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2015年6月

2015年6月29日 (月)

脂質代謝異常

人では、高脂血症は動脈硬化や脳梗塞などに関与するとされて、コレステロール値や中性脂肪値は重要視されていますし、善玉コレステロールと悪玉コレステロールについても早くから評価されてきました。

動物では、まだまだ関心が低く、解っていないことも多い分野です。動物では人のように動脈硬化は生じないとされていますが、人ほど死後解剖までして精査されていないから、解っていないだけなのかもしれません。

約10年前から、ある動物検査機関で脂質代謝に関する検査がスタートしました。検査データが集まるにつれ、検査結果から解ること、検査結果の役立て方等々、情報が増えてきています。

とくに体調に問題は無いのだけれど、コレステロールや中性脂肪が高い猫ちゃん。ダイエットフードをちょっとしか食べてないのに、痩せない猫ちゃん。実は脂質代謝異常があるのかもしれません。単に、食べ過ぎなのか、糖尿病予備軍なのか。こういった区別がつきます。

泌尿器系のシュウ酸カルシウム結石に脂質代謝異常が関与しているとされています。高脂血症を伴う場合には、脂質代謝の検査をしてみる価値があるようです。

脂質代謝異常を伴う場合は、低脂肪食と併せて薬物治療する必要があるのですが、脂質のうちどの分類が多いタイプかによって、適した薬剤が違ってくるので、薬剤選択の要となる検査でもあるのです。

猫ちゃんでの利用価値が高いものとして思いつくのは、糖尿病や脂肪肝の治療補助や、糖尿病予備軍が発病しないようにコントロールする等でしょうか。高脂血症がある猫ちゃんは、検査してみる価値がありそうです。

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2015年6月15日 (月)

風邪じゃないんですか?

時々、受けるこの質問。「風邪じゃないんですか?」

くしゃみ、咳、鼻水、目やに、発熱等々の呼吸器症状を呈して来院された猫ちゃんに、「たいていはヘルペスウイルスやカリシウイルスの感染症で、クラミジア菌感染も合併していることもあります。」とご説明すると、「風邪じゃないんですか?」とくることがあります。

「風邪」は俗称であって病名ではありません。呼吸器症状を生じている病態のことを、ざっくり「風邪」と言ってしまっているだけのこと。広くはインフルエンザだって「風邪」なはずですが、どうも軽症なものは「風邪」、インフルエンザは重症かつ伝染病扱いな風潮な気がします。

俗「猫風邪」は、決して軽症とは限らず重症化することもありますし、感染力が強くて同居猫ちゃん内で大流行すると収拾つかなくなりかねません。慢性感染化すると生涯にわたり悪さを続けるやっかいな感染症=伝染病です。

「俗には「猫風邪」と呼ばれますが、ヒトではインフルエンザにあたるもの。伝染病ですよ。」と、ご説明すると、「え!?それは大変。風邪じゃないんですか!?」となり、イメージが伝わりやすいのかもしれません。

ワクチンが開発されているということは、それだけやっかいな感染症だからなのです。

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2015年6月 3日 (水)

仔猫・仔犬の低血糖

身体が成熟すると、少々、空腹時間が長くなっても、肝臓でグリコーゲンを分解してブドウ糖に作り替えて、血糖値を維持できるので、まる一日食べなくても、倒れてしまうようなことはありません。

ところが、仔猫・仔犬では肝臓が未発達なので、ブドウ糖を作り出すことができません。食餌が採れない状況が続くと、死に至ることもあるほどの低血糖を起こしかねません。とくに、下痢や嘔吐を伴って消耗が激しい状況では、急変することもあります。

ブドウ糖は体内のあらゆる細胞の活動源ですので、低血糖状態になると、脳も心臓や肺、消化器、筋肉すべての活動が鈍ってしまい、意識がもうろうとしてフラフラになり、けいれん発作が生じたり、倒れてしまうこともあります。嘔吐や下痢も生じるでしょう。体温も下がり、呼吸や心拍も弱まり、何ら施しを受けずにいれば、やがて命は絶えてしまいます。

一昔前、某TVCMに愛くるしいチワワさんが登場して、爆発的にチワワさんが流行った頃、低血糖を起こして運び込まれるチワワの仔犬さんには、ホントに苦心しました。

成犬になっても小さなチワワさん。仔犬の頃は、もちろんものすごく小っちゃいです。小さければ、小さいほど可愛いものです。小さいうちに…と離乳したばかりで本当なら母乳も吸ってる月例の仔チワワさんがご家庭に来ることもありました。

平穏に暮らしていたら、時には仔犬同志で遊ぶこともあるけど、ほとんどの時間をゆったりと眠り、合間に母乳を吸っているはずなのに、母犬や兄弟から離されてドキドキしたり、「可愛い」とかまってもらってはしゃいでいるうちに、仔犬は容易く疲れてしまいます。ちょっと、吸いたいときに吸える母乳もありません。

「急にぐったりしたんです!さっきまで走り回ってたのに。。。」そう言って、駆け込んで来られます。可愛さあまり、かまい過ぎて疲れさせ、大きくなり過ぎたらイヤだからと、食餌制限しているなんてひどい話もあったりして閉口させられたものです。

まだ、口の中に入れられたものを飲み込める意識があれば、砂糖水を少し舐めさせてみます。飲み込めなければ、砂糖を歯茎に塗りつける手を使います。ご家庭でもできることなので、仔猫・仔犬がグッタリしたら、来院前に試みていただくと良いと思います。

軽症であれば、これだけでも意識がはっきりしてくるかもしれませんが、あくまでも、ほんの補助的な手助けでしかないので、何か低血糖を生じやすい問題が潜んでいないか、受診していただく必要はあると思います。

もっとも、重症さんでは、血管からブドウ糖注射や点滴をしなければなりません。ここで、手の平に乗るほどの小さなチワワさんや、ティーカップ・プードルなんぞ呼ばれるよほど小さい仔犬さんには苦心するわけです。

血管点滴のために留置する管は、そもそも人体用です。健常な新生児なら2kgほどあります。保育器に入らなければならない小さく生まれた新生児だって、800gはあるでしょう。私達が診る小さな仔達は、300gなんてこともざらです。

留置する管より、血管のほうが細いかなあ???なんて見比べてしまいます。仔猫さんではさらに小さくなりますので、どうしたって無理なこともあります。手足の血管が無理なら、頚部の血管、それも無理なら骨髄内に点滴するという手を使うしかないこともあります。

小さい動物は、想定外に急変しやすいものです。「ちょっと下痢をしただけ」、「吐いたけど元気だし」と様子を見ずに、早め早めの対処をしてあげてください。

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