ペット

2009年11月27日 (金)

ウコンの力

早くも、もうすぐ12月。この頃になると、方々から、忘年会の予定が入ってきて、こうも、予定が続くと、楽しい気分を飛び越えて、憂鬱になったりもします。血液検査で、肝数値が高かった猫ちゃんに、「お前は、酒、呑まないのになあ…。」って、話しかけてるお父さん。「接待やら、忘年会やら…、お父さん、大変なのかなあ。」って、ちょっと、心配してしまいます。

肝臓は、「沈黙の臓器」とも云われ、ヒトでさえ、自覚症状が出づらく、調子が悪くなったときには、すでに、深刻な状況になっていることのある臓器です。ましてや動物では、更に、進行しないと解ってあげられないということになります。

肝臓病にも様々なものがあります。犬では、遺伝的にある肝臓病が多い品種もありますし、ヒト同様、ウイルスや細菌による感染症のこともあります。田畑にまいてあった除草剤や殺虫剤を誤食してしまって、劇症肝炎を起こすなんていうのは、動物ならでは、かつ、地域性もあるかもしれません。

猫ちゃんの肝臓病の一般的なものとしては、ウイルスや寄生虫感染によるもの、薬物や毒素によるもの、腫瘍性、炎症性のものなどがありますが、最も、多いのがリピドーシス(脂肪肝症候群)です。肝臓に脂肪が蓄積して、肝障害を起こしてしまうものです。

リピドーシスから始まることもあり、他の病気に引き続いて、リピドーシスを合併してしまうこともあります。肝炎、腫瘍、そして糖尿病はリピドーシスを引き起こしやすい病気の代表です。インスリン不足もしくは、反応不足で、糖を利用できなくなる糖尿病状態では、おのずと、生命の維持に必要なエネルギーを体脂肪から得ようとして、イッキに脂肪が肝臓へ動員される結果、リピドーシスを起こします。

そして、非常に、非常に重大な素因は「肥満」です。その次に、重大なことは、「食欲不振」です。猫は1週間絶食すると、リピドーシスを起こすといわれています。食餌からのエネルギーがとれない分、体脂肪でまかなおうとした時、そもそも、脂肪をたっぷり蓄えている「肥満」猫ちゃんほど、肝臓への脂肪蓄積が生じやすく、危険なことになります。残念ながら、ラクダのこぶのようには役立たないんですね。

実際、私も、ただ、食べなくなっただけで、リピドーシスにまでなってしまった猫ちゃんを診た経験があります。普通に元気だった猫ちゃんが、お引越ししてから、新居になじめず、全く食べないままに1週間。「そのうち慣れるだろうと、少し、様子をみてたんですが、今日から、嘔吐し始めたんで、心配になって…。」そう、おっしゃって1週間目にご来院。血液検査をすると、血液の上澄み部分である血しょうが真っ黄色です。肝障害による黄疸です。まさしく、絶食により、リピドーシスを起こしてしまったケースでした。

リピドーシスの治療の大黒柱は、栄養維持です。体脂肪からエネルギーを得ようとすることを、やめさせなければなりません。ですので、とにかく、食べさせなければなりません。自発的に食べなければ、チューブで流動食を与えることもします。点滴をして、脱水症状の補正をします。薬物や栄養剤などで、胃腸の働きの手助けや、肝臓に蓄積された脂肪を運びだして、健康な肝臓を作り直すための精一杯の手助けをします。

恐ろしいことに、一般に報告されているリピドーシスの生存率は、50~60%です。もちろん、その原因となった基礎的な病気が何かにもよりますが、どんなに、軽症でも、油断大敵です。うまく、食餌をとれるようになれれば、ひと安心なのですが、嘔吐が激しくなり、栄養補給がままならなくなると、リピドーシスがどんどん進行する悪循環に陥ってしまい、悪化の一途。最悪、亡くなってしまうこともあるのです。

とまあ、なにせ、「沈黙の臓器」ですから、ヒトも猫ちゃんも、十分、用心しなければなりません。近頃、ある知人に、「ウコンの力」を飲むと、二日酔いにならないと教えてもらいました。一度、試してみましたが、プラセボ効果もあってかもしれませんが、確かに、いいような気がします。タイムリーなことに、スーパー・マーケットで、「ウコンの力」特売!を発見して、早速、忘年会の回数分の「ウコンの力」を買い占めた私でした。

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2009年11月20日 (金)

猫ちゃんだって、お勉強

いろんなことを学習させるといえば、猫よりも犬を連想してしまいます。「お座り」「伏せ」「待て」「お手」など、日常の躾的な芸から、アジリティー、フリスビーのようなハイ・グレードな芸まで、レベルは様々ですが、確かに、犬の学習能力はスゴイし、それもまた、犬と暮らす大きな楽しみだと思います。

ですが、危機事態を学習するのは、猫の方が本能的に優れているはずです。一度、キャリーに入れて病院へ連れて行かれて以来、「キャリー→手の届かないところへ隠れる」ということを、バッチし学習してしまった猫ちゃんは、少なくないはずです。

