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2013年6月

2013年6月21日 (金)

猫の爪研ぎ

猫が爪を研ぐ理由は2つ。

1つは、武器である爪を尖らせる、正しく「研ぐ」ためです。ヒトの爪は、一方方向に伸びていきますが、猫の爪は、内側から外側へ向かって新しい爪が作られてきます。爪研ぎをすると、外側の古い爪がパラッと剥がれ落ちて、内側のシャッキーンと尖った新しい爪が出てくる仕組みなのです。

診察の際、恐ろしいほど立派な爪なものだから、「よく伸びてますね」と申し上げると、「あら?よく、爪研ぎしてるのに。」と勘違いされていることがあります。爪研ぎすると、先が丸まると思ってらっしゃったんですね。猫的には、それでは困りますよね。大切な武器なんですから。

もう1つの理由は、「マーキング」です。爪をこすりつけることで匂い付けをして、「なわばり」を主張するためのものです。

お家の中で暮らす猫ちゃんとて、爪研ぎは本能的に行う行動なのですが、ヒトの都合からすると、どこかしこでされてしまうのは困りものです。

そこで、爪研ぎしても良いところを設けて、他ではしないように仕向けたいところです。「猫の爪研ぎ」なるものが販売されていますが、近頃は、様々な形、素材のものがあって、猫心をそそる工夫を感じられます。

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本来、本能的に行う場合は、樹木の幹などで行うものなので、「爪研ぎ」は床の上に置いておくより、壁面に立てかける、貼り付けるなどして垂直面に設置するほうが、猫心はそそられるようです。

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材質では、ダンボールが人気だと聞きます。以前、ダンボール箱を切って、重ねて、縛り付けて作った、お手製「猫の爪研ぎ」を頂いたことがありました。よく、こんなに綺麗に重ね合わせてお作りになるものだと感心しましたが、これがまた、猫ちゃんズには大人気なのにも感心いたしました。

ただ、どんなに「爪研ぎ」グッズを並べても、困ったところで執拗に爪研ぎする猫ちゃんもいます。何かしら、不安、不満につき、やむなき自己主張をしているのかもしれません。心のケアにフェロモン製剤のフェリウェイを試してみる価値はあると思います。

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2013年6月13日 (木)

熱中症

なんだか解りませんが、梅雨入りしたと聞いたとたん、雨はさほども降らないままに、極暑の到来ですね。

湿度も気温も高く、まさに大阪の真夏。

真夏よりは、まだ、暑さに身体が慣れない初夏のほうが、熱中症になりやすいとは聞きますが、ちょっと、今年は尋常ではない突然の暑さですから、皆様、そして、特に、汗をかかない動物には注意してあげてください。

ヒトは汗をかくことで体温調節ができますが、動物はハアハアと息を吐くことくらいでしか熱を発散できないので、そもそもベチャ顔で息苦しそうなブルドックやパグのような品種のワンちゃんは、あっという間に、命取りなほどの熱中症になってしまいます。

猫ちゃんでいうと、スコティッシュ・フォールドやペルシャなんかは、それに近いので、ハアハアしないように涼しくしてあげてください。我が家も、外出中はゆるーくですが、エアコンを「除湿」モードでかけてくるようにし始めました。

先日、知人が、息子さんが、高校へ携帯電話を隠し持って行って、先生に叱られたバツにと、丸坊主にしてやったそうなのですが、「毛」が無いのが災いしてか、炎天下で部活の練習をしていて、熱中症になりかけてしまったとお聞きしました。もっとも、ヒトは、「毛」のある無しにかかわらず、帽子をかぶったほうがいいでしょうけど、「毛」の無い方は要注意なんですね。

卓球を趣味とされている知人が、市の体育館は、有料なのに冷房もきかないなんて、この季節には危ないではないかと、不平をおっしゃられていました。卓球は、風が影響するといけないから、締め切ってプレイするもんなんでしょうか。それでは、確かに、この季節、危険ですね。

そういえば、学生時代、バスケットボール部だった私は、恐ろしく蒸し暑い体育館で、部活動をしたものでした。試合で他学校へ行くと、更に風通しが悪くて蒸し暑い体育館のこともあるので、「悪条件に耐える訓練」と称して、窓を締め切った体育館で練習するなんて、馬鹿なこともやっていました。これを言うと歳がバレますが、当時は「練習中は水を飲んだらダメ!」なんて根性論の時代。今思えば、身体に悪いどころか危険なことをしておりました。

もっとも、そのお陰で、超丈夫な身体に鍛えられて、あれから(メ・ん・)?10年経った今でも、夏バテ知らずなんですけれど。(*^^)v

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2013年6月 4日 (火)

これぞ、強毒全身性猫カリシウイルス感染症!?

