのようです。それならば、内科的にコントロールできないなら、手術する他無いでしょうし、神経のダメージなどを考えると、あまり長引かせずに手術に踏み切る方が、術後の経過も期待できると思われます。

そんな、淡々と科学的に物事を考える「優しくない」娘と、ガンコ親父の会話です。

私「だいぶ、調子悪いんやって?」

父「おう。そうなんや。まいっとるんや。」

私「薬でアカンのなら、手術せなアカンでしょ。」

父「人事やと思って、簡単に言うな。手術はイヤや。」

私「狭窄は薬で解決しないんやから、仕方ないやん。」

父「手術したら、痛いやないか。」

私「手術せんでも、歩かれへんくらいに痛いんやろ?」

父「手術しても治るとは限らんやないか。」

私「手術せんかったら、どんどん悪くなって、神経アカンようになったら、それから手術しても良くならへんで。」

父「手術したら、血が出るやないか。手術なんかせえへん!」

私「犬でもする手術やで。人のお医者さんなんて、もっと専門化してるから、一般的な手術やで。たいしたことないとは言わんけど、そんなに怖がる手術でもないで。」

父「犬と一緒にするな!」

よく、ワンちゃんや猫ちゃんが手術するかの選択となった時に、ご家族が思案しかねて、「このこは、どうしたいのか。。。言ってくれたらいいのに。」と、おっしゃられます。私は、獣医師立場としての意見をもって、お話し合いをさせていただきます。めぐりめぐる不安ゆえの思案を、長い時間をかけて、一緒に解決させていただくこともあります。

なんですが、「血が出るやないか。」とかいう次元のガンコ親父の説得は不慣れです。まあ、獣医になると言い出してきかなかった娘の父親は、ガンコに決まってるわけで。お互い様です。少なくとも、私に言ってもらって、母の気はすんだようなので、まあ、それだけでもよかったとしましょう。

|

« 2012年8月 | トップページ | 2012年10月 »