これが、ワンちゃんだと、ちょっと、油断しがちです。リード→(お散歩?)喜ぶ→車に乗る→(公園へお出かけ?)もっと、喜ぶ→病院方向へ進路変更→(?)ちょっと不安になる→病院到着→(思い出した!イヤなところだ!)病院に入るのをイヤイヤする…けど、もう遅い。

猫ちゃんの場合、そんな風に、一度、イヤなこと!と認識してしまうと、その後の修正は難しいかもしれません。ですので、猫ちゃんが、幸せに長生きするために、してあげたいことは、イヤにならないように上手に学習させなければなりません。

爪切り、歯磨き、ブラッシングなど、お家でのケアーができるニャンになるには。粒の薬だって上手に飲めるニャンになるには。お客さんにおびえたり、威嚇するようなニャンにならないようにするには。病院へ行くのに、キャリーに入るのを愚図らず、病院でも興奮することなく診察を受けれるニャンになるには。呼べば、とんでくるようなニャンになるには。「お座り」とか「お手」なんかもできたりする?等々、課題は、山盛りですね。

「そんなの、猫ちゃんの気質にもよるし…、猫に躾なんてムリムリ!」と思いがちですが、けっして、そうばかりでもありません。こんな、優等生ニャンになれれば、病気の予防、早期発見、治療もスムーズ。すべては、猫ちゃんのためなので、少しでも、クリアーできるように、お勉強です。

やはり、2~7もしくは9週齢の社会化する時期にお勉強するのが、警戒心も少ないので、一番スムーズです。どんな、お勉強をするかというと、とにかく、触る。すべては、それから始まります。といっても、イヤな気にさせてしまっては、逆効果ですので、無理やり抱いたり、触ったりは禁物です。猫ちゃんが、ウトウト、ゴロゴロ、クウクウ、うっとり気分でご機嫌なとき、夢ウツツなときを狙って、おでこをなでる、頬をなでる、顎下をなでる、背中をなでる、身体をなでる、お腹をなでる。とにかく、「触られることは、気持ちいいこと」を学習させます。

嫌がらずに、そのままご機嫌なら、ちょっとランクアップです。足先を触ります。爪を切るときのように、パッドをプニュッと押してみます。嫌そうにしたら中止して、嫌じゃないところのナデナデに戻ります。そんな感じで、とにかく、根気よく、少しずつランクアップしていきます。そして、撫でる手の代わりに歯ブラシで、ナデナデ。歯ブラシナデナデが大好きになったら、ついでに、歯ぐきをナデナデ。これで、歯みがき大好き猫の出来上がりです。パッドをプニュプニュされてご機嫌なら、爪をプチッ。爪切りも平気猫の出来上がりです。もちろん、ここで、深爪は、超NGです。

すべての基本は、ヒトと触れ合うことに慣れることです。いろんな、ヒトに慣れる。いろんな、シチュエーションに慣れる。いろんなところを触られることに慣れる。キャリーだって、いつも、安心できる隠れ家だったり、中に入るとご褒美もらえるところだと学習したら、キャリーに入るを愚図らないニャンになります。病院で必ずご褒美もらえるのもいいですね。ただ、警戒心満載になってしまってからだと、せっかくのご褒美も、「そんなもん、食べてる場合じゃないしー!!」ということになりますので、小さい頃から習慣付けないと、よほどの食いしん坊でなきゃ、難しいかもしれませんが。

粒のお薬を飲むお勉強も、ぜひとも、クリアーさせてあげてほしいことです。フードに混ぜて食べさせる方法もありますが、ワンちゃんに比べると、敏感に察して、食べなくなってしまうことが多いですし、具合が悪い時は、食欲も落ちるものです。具合の悪い時に、お薬を飲めないのでは困ります。お勉強方法としては、お腹ペコペコのときに、ドライフードの粒を口を開けて入れる。慣れてきたら、奥の方までいれる。という感じで、給餌します。やっぱり、育ち盛り、食べたい盛り、警戒心の無い仔猫の頃の方が、すんなりお勉強できるには、違いありません。ヒナ鳥のさし餌ほどにはならないでしょうが、食べたい一心で、せっせと、お口をパクパク開けるニャンに育ってくれるはずです。

、とまあ、云うのはたやすいですが、なかなか、満点猫になるのは、超難関です。とくに、もう、オトナになってる猫ちゃんは、更に、難しいかもしれませんが、「味をしめる」的学習能力が抜群なのも、猫ならではです。嬉しいことがおきるお勉強なら、オトナの猫ちゃんだって、まだまだ、できます。

「お座り」させて、ハイご馳走。「お手」をさせて、ハイご馳走。猫ちゃんだって、覚えるんです。名前を呼んだら、とんでくるようになるお勉強は、名前を呼んで、連れてきてから食餌の準備をして、与えるようにする方法。ここで、注意点は、食餌の準備を先にしてしまわないこと。食餌の準備の音がすると、とんでくるニャンになってしまうからです。他にも、名前を呼んでから、喜ぶことをしてあげることで、「名前→いいことがあるかも…行かなきゃ!」と学習します。

我が家のニャンは、爪切り、歯磨き、ブラッシングなんかは、もちろんゼンゼン平気です。でも、私が名前を呼ぶと、とんでくるどころか、めんどくさそうな眼で、チラ見するのは何故でしょう。悲しいかな、「こいつ、時々、注射したりするヤツだ…。」と学習してるに違いありません。ここは、ひとつ、ご馳走片手に、芸でも仕込んでみますか。「ちょっと、面倒なことさせるけど、ご馳走くれることがある、いいヒト。」と学習し直してくれるかもしれませんし。