猫カリシウイルス感染症は、以前から広く流行っているメジャーな感染症ですが、近年、重度な全身症状を起こす強毒なカリシウイルス感染症の報告が相次いでいます。

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従来のカリシウイルス感染症は、ワクチン接種していない猫ちゃんだと、こじれて、発熱、鼻炎、結膜炎、口内炎などの症状改善に時間がかかることはあっても、適切な治療を施されていれば、死亡するほどのことにはならないのが通常です。

この度、恐ろしいことになってしまった、強毒全身性猫カリシウイルス感染症と思われる猫ちゃんを診療しました。

そもそもは3頭だった猫ちゃんの間に仔が産まれ、またそのうちに仔が産まれ、あっという間に9匹になってしまい。そうこうしているうちに、最後に産まれた♂猫ちゃん3頭が、母猫ちゃんにのっかってる!!!のを発見して、慌てて去勢手術を受けようと、GW中も診療していた病院へ駆け込み、去勢手術を受けてきたそうです。

それから数日して、この3頭がくしゃみをし始めたら、あっという間に、同居の猫ちゃん達にも感染してしまったとのこと。それでも、食餌をとってはいたので、様子をみていたのでしょう。そのうちに、どんどんひどくなり、とうとう、1頭が食べなくなったということで来院されました。

来院時には、ガリガリに痩せて、皮膚をつまんでも伸びないほどに脱水して、白目のところが黄色くなるほどに黄疸が出ていますし、鼻からは青っぱながズルズルと垂れて、見たことないほどのヨダレで胸から前足までビショビショです。本来、発熱する病気ですが、もはや生命が危うい状態に近付き、低体温になっていますし、血液検査をすると、腎数値は測定不可能レベルの高値です。

正直、「これは、助からないかも。」と思いました。実際、強毒全身性カリシウイルス感染症の死亡率は67%です。治療1~2日目は、全く改善なく、むしろ腎数値は悪化。「回復の期待は難しい」とお話しました。治療3~4日目、腎数値が低下し始めました。でも、まだまだ助かる気がしないほどの様相です。治療5~6日目、ちょっと険しかった顔つきが、やわらかくなってきました。それでも、ヨダレは止まる気配なく、食べれるはずもない状態が続きましたが、治療10日目になって、やっと、ヨダレが減り始めました。何とか、窮地は脱したようです。

ただ、まだまだ治ったわけではありません。他の、8頭の中にも食欲がなくなる猫ちゃんが出ていますし、全頭がくしゃみをし続けています。猫ちゃんがたくさんいるという環境は、それだけでウイルスにとっては良い増殖場ですし、猫ちゃんにとっては、大きなストレスなため、抵抗力を損ないやすく、ますます、伝染病が流行り易く、治りづらい環境となってしまいます。

ですので、生活スペースに見合わない頭数の猫ちゃんを飼育することは、可哀想なことなのです。猫は生後半年もすれば、性成熟に達することは始めから分かっていることですから、「あっという間に増えてしまった」ということにならないよう、予め不妊手術を計画しなければなりません。

そして、たくさん猫ちゃんがいる環境でこそ、ワクチン接種を徹底しなければなりません。どうしても、目先の費用を計算すると、「たくさんいるから、無理。。。」となってしまうのは分かります。が、費用だけの問題ではありませんが、今回、この猫ちゃんにかかった治療費は、一生ワクチンを接種する費用をはるかに超えています。全頭が完全に回復するまでの費用を考えると、恐ろしいものがあります。

私達は、度々、こういったケースに遭遇するので、多頭飼育環境でのワクチン接種の重要性について、ご説明するよう努めていますが、「痛い目」に合わないと、受け入れていただけないこともしばしばです。

今回のご一家も、はじめの3頭は当院でワクチン接種したことがありますが、今年の接種予定日は過ぎてしまっていました。他の猫ちゃんたちは接種したことがないそうです。「外には出さないし、今までは大丈夫だったから。」という弁解でしたが、空気感染する感染症なので、外に出なくても感染します。特に、「今まで」とは異なるストレスが加わった時に、「今まで」とは違うことになってしまうわけです。

それに、外には出さない猫ちゃんでも、病気になったら、病院へは行く機会もあるわけで。病院には、感染症の猫ちゃんも出入りしています。当院でも、院内感染を起こさないよう、手指や白衣の消毒はもちろん、診察台、診察室内、入院施設、器具などなどの消毒も、十二分なほどに行ってはおりますが、空気はどうにもできません。少々の感作では感染しないよう、ワクチン接種を行なっていただくしかないのです。

そのため、当院で、不妊手術やホテルをお受けする場合は、予め、ワクチン接種を受けていただきますが、急な病気の場合に、「予め」はないので、元気な時に、万が一の入院に備えてということも考えて、ワクチン接種を済ませてあげてほしいと思います。

今回のくしゃみ猫ちゃん一家が、あまりにもお気の毒なのと、ホントに「怖い!」を痛感させられ、少々、辛口意見になってしまいました。

不妊手術の際にはしてもらったけど、それっきりで、ついつい…という方、毎年接種する必要があることをご存じ無く、接種せずだった方、猫ちゃん連れの外出は大変ではありますが、どうぞ、接種してあげてくださいまし。

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