ウコンの力
早くも、もうすぐ12月。この頃になると、方々から、忘年会の予定が入ってきて、こうも、予定が続くと、楽しい気分を飛び越えて、憂鬱になったりもします。血液検査で、肝数値が高かった猫ちゃんに、「お前は、酒、呑まないのになあ…。」って、話しかけてるお父さん。「接待やら、忘年会やら…、お父さん、大変なのかなあ。」って、ちょっと、心配してしまいます。
肝臓は、「沈黙の臓器」とも云われ、ヒトでさえ、自覚症状が出づらく、調子が悪くなったときには、すでに、深刻な状況になっていることのある臓器です。ましてや動物では、更に、進行しないと解ってあげられないということになります。
肝臓病にも様々なものがあります。犬では、遺伝的にある肝臓病が多い品種もありますし、ヒト同様、ウイルスや細菌による感染症のこともあります。田畑にまいてあった除草剤や殺虫剤を誤食してしまって、劇症肝炎を起こすなんていうのは、動物ならでは、かつ、地域性もあるかもしれません。
猫ちゃんの肝臓病の一般的なものとしては、ウイルスや寄生虫感染によるもの、薬物や毒素によるもの、腫瘍性、炎症性のものなどがありますが、最も、多いのがリピドーシス(脂肪肝症候群)です。肝臓に脂肪が蓄積して、肝障害を起こしてしまうものです。
リピドーシスから始まることもあり、他の病気に引き続いて、リピドーシスを合併してしまうこともあります。肝炎、腫瘍、そして糖尿病はリピドーシスを引き起こしやすい病気の代表です。インスリン不足もしくは、反応不足で、糖を利用できなくなる糖尿病状態では、おのずと、生命の維持に必要なエネルギーを体脂肪から得ようとして、イッキに脂肪が肝臓へ動員される結果、リピドーシスを起こします。
そして、非常に、非常に重大な素因は「肥満」です。その次に、重大なことは、「食欲不振」です。猫は1週間絶食すると、リピドーシスを起こすといわれています。食餌からのエネルギーがとれない分、体脂肪でまかなおうとした時、そもそも、脂肪をたっぷり蓄えている「肥満」猫ちゃんほど、肝臓への脂肪蓄積が生じやすく、危険なことになります。残念ながら、ラクダのこぶのようには役立たないんですね。
実際、私も、ただ、食べなくなっただけで、リピドーシスにまでなってしまった猫ちゃんを診た経験があります。普通に元気だった猫ちゃんが、お引越ししてから、新居になじめず、全く食べないままに1週間。「そのうち慣れるだろうと、少し、様子をみてたんですが、今日から、嘔吐し始めたんで、心配になって…。」そう、おっしゃって1週間目にご来院。血液検査をすると、血液の上澄み部分である血しょうが真っ黄色です。肝障害による黄疸です。まさしく、絶食により、リピドーシスを起こしてしまったケースでした。
リピドーシスの治療の大黒柱は、栄養維持です。体脂肪からエネルギーを得ようとすることを、やめさせなければなりません。ですので、とにかく、食べさせなければなりません。自発的に食べなければ、チューブで流動食を与えることもします。点滴をして、脱水症状の補正をします。薬物や栄養剤などで、胃腸の働きの手助けや、肝臓に蓄積された脂肪を運びだして、健康な肝臓を作り直すための精一杯の手助けをします。
恐ろしいことに、一般に報告されているリピドーシスの生存率は、50~60%です。もちろん、その原因となった基礎的な病気が何かにもよりますが、どんなに、軽症でも、油断大敵です。うまく、食餌をとれるようになれれば、ひと安心なのですが、嘔吐が激しくなり、栄養補給がままならなくなると、リピドーシスがどんどん進行する悪循環に陥ってしまい、悪化の一途。最悪、亡くなってしまうこともあるのです。
とまあ、なにせ、「沈黙の臓器」ですから、ヒトも猫ちゃんも、十分、用心しなければなりません。近頃、ある知人に、「ウコンの力」を飲むと、二日酔いにならないと教えてもらいました。一度、試してみましたが、プラセボ効果もあってかもしれませんが、確かに、いいような気がします。タイムリーなことに、スーパー・マーケットで、「ウコンの力」特売!を発見して、早速、忘年会の回数分の「ウコンの力」を買い占めた私でした。
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