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2009年11月13日 (金)

猫の幸せな室内暮らしに必要な6箇条

以前は、猫といえば室内外を自由に行き来して暮らすのが一般的だったかもしれません。ですが、お外には、病気がいっぱい、危険がいっぱい。おのずと、外にも出て暮らす猫の平均寿命は、7~8年と、完全室内飼いの猫の約半分です。生粋のノラ猫の平均寿命は、2~3年といいますから、お外での猫暮らしは、決して幸せなものではないと思います。

ですが、完全室内ゆえのストレスも、考えてあげなければならないことです。先日、「猫の行動学」のセミナーで演題にあがったお話をご紹介したいと思います。室内飼いの猫が、猫らしく暮らすのに必要な6箇条のお話です。

①外が見れる場所=窓…猫らしい行動のひとつに捕食性行動があります。「獲物を捕まえる」のが大好きな猫ちゃんは、動くものを見るのが大好きです。それ故、ベランダに出て、下を眺めているうちに、何かを捕まえようとしてしまったのか、ジャンプ!→転落事故ということもありますので、危険のないように注意してあげてください。

②上下運動ができるスペース…たいていの猫ちゃんは、高いところが大好き。ですが、まれに、ものぐさな猫ちゃんもいます。そんな場合は、高いところにフードを置く等、のぼるように仕向けることが重要です。一日中ダラダラと寝ているのは、どう考えても、健康的ではありません。ただ、猫ちゃんも、高齢になると、足腰が弱ってきますので、無理のない程度にしてあげてください。

③隠れる場所、もしくは独りになれる場所…猫ちゃんたちが、折り重なるように身を寄せて、丸まって寝ている光景は、何とも、ほほえましいのですが、本来、猫は単独行動をとる動物です。ときには、独りになりたいこともあるに違いありません。キャリー・ケースを隠れ家として、常に解放して置いておくのも、よい方法です。キャリーケースが安心できるスペースになれば、「キャリー・ケース=病院へ連れていかれる→逃げろ!!」という奮闘をしなくてもよくなるかもしれません。

④おもちゃ・遊び相手…捕食性行動を満足させてあげることと、社会的刺激を与えてあげるということも大切です。気に入ったおもちゃを与える。ぶら下げておく。紙くずやアルミ箔を丸めたものをころがしてやる。等々。毎日、遊んであげて、遊ぶ習慣付けをします。でないと、高齢になると、「何もしない猫」になってしまいます。仔猫の頃は、ヒトのほうが、お相手しきれないほどの遊び好き。本当は、仔猫同士で遊べるのが、社会化させるうえでも、一番理想的でしょう。猫が社会化する時期は、2週齢~7週齢もしくは、9週齢までで、それ以降は、慣れにくくなっていきます。社会化する時期なら、ワンちゃんとでも、仲良しの猫ちゃんになれます。「ペットショップへ、チワワさんを買いに行ったら、兄弟猫が先に売れてしまって、独りぼっちになり、しょんぼりしていたアメリカン・ショート・ヘアーが可愛そうになって、一緒に買ってきてしまった…」という方がいらっしゃいましたが、仔犬・仔猫の頃から一緒に育ったふたりは、兄弟のように、とっても仲良し。大人になっても、小さいままのチワワさんと、はるかにデカくなったアメショーさん。奇妙な仲良しコンビです。

⑤食餌・草…決まった時間に、決まった量を与えるのが理想的ですが、そうすると、一日中、「ニャー!ニャー!ニャー!ニャー!(めし!めし!めし!めし!)」とやかましい猫ちゃんや、どうしても、置きっぱなしにせざるを得ないご事情で、そうすると、一日中、食べて、寝て、食べて、寝て…の繰り返しだという猫ちゃんへの、グット・アイディアな食餌の与え方です。ペットボトルにドライフードを入れ、転がすとフードがこぼれ出るような横穴を開けておきます。頑張らなきゃ食べれない方式にしておくと、食べ尽きるまでの時間稼ぎになりますし、運動不足解消、捕食性行動を満足させる効果もある名案です。猫ちゃんを夢中にさせるポイントは、初めは、横穴をたくさん開けておいて、簡単に出るようにしておくことです。慣れてきたら、穴を減らしたり、小さくして、難問に挑戦させるようにしていきます。「草は、与えなければならないか?」よく、質問をお受けします。むかつきを感じた時に、イネ科の草を食べて、催吐しようとすることは、動物が本能的に行っていることではありますが、「食べなければならない」というわけではありません。むしろ、毛球トラブル対策なら、ブラッシングを十分にしてあげたり、毛球の排泄を促すチューブ剤などで、吐かずにコントロールできるほうが理想的です。ですが、本能の赴くままに、食べたら危ない観葉植物などを誤食しないように、安全なものを用意しておくというニュアンスだと、お考えいただければよいかと思います。

⑥トイレ・爪とぎ…猫は5~6週令でトイレを覚えますので、チビ猫ちゃんでも、トイレは準備してあげましょう。安心して排泄できるように、目隠しを付けるなど、工夫してあげるとよいでしょう。爪とぎは、マーキング行為のひとつです。本来は、木の幹などにするものなので、水平に置くより、壁面などに垂直に取り付けてあげるほうが、良いかもしれません。材質に好みがありますので、お好みのものを選んであげてください。段ボール製のものを好むことが多いようですが、古くなると使わなくなるので、取り換えが必要です。この爪とぎ行為は、ストレスが多いと増えます。なので、バリバリ激しい時は、「何に、ムカついてる?」と、考えてあげてください。

いかがでしょうか。猫様にとって、満足度の高いお家になってそうでしょうか。ご参考までに。

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2009年11月 6日 (金)

長老猫ゆきおちゃんとのお別れ

とうとう、我が家の長老猫ゆきおちゃんとも、お別れしなければならなくなりました。このお話を、どんなふうに、何から始めれば良いものやらと、考えあぐねている間に、すっかり、ブログをお休みしてしまいました。

ここ2年ほど、体調を崩すたびに、(もう、そろそろ、難しいかも。)という予測に、嬉しい裏切り=復活を繰り返してくれておりましたが、今年の夏ばかりは、絶対、乗り切れないだろうと、覚悟はしておりました。

夏は、猫様達のために、日中も、エアコンをつけっ放しにしてはおりましたが、それでも、耐えられず、ハアハア、ヘロヘロに弱って、痩せてしまったゆきおちゃん。何とか体調維持せねばと、無理に、フードを食べさせようとするのですが、息があがってしまい、かえって、負担になってしまいます。

そこで、先だって、このブログでも紹介した、チューブ・フィーディングをすることにしました。鼻の穴から、胃の少し手前まで、チューブを入れます。顔に、何ヵ所か留めておきます。これで、無理に口を開けられ、飲まされていた薬や、無理やりつっこまれてたフードから解放されます。普通は、自分でチューブを抜いてしまわないよう、エリザベスカラーを着けるのですが、ゆきおちゃんは、おバカなのか、全く気にとめず、ほっぺたに、チューブの端をプラプラさせながら、超ご機嫌でした。

チューブから薬と、流動食を流し込むのですが、ウロウロされると、やりずらいので、あごの下をなでたり、額をなでたりと、ご機嫌とりしながらやっているうちに、ヒト好きなゆきおちゃん的には、その高待遇がとてもお気に召したらしく、流動食を手に持って、「ゆきお!」と呼ぶと、ピョンッ!と、ソファーの横に鎮座して、ゴロゴロ、ゴロゴロのどを鳴らすご機嫌ぶり。

真夏の1ヶ月間。ゆきおちゃんの、チューブ・フィーディングは続きました。ゆきおちゃんは、かつて無いほどにかまってもらえて、超お喜びだったことと思います。それに、少しずつ、体調を取り戻し、食欲も出てき始め、涼しくなり始めたころには、「これは、ひょっとして、またも復活か!?」と期待してしまっていましたが、お別れの日は、思ったより、突然でした。

まさか、亡くなる日だとは思えない感じで、小食ながらも、朝ごはんを食べ、このところ、ずっとそうだったように、多少、疲れたかんじの表情でしたが、ホントに、まさか亡くなる日だとは思いませんでした。

私が、帰宅するのを、待っていたようでした。いつもとは、違う居場所に横になっていたので、「珍しく、こんなとこにいる…」とだけ思いながら、ゆきおちゃんの横を通り過ぎようとしたとき、「…んにゃあ…」と救いを求めるような悲壮な鳴き声。「え!?」っと、覗き込むと、ハアハアと肩で息をしながら、必死の表情で私を見上げている、ゆきおちゃん。

「これは、ヤバイ。」瞬時に思考をめぐらしました。ゆきおちゃんの命がヤバイのは、確信です。それは、もはや、どうしようもないことも、ほぼ確信です。ヤバイのは、その日、ゆきおちゃんの本来の飼い主である、主人が福岡へ出張に行っていたことです。最終の新幹線で帰宅すると聞いていましたので、まだまだ、帰ってくるはずがありません。「最期に会わせてあげたい。」という「ヤバイ」です。

何とか、時間をかせげないものかと手をつくしましたが、思いの外、時間をかせげないままに、意識がなくなってしまいました。それでも、主人の到着を待って、ゆきおちゃんは、息をひきとり、心臓が完全に止まるまで、二人で見守ってあげることができました。

覚悟はしていたものの、かなり、想定外なお別れでした。やっぱり、生き物の生死は、予測しきれないものです。

「ゆきおー!」と呼ぶと、どこからか、「ニャニャニャニャニャー!」と駆けて来た、若かりし頃のゆきおちゃんが、ふと、廊下の向こうから、やってきる錯覚がしたりして、ちょっと、寂しんぼになっている気分をぶち壊すかのように、ズンッ!ズンッ!と、頭付きで攻めてくる、次男坊の虫太郎。てっきり、ヒト嫌いなのかと思っていましたが、どうやら、ほんとは甘えたかったのに、いつも、ゆきおちゃんに先を越されて我慢してたんでしょう。チャンス到来!とばかりに、甘え倒してくる虫太郎に、複雑な気がしないでもありませんが、そんな、悪気も何もない表情をみていると、寂しがってるのもどうかな…、と、「前向き(?)」な猫的発想に、ある意味、励まされたりもします。

それでも、お別れは、やっぱり寂しいですが、それよりも、たくさんの楽しい思い出をくれた、ゆきおちゃんに、感謝、感謝です。

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2009年10月29日 (木)

臨時休診のお知らせ

10月30日(土)

研究会出席のため、臨時休診とさせていただきます。

ご迷惑をおかけいたしますが、あらかじめ、ご了承のほど、お願い申しあげます。

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2009年10月 8日 (木)

チューブ・フィーディング

その名の通り、チューブから食餌を与える方法です。鼻の穴から胃の手前までいれるチューブの他に、頚部から、直接、食道にいれるチューブや、腹部から、直接胃内にいれるチューブがあります。鼻からいれるチューブは、ゼリー状の局所麻酔薬だけで、挿入しますが、食道や胃に直接いれるチューブは、全身麻酔が必要です。

食欲が落ちてしまった動物の体調維持、回復を支えるのに、口から摂る栄養に勝るものはありません。よく、「食欲が無いので、栄養の点滴をしてください。」とか、「点滴してるから、食べなくても大丈夫ですよね。」と、云われることがありますが、一般的に行われている、皮下点滴や静脈点滴は、水分補給に過ぎず、栄養にはなりません。たとえ、ブドウ糖の含まれた点滴剤であっても、血糖値を維持する程度の量で、すぐ、分解されてしまいますから、栄養にはならないのです。

ですが、身体の水分やミネラルのバランスを保つことが、まず、第一優先ですから、食欲の無い動物に、点滴治療はかかせません。まだ、十分に発育していない幼獣でもなければ、数日間、食べなくても、水分補給さえ怠らなければ、蓄えてある栄養分を分解して、持ちこたえることができます。ですが、長期間の食欲不振となると、皮下脂肪を分解しすぎて脂肪肝を起こしてしまったり、貧血や低蛋白から、全身の様々な機能が悪くなり、どんどんと、悪循環を起こしてしまいます。

もちろん、吐き気がひどい、下痢がひどいなどの問題がある場合は、口から栄養を摂ることはあきらめざるを得ず、本当の「栄養点滴」に頼るしかありません。栄養点滴をするには、頚部の静脈から心臓近くの太い血管まで、管を入れる必要がありますので、たいていは、全身麻酔が必要ですし、雑菌が入り込みやすい点滴なのですが、動物では、衛生管理も難しいこともあり、あまり、頻繁にはされていないかと思います。

そこで、そういった消化器症状のない容態なら、口から摂る栄養に勝るものはないという訳です。必ずしも、チューブからという訳でなく、軟らかいフードを口に入れて食べさせたり、流動食をスポイドで飲ませたりする方法でもかまいません。それで、スムーズに給餌できるなら、わずらわしいチューブを付けられ、いたずら防止にエリザベス・カラーを装着するといった重装備にならなくて済みます。

ですが、かなり嫌がるようでは、かえって、ストレスになりますし、量的にも、さほど補給できるとは思えません。チューブからなら、まったく嫌がらず、十分な量の補給ができますし、内服薬も簡単に投薬できます。チューブが入っていても、普通に食べることもできますし、実感として、口からの栄養補給ができるのと、できないのとでは、明らかに体調維持具合が違います。

ですが、動物にとって、チューブやエリザベス・カラーをわずらわしく感じるのも、ストレスでしょう。何より、オーナーさん側が、見るに忍びないお気持ちになられるようで、チューブの装着を躊躇されるケースが多いのが実際です。チューブから流動食を注入するだけのことでも、慣れない一般の方にとっては大変なことだとも思います。

今でこそ、チューブ・フィーディング用のフードも進化して、溶けやすいもの、下痢しづらいもの、嗜好性もよいものなど、便利になりましたが、以前は、あまり良いものがなく、缶フードに水を加えたものをミキサーにかけ、カスが詰らないように、さらに茶こしで裏ごししたものを使ったりしましたので、その、工程を理解することも、慣れない方にとっては大変なことだったろうと思います。

チューブ・フィーディングといえば思い出すのが、15年ほど前、猫エイズ、猫白血病共に感染していて、リンパ腫になってしまったトラ猫のトラちゃんです。抗癌治療に耐える体力を維持するために、チューブ・フィーディングすることになりました。そこで、オーナーさんである初老のご夫婦に、その工程を伝授しなければなりません。奥様には、毎日、毎日、面会に来ていただき、少しずつ、少しずつ、説明を重ね、注入する練習をしていただきましたが、いざ、ご自宅でしてみると、それをひとりでするのは、簡単にはいかず、大変だったようです。

やむを得ず、トラちゃんは、再び、入院生活に戻り、奥様は毎日、練習通い。週末ならご主人様がご在宅で、手伝って貰えるからということで、週末は、お試し退院。それは、それは、嬉しそうなお二人。チューブ・フィーディング用具一式とトラちゃんをかかえ、「では、お借りしてまいります。」(オタクの猫ちゃんなんですけど)

そんなこんなで、奥様には大奮闘していただき、「随分、慣れまして、なんとかやっております。」と笑顔でご報告いただけるまでに。トラちゃんも、奥様の奮闘に応え、発病から半年間も頑張りました。たった、半年?と思われるかもしれませんが、猫エイズも猫白血病にも感染しているリンパ腫では、2ヶ月間頑張れれば良いほうなのです。たった半年でも、ご夫婦にとっては、トラちゃんの病気を受けとめ、共に闘い、心の準備をしながら過ごせた、貴重な半年間だったことと思います。

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2009年10月 1日 (木)

「抱っこ猫」ミューン、お母さんのいる天国へ

先日、以前、勤務していた病院の先生、スタッフから、「ミューンが亡くなりました」というメールが届きました。「ああ、そう言えば…もう、かなりのご高齢だった、ミューン…。」いつもいるはずだったのにという寂しさと、この10年間の色々なことが思い出され、切ない思いがこみあげます。

ミューンは、享年17歳。ミューンをこよなく可愛がっていらっしゃったお母さんが、入院されるということで、ホテル暮らしすることになったのが、7歳のころでした。いつも、赤ちゃんみたいに、お母さんに抱っこされ、肩越しにキョロキョロと様子をうかがっている、おとなしいニャンでした。偏食もなく、鳴くことも、咬んだり、ひっかいたりも絶対にしない優等生でした。

週末は、お母さんの一時帰宅にお供して、帰宅。「ミューンはお風呂が好きだから、お風呂に入れてあげる。」と、ニコニコ顔のお母さんに、抱っこされて、ゴロゴロとのどを鳴らしながら帰っていくミューン。そんな、ホテル暮らしがしばらく続きましたが、お母さんのご容態が、少し、思わしくないようになってからは、一緒に帰っても、世話ができないからと、ご面会に来られるだけになり、車から病院内まで歩いて来られるのも大変になられてからは、お母さんが乗っているお車まで、ミューンを抱いて連れて行ってあげて、しばし、お母さんのおヒザでご面会ということになりました。そして、それから、間もなく、お母さんは、お亡くなりになられました。

これからは、ご主人様とミューンの二人暮らしになるんだろうとばかり、思っていたのですが、「ミューンは、私のことが好きではないので…。」と、もうしばらくホテルをお願いしたいとおっしゃるご主人。確かに、男性を苦手とする猫ちゃんは多くて、一緒にお住まいのご主人でもダメという猫ちゃんもいますので、仕方のないことです。

物静かなご主人で、あまり、多くはお話しされないのですが、里親さんになっていただける方を探されたのかもしれません。ですが、7歳になる猫ちゃんですので、なかなか、難しかったのでしょうか。「どなたか、可愛がってくださる方がいたら、ご紹介ください。」そうおっしゃられ、ミューンは、そのまま、ホテル暮らしを続けることに。そして、そのまま、数年。毎月、きっちりと、お支払いにみえるご主人。この一ヶ月のミューンの様子をご報告して、「ご面会されますか?」とお聞きしても、「結構です…私のことは、あまり好きでないので…」と、遠慮されるので、こちらで、勝手にミューンを抱いて出て、お顔を見ていただくと、にっこり微笑まれ、ポンポンと、かるくミューンのおでこを撫でて、「では、よろしくお願いしまします。」と帰っていかれます。

毎日、ケージ暮らしのミューンが気の毒で、時間のある時は、入院室内を自由に歩かせてあげたり、紙くずを丸めたものを投げて遊ばせたり、ブラッシングしてあげたり、大好きな「抱っこ」をしてあげたり。それでも、このまま、ずっとケージ暮らしは可愛そう…と、スタッフの1人が、里親を申し出ました。きっと、ご主人様も喜んでくださることと、皆が思っていたのですが、意外なことに、複雑な表情をされ、「少し考えさせてください。」と。そして、「このまま、ここで、預かっていていただきたい。」と。

奥様とのつながりがなくなってしまうようで、お寂しかったんだろうか。奥様に頼まれていたミューンを手放すようで、お辛かったんだろうか。その真意は、誰も、今もわかりませんが、ミューンはずっとホテル暮らしをすることになりました。それから、10年。ご主人様は、きっちり、きっちり、お支払いにみえられ、スタッフに抱かれたミューンに、にっこり微笑まれて帰っていかれます。

ミューンが亡くなったという知らせに、すでに退職しているスタッフも、かけつけたようです。皆が、ミューンに癒してもらっていたのでしょう。ひょっとしたら、ミューンのほうでも、にぎやかな病院暮らしを、案外楽しんでくれていたのかもしれません。ご主人様も、奥様のときと同じように、スタッフに抱かれてご機嫌なミューンをみて、安心してくださっていたのかもしれません。長い長いホテル暮らしでしたが、きっと、今頃、天国で待ってらっしゃったお母さんに抱っこされて、ゴロゴロとのどを鳴らしているのではないでしょうか。そう、気持ちを慰めてみても、寂しいばかりですが、何より、ご主人様の心情をお察しすると、とても複雑な心境です。

ミューンのご冥福と、ご主人様が健やかにお暮らしいただけますよう、心よりお祈り申し上げます。

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2009年9月24日 (木)

猫の甲状腺機能亢進症

近頃、インターネットで検索したりして、情報収集できるようになり、すでに、よくご存じの方も多くなりました。甲状腺が腫瘍化して、ホルモンを多量に出す病気です。腫瘍ですが、転移したりといった悪さをすることは少なく、問題は、過剰に作られるホルモンの作用により生じるものです。

甲状腺ホルモンは、身体の代謝を活発にするホルモンですので、問題が表面化していないうちは、元気食欲が旺盛で、活発な猫ちゃんといった感じで、おおよそ、病気とは思えないものです。ホルモンバランスの崩れが支障をきたしてくると、たまに吐く、たまに下痢するなど、これといって、特徴のない症状がでることもありますが、たまに…のうちは、それほど気にとめずに済ませてしまっていることも多いと思います。

重篤な障害が生じるのは、ずっとずっと、後のことです。過剰に作られ続けたホルモンに、あらゆる臓器が、無理やり活発過ぎるほどに働かせ続けられ、あげくのはてに、ヘトヘトになってしまいます。とくに、心臓の問題が重要です。

10歳前後での発症が多いとはされていますが、早ければ5~6歳でも発症します。教科書的には、進行した甲状腺機能亢進症の猫ちゃんは、ガリガリにやせていて、眼光するどくギョロッと眼を見開いた表情をしながら、心臓はバコバコ、息づかいはフウフウと激しいイメージです。ですが、発症し始めたばかりの猫ちゃんは、案外ぽっちゃり、のんびりさんだったりもしますので、血液中のホルモン量を測ることでしか、見分けはつきません。

それに、ここのところ甲状腺機能亢進症と診断された猫ちゃん達のキャラは、あまり、教科書通りではありません。嘔吐することが多くなり、痩せてきたということで、検査した三毛猫さんは、幼少のころから、小食で、痩せていて、もの静かな猫ちゃんだったようです。実は、我が家の長老猫ゆきおくんもバッチリ(?)甲状腺機能亢進症なんですが、同じく、幼少のころから、小食でした。いつもヒトのソバでゴロゴロ、モミモミ、スリスリしてばかりいる大人しいヤツです。「まさか、うちのこに限って…。」と思わずにはいられません。必ずしも、キャラはあてにならないようです。

当院でも、中年齢以上のねこちゃんで健康診断をする場合は、甲状腺ホルモンの測定も併せて行うことを、お勧めしています。稀にではありますが、一見、全く普通で、他の検査でも異常なしの猫ちゃんで、甲状腺機能亢進症のごく初期、もしくは予備軍と診断される猫ちゃんがいます。早期に発見できれば、甲状腺ホルモンを抑えるお薬で、進行を緩和させることができます。血液を検査センターへ送るだけの検査で、猫ちゃんの負担も少ない検査ですから、理想的には5~6歳からですが、ご費用もかかることですので、誕生10周年記念には、ぜひとも検査をお勧めします。

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2009年9月15日 (火)

何故かぶつかる小指

よくありますよね。出かける間際、バタバタと急いでる時に限って、家具なんかにぶつかる足の小指。「ううゥ…」と息が止まるほど痛くて、しばし、うずくまって痛みが去るのを待ちたいところだけど、急いでるから、そうもできず。誰かに、訴えたいほどに痛いんだけど、急いでるから、ただ、耐えて、心の中で「イッテェー!!」と叫ぶ。何でなんでしょうねェ。意識が、足の末端まで、及ばなくなってるんでしょうか。

全くの私事ですが、先日、出がけに、バタバタと慌ただしくしていて、机の脚に、左足の小指を激しくぶつけてしまい、それは、それは痛かったのです。出かけてからも、なかなか、ジンジンとした痛みが治まらないので、靴を脱いで見てみてびっくり。真っ青に内出血して、パンパンに腫れてるじゃあないですか。思わず、研究会でご一緒していた、親しい獣医さん達に、「見て見て~」と、訴えてしまいました。皆の一致した診断。「これは、ヒビが入ってる。レントゲン撮ってみたほうがいいんじゃない!?」

(ぶつけたくらいで、ヒビが入るほど、私の骨はヤワじゃないと思う)(仮に、ヒビが入ってたとしても、特に何かできるわけでもない)(…だから、レントゲンは撮らなくていいと思う)そんな、ポリシーをもって、レントゲン撮影せず、鎮痛消炎剤の湿布を貼ってみたりしていましたが、3日たっても、4日たっても、痛いし、腫れてるし…。(これは、普通じゃないかも)(骨がクチャッとバラけてたら、どうにかしないといけないのかも)と、だんだん不安になり、こっそり、自分でレントゲン撮影を実行。

P9110505 出来上がったレントゲンを見て、まず、驚いたのは、骨の太さ。(「太っ!」…これって、ヒトの標準な太さなんだろうか、それとも、これは骨太ってことなのかしら)…なんてことが気になったりして。当たり前ですが、日頃、診ている犬や猫の骨に比べると、あまりに太いことに、まず、ビックリです。それは、いいとして、問題の小指ですが、パキッと、骨折線が斜めに入ってました。でも、ずれたり、クチャッとはなってなかったので、ひと安心。

結局、特に何かができるわけではありませんでしたが、痛いのも仕方ないと、あきらめがつきました。ヒトの足なんて、初めて撮影しましたが、意外に、露出程度のちょうど良い、美しいポジショニングのレントゲンに仕上がったと感心したり。「これは、ヒビが入ってる。」と診断された、研究会仲間の獣医さん達も、「さすがの、すばらしい診断力。」と感心したり。

P9150527 そういえば、動物では、ここの骨を骨折することは、あまりありません。ぶつけたりしたときは、もうすこし上の足の甲にあたるところを骨折することが多いですね。動物も、急いでいて、小指をぶつけることがあるのかどうかは解りませんが、爪をひっかけてしまって、半分もげかかってるという、痛そーな怪我はよくあります。

猫ちゃんの場合は、高いところから、落ちそうになって、ガシッとつかまった時だったり、外で、敵猫に追っかけられ、超必死で逃げ帰ろうとした時だったりするようです。

ワンちゃんの場合は、お散歩中に、段差につまづいたりというのが、多いようです。ワンちゃんには、後ろ脚の内側に、狼爪(ロウソウ)という爪がぶら下がって付いていることがあります。犬種によっては、それが、1本ないしは、2本ついていることが、スタンダードだったりもしますが、ファッション的には、無い方が良いとされている犬種もあります。この、狼爪をひっかけて怪我してしまうことも多いです。地面に着かないので、伸び過ぎると、パッドに刺さってしまうこともある、厄介な爪です。

そういえば、狼爪のある猫はいないですね。イヌ科とネコ科の違いなわけですね。

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2009年9月 8日 (火)

遺伝子検査

遺伝子検査とか、DNA 鑑定とか。初めて耳にした時は、そんな事ができるようになったのかと、驚きましたが、近年では、事件などの検証には欠かせない、そして、常識なことになりました。

この遺伝子検査ですが、とうとう、獣医療の分野にも進出です。まだまだ、検査を依頼できる項目には限りがありますが、いずれも、従来は、確定診断をつけづらくて、治療方針に迷うことの多かった疾患の白黒をはっきりさせてくれるものですから、素晴らしい進歩です。

とくに、リンパ腫の診断には、大助かりです。リンパ腫は、リンパ球という白血球が腫瘍化したものですが、リンパ球は正常な体内にも存在するものですし、炎症があったり、免疫反応が活発になると、それに反応して増殖したりもします。今までは、顕微鏡でみた姿形から、悪性なのかを判断するしかありませんでした。悪性といっても、「極悪」から「やや悪」のものまで様々です。「極悪」のものは、「悪性だ」と確信を持って言えるのですが、「やや悪」のケースでは、顕微鏡をのぞき込みながら、「微妙…」と、苦しんでしまいます。腫瘍なのかどうかの判断ですから、責任重大です。自分で判断しかねる場合は、細胞診を専門にされている先生に委託して診ていただくくらいしか、手段がありませんでした。

ですが、遺伝子検査では、注射器で吸った細胞を送るだけで、腫瘍性に増殖している細胞なのかを調べてもらえるのです。ヒトの眼で診る細胞診よりも、ずっと科学的で精度の高い診断が期待できます。結果がでるのも早いので、スムーズに治療に入れるのも、ありがたいことです。ただ、特殊な検査ですので、やむを得ないことですが、費用が若干高めなのが苦しいところです。

他に遺伝子検査ができるものとしては、血液に住みついて貧血をおこす、猫のヘモバルトネラ感染症や、犬のバベシア感染症です。いずれも、従来は、血液を顕微鏡で観察して、虫体そのものがいないかを確認するしかありませんでした。ですが、虫体がくっついた赤血球は、どんどん壊れていくため、病状が進むと、見つからなくなってしまいます。そこで、他の症状や、生活環境、周囲の流行度合などを参考に、疑わしければ治療してみるというのが現状でしたので、あらぬ疑いをかけられてしまっていたケースもあったろうと思います。

猫のヘルペスウイルスやクラミジアも遺伝子検査が可能になりました。これらは、鼻炎、結膜炎をおこす感染症ですが、厄介なこととしては、生体内に潜み続けてしまうことです。鼻炎や結膜炎が繰り返し生じるケースでは、これらを隠し持っている可能性もあります。治療方針を考えたり、再発の可能性、他の猫へ感染する可能性を知っておくうえでは、重要な情報になります。

当院でも、この遺伝子検査で、リンパ腫と診断されたケースがあります。高齢の猫ちゃんで、腎機能の低下や貧血気味なこともあり、リンパ腫だからとて、抗癌治療に踏み切るのも、勇気のいることです。ですが、「ただ、悪くなるのを見守るのも心苦しいので、抗癌治療を試みよう。」と、大決断をくだされました。100%の診断があって、のうえだからこその、ご決断だと思います。腎機能障害、貧血対策をとりながらの抗癌治療チャレンジ中ですが、意外にも、体調を崩すことなく、むしろ、リンパ腫のせいだったと思われる、下痢、嘔吐がなくなり、調子は上々です。ちょっと、病院嫌いになってしまって、来院日には、気配を察すると、引き出しや靴箱に隠れてしまって、探すのに一苦労されることもあるそうですが、そんな元気も嬉しいことです。

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